2016年夏に登場した「青織部」に加えて、
おなじみの「灰釉」「アメ釉」のカレー皿。
これで3つの色、3つのサイズがそろいました。
「ほんとにだいじなカレー皿」は、
これまで長く販売をつづけてきましたので、
「昨年1枚、ことしは2枚」というふうに
買い足してくださるかたも
おおぜいいらっしゃいます。
道歩さん作「トマトとタコのガーリックバター」。
灰釉の「ひとくちカレー皿」で。
道歩さん作「豚の冷しゃぶ 白髪ねぎぞえ」。
こちらはアメ釉の「ひとくちカレー皿」。
こんな質問をいただくことがあります。
「以前の『灰釉』と、今年の『灰釉』の色が違いますが、
これは不良品でしょうか?」
と。
「たしかに、灰釉は渋めのうす緑からはじまりました。
けれども最近の灰釉には、すこし鮮やかなうす緑に
寄っていましたね。
これにはいくつか理由があります。
まず、灰釉というものが、
分量も内容もまったく同じにしてつくっても、
仕上がりにばらつきがあるということです。
その原材料のロットによってもちがいますし、
窯ごとにもちがいますし、
極端なことをいえば、一枚一枚がちがいます。
そして、もうひとつ、
以前の色よりももっといい色を、と、
わたしが、つくるたびに配合を調整するからです。
和食によく合う色は、すこし渋い色なんですね。
けれどもカレー皿ということで、
和洋中、いろいろな料理を盛るというとき、
すこし鮮やかな色に近づけてもいいのではないか、
と考えた年がありました」
すこしあざやかさのある昨年の灰釉。
円さん作「すだちのひやむぎ」。こちらもやや、灰釉の色味があざやか。
これは2009年の初期の灰釉。2016年の色でもあります。
2015年の灰釉。みどりが濃いめでした。
「それはそれでとても満足した色が出たのですが、
それは行き過ぎると人工的な印象をうむことがあり、
いまの考えは、初期の色に戻していこうというものです。
そして、かたちですが、わたしも含め、
つくっている土楽の職人たちの手は、
つくればつくるほど、育っていきます。
サイズや重量を揃えたはずでも、
いつ・だれがつくったかで、微妙に変わります。
これはカレー皿だけでなく、土鍋もそうです。
手でものをつくっているわたしたちとしては、
そのばらつきもふくめて『手づくり』なのだと
理解をしていただけたらと思っています」
(福森道歩さん)
冬に向けての土鍋づくりもすすんでいる。
若手の職人さんも、育ってきた。
この「土楽」さんとのプロジェクトが
まさしくそうなのですけれど、
「ほぼ日」がつよく興味をもち、
やっていきたいと思っていることのひとつに、
「アート<一点もの>と工業製品<量産品>のあいだ」を
紹介していきたい、ということがあります。
道歩さんが言う「量産」は、
機械で型押しをして自動生成し
完全に同じものを複数個つくるのではなく、
「同じものをめざし」ながら、つくりつづけること。
道歩さんのもうひとつの仕事である「料理」にも
通じるところがあるかもしれません。
道歩さん作「トマトのガスパッチョ」。
道歩さん作「伊賀牛のローストビーフ」。
こんなふうにばらつきがあるものを、
ウエブでお伝えするのは
なかなか難しいと感じながらも、
どうかご理解いただけたらと思っています。
2016-07-27-WED