宇和川 これまではオリジナルの柄でキルティングしていましたが、 今回は男性も着やすいように、 キルトのかたちをひょうたん型に変更しました。 ミリタリーでも実際に使われているパターンです。

加藤 せっかくのリバーシブルなので、 どちらの面も使いやすいように、 片面を柄にしたぶん、もう片面はすっきり無地に。

─ 気分や合わせるアイテムによって 着る面を選べるのはうれしいですよね。 いままで片面だけで着るデザインだったものを リバーシブルにするということで、 細やかに手をくわえていただきました。

加藤 両面でポケットを使いたかったので、 キルティング柄のほうはサイドに付いていて、 無地のほうはパッチポケットに。 キルティング側は表からポケットが見えないから、 すっきりした印象ですね。

宇和川 パッチポケットのある面は、 英国調のクラシックな雰囲気も。 パイピングには、織りがグログラン調の テープを使いました。

─ コットンライクでちょっとマットな感じも、 身生地と合っていますね。

宇和川 それから、ボタンをドットボタンに変更しました。 ふつうのボタンだと、裏返しで着たときに 左右の打ち合いが反対になって着にくいので。

─ ドットボタンなら、どちらが上でも問題ないですもんね。

加藤 ボタンの大きさも、あまり主張が出すぎないように 小さめを選びました。 通常はだいたい15mmですが、これは13mm。

宇和川 さらに細かく言うと、ドットボタンのキャップも 小ぶりのものを選んでいます。 ここの存在感はそんなになくてもいいかなって。

加藤 首元のＶラインも以前より深くし、 カーブの傾斜をややゆるめました。 フードつきのニットやスウェットパーカを着ても、 もたつかないように。 このかたちだと、前のボタンをすべて留めても フードが干渉しません。 マフラーやストールを首に巻いて、 はしっこをジャケットの中に入れたときも、 きれいにおさまりますよ。

宇和川 以前のメンズデザインは 着丈に前後差はありませんでしたが、 今回のモデルは後ろをちょっと長めに。

─ レディスのオールインワンジャケットの アイコン的なデザインでしたね。

加藤 裾も、まっすぐにすると座ったときに 上がってしまうので、ラウンドカットに。 それから、メンズサイズだけですが、 パッチポケットの内側に 「サーモライト」のタグをつけています。

宇和川 こういうタグがあると、安心できますよね。 ちょっぴり誇らしくなるディテールです。

─ 外見だけでなく、 中身もしっかりアップデートされているんですよね。

宇和川 中綿はプリマロフトからサーモライトに。 プリマロフト同様に保温性が高くて、軽量で、 撥水性にもすぐれている素材です。

加藤 昨年のプリマロフトと同等の機能性があるので、 ダウンみたいにパンパンに入れなくても ちゃんと保温してくれます。

宇和川 じつは、表地の生地も変えたんです。 撥水・防水・透湿防風・花粉ガード・ウォッシャブルと 機能は満載ですが、 より軽量になっているのが大きなポイント。

─ いままでのスペックを引き継ぎつつ、 さらに軽くなるのはうれしいですね。

宇和川 裏地は昨年のモデルといっしょです。 裏地として使っていますが、 表地にも使えるほどのクオリティで、見栄えもします。

─ 音楽でたとえるならどちらも表題曲というか、 どちらの面を着るか悩んでしまいそうです。

宇和川 寒い日は、ゴアテックスのようなシェルを 上に着てもらったり、コートをはおったり、 インナー向きでもありますね。

─ そして今年は、セットで使えるマフラーもつくりました。 生地はジャケットの表地と同じ生地で、 中にはふかふかの中綿。

宇和川 中綿には人工のファイバーダウンを入れています。 本物のダウンでもよかったんですが、 肌に近く使用頻度も高いアイテムなので 気軽に洗えるほうがいいかなと思って、 水に濡れても平気なファイバーダウンに。

─ ダウンを模した素材ですね。

宇和川 ダウンと比べてもじゅうぶんあたたかいし、 あつかい方もらくちん。 ジャケットの中綿はシート状ですが、 こちらはふかふかする繊維。 ネットに入れて洗濯機で洗うと、 中綿がちょっと寄ったりしますが、 パンパンとたたいて整えてもらったら元に戻ります。

加藤 ファイバーダウンは羽毛にあるような芯がないから、 繊維が抜け出てくることもありません。 天然ダウンと同じくらいかさ高性と保温性があるので、 しっかりあったかいですよ。

宇和川 わたしは冬でも自転車に乗るので、 こんなマフラーがあるとすごくありがたい。

加藤 防風性もあるしね。

─ ジャケットと同色はもちろん、 ネイビーのオールインワンジャケットに 白いマフラーを合わせてもかわいいです。

─ さらに、今年はレディスのコートも！

加藤 オールインワン、大盛況ですね。 シリーズは同じで、一見デザインは似ていても、 コートのためにイチから考えました。

宇和川 着丈が長いので、中綿はすこし薄いものに。 ジャケットは80g、 コートは60gのサーモライトを使っています。 袖口は、前のモデルを踏襲して、 袖裏だけビエラ素材（綿と毛を薄手に綾織りし、 軽く起毛した生地）をつけました。

─ 袖を折ってもかわいいですね。

宇和川 後ろ襟をつけたのも、このコートの特徴。 襟が立ち上がって大人っぽく見えます。

─ ショールカラーのようで上品です。

宇和川 フロントのＶネックの深さも、 ジャケットと全然ちがうんですよ。

─ わぁ、ほんとですね。

宇和川 コートのほうが 天幅（襟ぐりの左右の幅）がせまくて、前下がりが深い。 端的にいうと、より鋭角になっていますね。

加藤 シャープになっているぶん、 きりっとして見えるかな。

宇和川 そして、キルティングにはダイヤ柄を選びました。 これまではオリジナルパターンでしたが、 コートのように面積が大きいと柄が強く出てしまうので、 もっと馴染みよく使えるよう、定番のダイヤ柄に。

─ 直線的で、大人っぽい印象ですね。

宇和川 これまでキルトステッチは 裏まで貫通させていたんですが、 ステッチが下まで入ると生地がかたくなるので、 裏地つきの表キルトにしています。

加藤 ジャケットくらいの長さなら気にならないんですが、 着丈の長いコートだと、よけいにね。 表キルトなので、やわらかく感じられると思いますよ。

─ コートの色は定番のネイビーと、 おもいきったアイボリー。

宇和川 白いコート、それも素材がウールだと 手を出しにくいと思うんですが、 こういう素材だとかわいげが落ち着いて使いやすい。 なにかと暗い色を着がちな季節に、明るさも出ますよ。

加藤 見た目も軽くなるしね。

─ 黒のタートルネックなんかを中に着ても、 引き締まってかっこいいかも。

宇和川 黒やグレーのコートをお持ちの方は多いと思うので、 ホッとするようなあたたかみのある白も、 ぜひ一枚いかがでしょうか。