宇和川 昨年の冬は思ったより寒くなくて 本気のダウンを手に取ることが少なかったから、 オールインワンジャケットが大活躍でした。 ことしの冬もそんな傾向ですよね。

―― まさに暖冬。 もこもこしたアウターを着なくなりましたよね。

宇和川 こごえるような寒い日でも、 コートの下にオールインワンジャケットを着れば 問題なかったです。

―― ひとふゆ過ごしてみて、身をもって実感しましたが、 近ごろの日本の気候にぴったりでしたね。 厚すぎないから重ね着にも向いているのだなって。 そこで、ことしもオールインワンジャケットが ちょっとリニューアルしてお目見えします。 見た目にそんなに差はないように見えますが、 どんなところが変わったのでしょう？

加藤 ミリタリーのライナージャケットを ベースにしたデザインは変わりません。 いいところは残して、 気になったところにちょっと手をくわえました。

宇和川 大きなところだと、中綿を「プリマロフト」にかえました。

―― プリマロフト。 名前は聞いたことがあります。

宇和川 人工羽毛なんですが、とにかく軽くてあたたかい。 はっ水性があるので、雨に濡れてもかさが減らないし、 水洗いも可能です。

加藤 もともとアメリカ陸軍から 要請を受けてつくられた機能素材で、 かれこれ30～40年ほど 軍でも寒冷地用の防寒着に使われ続けています。 ただ、使用するための審査が厳しくて、 なかなか使えない素材なんですが、 ようやく許可が下りたんです。

―― それほどまでに大切にされている素材なんですね。

加藤 そうなんです。 一見そこまでふくらみがないから あたたかさが心配になるかもしれませんが 保温力にうたがいの余地はありません。 厚いからあたたかいというものでもないんですよ。

宇和川 そして、オールインワンジャケットの アイコンデザインでもあるパイピングが、 ウールからオーガニックコットンに。 肌あたりがやさしくなりました。 コットンになったことで 水洗いしやすくなったというメリットも。

―― そして、コート掛けにかけられるよう 首裏にループもつけていただきました。

宇和川 これがあるとべんりですよね。 置く場所にこまらないし、よごれないですしね。 レディスのカラー展開は、 昨年とても人気だったフォグとブラックを継続しつつ、 新色のライムがくわわりました。

―― ライムは中々ない、おしゃれな色ですよね。 冬は全体的に暗い色にまとまってしまいがちなので、 アウターにこういううきうきする色があるとうれしいです。 そして、ことしあらたにつくっていただいたのが メンズバージョン。 男性からのリクエストも多かったんです。

加藤 男性が着ることをイメージしたら、 キルト柄が表にないほうがいいと思ったので あえて柄を中にして、外は無地に。 本来ライナージャケットはインナー用なので、 男性にはこちらのほうが着やすいかなと。

―― 男性は柄が表じゃないほうが抵抗なさそうですよね。 内側のキルト柄がちらっと見えるのも 男心をくすぐるというか。

宇和川 メンズデザインなので着丈や袖丈はすこし長めですが、 女性が大きめにはおっても素敵ですよ。

加藤 ほかに特徴的なのが、 襟まわりのＶゾーンを深くしました。 ぼくは冬にいつもスウェットパーカを着ているので、 上にオールインワンジャケットを着たときに もたつきたくないなと（笑）

―― 首まわりにボリュームがある服装、 たとえばネクタイをつけたジャケットスタイルにも 難なく合わせやすそうです。 以前のときふれていなかったですが、 裏側についているボタンもなにか役割があるのですか？

加藤 これは「ちからボタン」といいます。 うすい生地なので、つよく引っ張ったりすると やぶれてしまったりとか、開け閉めの多い箇所なので、 ちからボタンをひとつひとつ手でつけて 強度を高めています。

宇和川 裏が見えたときに何もなくて ボタンのしつけ糸が貫通しているのも ちょっと見た目がよくないかなと。 レディスも同じようにしていますよ。

―― 外観だけでなく、表から見えないところまで こまやなか心づかいに、いつも頭が下がります。 ことしもたくさんの人に届きますように！