バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2003年、フランスに単身で渡り、 現在はパリを拠点にヘアメイク&フォトエッセイストとして 活躍しているとのまりこさんが、 愛犬のバブーくん(アイルランド出身)を相棒に、 パリ暮らしのちょっとびっくりな出来事や、 へぇ〜っと感心する習慣などなど(*)をお届けします。 *もちろんすべてのフランス人やフランス全土に共通しないこともあります。 週に1回、でも気まぐれにもっと更新するかも? すてきな写真とともに、おたのしみください。 Amusez-vous bien!

 
とのまりこさんと バブーくんのプロフィール
 




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「アサガオを育てるような
学び方は、やらない?!」

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「アサガオを
育てるような
学び方は、
やらない?!」

バブー

夏休みももう後半戦。
日本はまだまだ暑そうですが
みなさまどうお過ごしですか?

8月はもう秋を感じる日が多くなり、
ちょっと寂しいくらいの気持ちになる
例年のパリなのだけど、
今年の8月はフランス全土で
猛暑と言われる異常気象が続いていて、
南仏の方では40度以上!
基本的にクーラーのないパリでも
35度前後の日が続いたりして、
バテている日も多いよ。

ボクの家にももちろんクーラーはないので、
夜中、強風にした扇風機をあてて
なんとか寝苦しい夜を過ごしたよ。


毎朝起きるといくつもの花が咲いているアサガオ。
パリの日本人小学校に通うお友達ファミリーからタネをいただいたもの。
息子が1年生だった去年初めて植えて、今年は2年目。

とのまりこ

明け方になるとだいぶ涼しくなって、
ホッとしながら目覚めると、
ベランダに咲くアサガオを見つけては
嬉しくなる夏の朝。

日本では小学1年生の教材として
定番のアサガオ。
パリの日本人小学校に通うお友達から
タネを分けていただいて、
息子が1年生だった去年、
一緒にベランダに植えました。
今年は2年目のアサガオです。

日本の小学1年生の教科書を開くと、
タネのこと、成長の様子、観察日記etc.
アサガオの学習について書いてあります。
懐かしい思いで、息子よりも私が
夢中になって読みました
(海外に住む義務教育の家庭の子どもは、
申請すれば大使館で配布する
日本の教科書をいただけます。ありがたい!)。




種まきから体験。アサガオ、ヘチマ、ひまわりetc、
日本ではお馴染みのあの小学校の思い出深い学習内容。
フランスの小学校にはありません。

バブー

今も昔も変わらない、
『植物を育て方』の単元のお勉強。

日本の学校では学年によって、
アサガオ、ひまわり、ヘチマ、ホウセンカetc.
色んな植物を育てるよね。
このほかにも野菜を育てたり、
学校によって色々なことをしているよね。

「生活」という授業で学ぶこの学び方が、
フランスの学校にはないんだよ。


アサガオって本当にあっという間に簡単に育つ。
1年生の教材として取り上げられるわけがわかります。

とのまりこ

大人になってから思い出す、
昔むかしの小学校生活。
国語や算数よりも、アサガオやひまわりを
育てて観察日記を書いた(書かされた!)
ことのほうが、
鮮明に覚えていたりしませんか?

1人1人プランターにタネを蒔いて、
成長の様子を観察して、
夏休みはお家に持って帰って。
ああいうのが全くないのかあ‥‥と衝撃的だった
フランスの小学校。
でもそうよね、バカンスでは2週間以上連続で、
どこかに旅立ってしまうのが当たり前。
家に持って帰っても誰も世話できず、
枯れてしまって、観察日記が終了してしまうものね。
そんなプログラムはできないよね‥‥
なんて思ったりもします。

ちなみに息子はタブレット学習で
日本の講座を受講しているので、
私も一緒になって勉強しているのですが、
『色々な植物のタネがどれかを問う問題』
『植物ごとの育ち方の違いを問う問題』etc.
フランスの学校では登場しない内容の勉強に、
親子で頭を抱えています(笑)。

ホウセンカやマリーゴールドのタネが
どれかなんて、みなさん覚えていますか?(笑)
苗に成長した本葉の写真を見て、
どの植物か見分けがつきますか?



学校の授業では大まかな簡単なことしか学ばないけれど、
街中に緑が溢れているので日常生活でさまざまな草花に触れられるのは、
パリのいいところ♪

バブー

一方フランスの小学校低学年、
日本の「生活」に当たるような教科は
「Sciences」(シヤンス=自然科学)という
教科があるんだけどね、
全体のなかで割かれる時間は、
フランス語や算数に比べたら圧倒的に少ないよ。

プチモンスターが2年生で学んだ
「Sciences」のノートを見返してみたら、
そこにあったのは
『温度(計)について』と
『水の状態について』(個体、液体、蒸発など)と
『チョウチョの成長の仕方』くらい。

9月からの3年生の学習内容を見ると、
『植物の育ち方』の単元が登場するけれど、
「タネから芽が出て、根が出て、葉っぱが出て、
植物の成長には太陽や水が必要だよ」
という、大まかなことくらいしか
登場してなかったんだ。
個別のタネのことや葉っぱの違い、
成長の違いなんて、
細かいことはやらないみたいだよ。


息子の学校に移動農場がやってきたイベント。
学校生活の中で『植物を育てる』『動物を育てる』なんていう学びや体験が
日本よりも圧倒的に少ないフランスだから、
こういうイベントで工夫するのかなあなんて思ったり。

とのまりこ

フランスの幼稚園や小学校でも、
クラスでカタツムリを育ててみたり、
校庭にあるプランターには
ハーブや花が植えてあったり、
育てたり観察したりという学びも
ほんのちょっとはあるのですが、
それに対するスポットの当て具合も
あくまでも担任の先生による感じ。

そしてなにしろ6、7週間ごとに
2週間のバカンスが挟まるため、
数ヶ月に渡って継続するような
プログラムはなかなかできません。

息子の2年生のクラスでは、
青虫がサナギになって羽化して、
チョウになって羽ばたくところまで
クラスみんなで観察できたようで、
「体験」をさせてくれる
担任の先生に感謝したくらい。



2年生の息子のクラス。クラスの中で青虫を育てて、
さなぎから孵化したチョウが羽ばたいていくのを、みんなで見送りました。
こんな体験・観察型のことがちょっぴり珍しいフランスの学校です。

バブー

フランスと日本の学校。
それぞれの良いところがあるのだけど、
1年生からアサガオを1人1人が育てる
なんかはとってもいいなあ〜
って思っちゃうんだよね!

それではみなさん、まだまだ暑い夏。
熱中症に気をつけて、
元気に乗り切りましょう!
今週もステキな1週間を‥‥。


 

 

 

 

 

 

 

*とのまりこさんの本*


「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

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illustration:Jérôme Cointre