選べば今日が、もっとたのしくなる

流行に左右されない、メイクの本。

TALK

HOBONICHI

草場妙子さんの著書
『TODAY'S MAKE-UP―今日のメイクは?―』は、
2018年に発行されました。
8年経った今でも、
草場さんのメイクに対する考え方や想いは
この本に書かれていることと変わらないと言います。
出版元のアノニマ・スタジオに伺って、
編集を担当された村上妃佐子さんと草場さんが
この本を作った背景を振り返りながらトークしました。
人からきれいに見られるためのハウツーではなく、
自分が心地いいと感じるメイクや選び方など
根本的なことが書かれているからこそ、
今読んでも気づくことがあるんだそうです。

タイトル写真川村恵理

村上妃佐子(むらかみ・ひさこ)

アノニマ・スタジオ編集者。 2008年に入社し、「ごはんとくらし」をテーマに、 絵本、日記エッセイ、料理本、随筆集、ガイドブックなど、 さまざまなジャンルの書籍を企画、編集して本づくりをしている。

アノニマ・スタジオHP

01 時が経っても必要な本

草場 今日は村上さんにお会いするので
この本をまた見返していたんですが、
私がメイクをする上で大切にしていることは
ずっと同じだなと思いました。

村上 そうですよね。
私も普段から繰り返し読んでいますけど、
草場さんが大切にされていることが変わらず、
魅力的です。
時間が経ってもそう思えるのは
本当にうれしいことです。

草場 発行したのが、もう8年前ですものね。
私が仕事を通して知り合った
藤井志織さんというライターで編集もされている方が、
一緒に本を作らないかと誘ってくださったのが
きっかけでした。

村上 そうそう、藤井さんが
「メイクアップアーティストの草場妙子さんという方を
紹介したい!」
とご連絡をくださいました。

草場 藤井さんは
私がおすすめしたコスメをすぐに試してくださったり
お付き合いするうちにメイクにすごく興味を持たれて、
本を作ろう!ということになったんです。
「草場さんはきっと
アノニマ・スタジオさんが合うと思う」とおっしゃって、
村上さんと繋げてくださいました。

村上 草場さんはその前から
本を作ることに興味はありました?

草場 そうですね。
ヘアメイクの仕事は現場で手を動かすことが主なので、
人に説明したり教えたりは基本しないんです。
テーマに沿ってどうメイクするかを考えながら
感覚を頼りに進めていくので、
言語化する必要もなかったんですけど、
ちょうどInstagramを始めて‥‥。

村上 そうでしたよね。
Instagramで、草場さんが本当におすすめしたいコスメを
丁寧に紹介されていました。

草場 とにかく化粧品が大好きで、
いいものを見つけたら人に伝えたいので
SNSから始めてみたんです。
「この化粧品はこういう特徴があって、
こんなところが気に入ってます」
ということを言葉にしはじめていたので、
本を作ろうと言われたときも
藤井さんもいてくださるから大丈夫かなって。

村上 藤井さんと最初に企画についてお話したときにも、
「シンプルな写真と等身大の言葉で、
丁寧に暮らしたい人に向けたメイクの本をつくりたい」
と話していて、
そこがいいなと思いました。

草場 そんなふうに話してくださってたんですね。
知らなかったです。

村上 私自身、メイクって自然に上手になっていくものなのかな
と思ったまま時だけが流れて、
ずっと自信がなかったんです。
世の中には人の目を意識して
「こう見えるといいよ!」みたいなメイクがあるけど、
そういうものにはあまり興味が持てなかったんですよね。
草場さんの「自分のためのメイク」という言葉に
ワクワクして、2017年の1月に初めてお会いしたんです。
打合せをしたあとにデパートのコスメ売り場に行って、
草場さんのおすすめを教えてもらうコスメツアーを
していただきました。

草場 そうでしたっけ‥‥その日にですか?
押しが強すぎますね(笑)。

村上 いえいえ、私がリクエストしたんです。
「草場さんにすすめられるとすごく欲しくなるんだよ」
と藤井さんに聞いていたので、それを体験したくて。

草場 そのスタイルは今も変わってないです。

村上 でもね、それですごくよく理解できたんです。
今までにない自分のための美容の本――
自分がもっと好きになって、
毎日が楽しくなるような1冊ができるんじゃないかと
ワクワクしてきたって、
その日の私の打ち合わせメモに残ってます。
翌月の2月には本のイメージやデザインを持ち寄って
打合せをはじめて、
撮影や構成を作るまでにわりと時間をかけましたよね。
半年くらいかな?

草場 そうですね。
私は本を作るのが初めてだったので、
独りよがりな内容にしたくないと思ったんです。
自分はこれがいいと思ってるけど、
世の中のメイクをする人たちは
それを求めているのかわからない。
そこを俯瞰で見つめたいなと思っていたら、
村上さんも藤井さんも、
周りのお友だちにヒアリングしてくださって。

村上 そうそう、友人を集めて茶話会を開いたり、
アンケートメールも送りました。
普段のスキンケアや情報源、
どんなことで悩んでいるか、
メイクで知りたいことは?
生の声をいろいろ聞いて、
本のコンテンツづくりに活かしましたね。

草場 今はSNSでもっと手軽に情報収集ができると思いますけど、
生の声はとてもありがたかったです。

村上 メイクという分野は一般的に
「流行のある情報」と捉えられがちで、
メイクの本の棚も「回転が早い」ジャンルだと
言われています。
でも私は『TODAY'S MAKE-UP―今日のメイクは?―』
ずっと読み続けてもらえる本だと思っているんですよね。
こうして読み返してみても、
前の私にはこれが必要だったけど
今の自分にはこっちが気になるなとか、
開くたびに必要なページや気づくことが変わってくる。
そういうところに良さを感じます。

草場 編集を担当してくださった村上さんに
そう言っていただけるのはものすごくうれしいです。
村上さんが担当されたり、
アノニマ・スタジオさんが出されている本の中で
メイク本は他にもあるんでしょうか。

村上 今のところ、ありません。
アノニマ・スタジオは「ごはんとくらし」をテーマに
ずっと本づくりをしているんですが、
「暮らし」って一人ひとり違うものだし、
それぞれ自分で作っていくものですよね。
企画する編集者によって
暮らしの目線は異なります。
どんなテーマも生活に関係しているから、
そのときに必要だ、気になる、あったらいいな、
という種を探しています。
メイクは「今はこの質感」、「このスタイル」、
「このコスメ」などなど、
たくさん情報が溢れているけれど、
「これが流行っています」という情報は
書籍で出す必要はないな、と思っています。

草場 それこそSNSや雑誌で見られますからね。

村上 書籍の場合、
多くの書店では「新刊」が重視されるんですけど、
実際には読者の方が必ずしも新刊のタイミングで
全ての本に出会えるわけではないですから、
出会った時がその人にとっての新しい本になりますよね。
だから、せっかく「本」を作るのであれば、
1年後、5年後・・・できれば10年後でも
ちゃんと伝わる本に、
繰り返し何度も読みたいと思えるものにしたいな、
と考えています。
『TODAY'S MAKE-UP―今日のメイクは?―』
8年経った今、そうなったと言えると思っています。

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