![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
糸井 | 喘息のときって、 まわりの人がいろんなことを 勧めてくるじゃないですか。 梅の実を割って、 中の汁を氷砂糖で煮て‥‥とか。 |
清水 | ああ、民間療法。 |
糸井 | 民間療法、やりました? |
清水 | はい。 ネギを焼いたりとか、 大根にハチミツ入れて汁を飲んだりとか。 |
糸井 | やった、やった(笑)。 |
清水 | 日本酒を温めて胸に当てたりとか、 |
糸井 | また、半端に知識がついてくると、 どんどんつらくなるんですよね。 喘息って、もともとは免疫が 過剰に防衛してしまうという病気だから、 たとえば、畳の部屋にはダニがいますよ、 ということがわかると、 フローリングにしないとダメだ、 というふうに考えてしまう。 あるいは、外に出たら こういう花粉がありますよだとかね、 さまざまなアレルゲンを意識すればするほど、 どこにいてもつらくなりますよね。 ![]() |
清水 | はい。 |
糸井 | 勉強すればするほど、 「ここにはこういう敵がいる」というふうに やっちゃいけないことが どんどん増えていくわけです。 ぼくも、知識が半端な時期には、 これはダメだ、あれもダメだって 思いたくなっちゃってたんです。 でも、それだとつらくなるばっかりで、 生きていけないなと思ったので、 逆に、もっと深く勉強しようと思って、 一所懸命、免疫の本を読んだんですよね。 |
清水 | ああ、なるほど。 |
糸井 | これは、体の構造として、 こういうふうに起きるんだということを まずはしっかり理解しようと思ったんです。 ほかの人が喘息を起こさないということは、 同じ状況でもへっちゃらでいるということですから、 いつかそういうふうになれたらいいなと思って。 そんなときに、 『免疫の意味論』という本と出会って、 これは助けになりました。 |
清水 | どういった内容の本ですか? |
糸井 | 免疫というものを通して 「自分とは何か」というところまで 掘り下げていく本なんです。 つまり、「自分じゃないもの」が入ってきたときに、 それを排除しようとするのが免疫なんですよ。 たとえば、ダニってたんぱく質ですよね。 ダニを吸ったときに、 「誰かが来たぞ、追い出せ」って、 どんどん攻撃しちゃうわけです。 その、攻撃した戦場の跡が炎症だったりする。 そういうときに、喘息じゃない人は、 ダニを吸い込んでも攻撃しないってことなんですよ。 ![]() 「そうか!」と思ったんです。 オレは余計に攻撃をして、 他者と自己の区別をしすぎてるところに 自分の体の特徴があるんだと思って。 ひょっとしたら、心も、体の動きに習って バランスを作っちゃうかもしれないなと感じたんで、 うまく治るということと、 心が変わっていくということが 重なってるかもしれないって思った。 そういうふうに思うようになってから、 「ダニがいるから危ない」みたいな 危険中心の考え方から、 「オレが過敏すぎるんだ」っていう 考え方に変えていったんですよね。 もちろん、オトナになってからですけどね。 そういうふうに、勉強して、 まずは心がけを変化させていくなかで、 発作をおさえるというのではなく、 薬で発作を出さない状況を続けていくという 自分にとっての最終的な治療法を見つけたんです。 吸入するステロイドの類なんですけど、 清水さんの使っている薬も同じやつですよね? |
清水 | はい。 炎症を抑えるタイプです。 |
糸井 | あれに出会うまでは長かったなぁ。 |
清水 | 長かったですね。 |
糸井 | 清水さんは、その薬と出会うまでは、 治った時期はないんですか。 |
清水 | ないですね。 |
糸井 | あ、それはきついですね。 ぼくは、一度治ってるんですよ。 つまり、喘息を二度やってるんです。 一度は小学校の二年生くらいまでで、 それは小児喘息だったと思うんですけど、 いつの間にか治っちゃったんです。 で、そのあとは思春期くらいから ずっと鼻炎を患っていて、 30歳になってからまた喘息になるんです。 それは、10年近く続いて、40代の手前に治った。 それからは、まったく再発していないです。 |
清水 | へぇー。 じゃあ、本当に薬で治ったんですね。 |
糸井 | そうです。 どの薬が効くかというのを、散々テストして 専門のお医者さんが、 「これで安定しますね」 というところを処方してくれて、 それを毎日朝晩シュッてやって、うがいする、 というのをずっと続けてました。 そのうち、朝晩だったものが1回でよくなって、 とうとう、お医者さんから 「息苦しさや発作がずっとなければ、やめていいです」 って言われたんですね。 でも、いつか必要になるからというので、 薬は捨てずに持っていたんです。 旅先にも持って行きましたし。 そのうちそれを持って行かないようになり、 忘れるようになって、最後には捨てました。 だから、いま、ぼくの家には 喘息の薬は何もないんですよ。 ![]() |
清水 | へぇー。 |
糸井 | だから、よくなるだけじゃなくて、 完全に治るってこともありうるんですね。 少なくとも、ぼくの経験からいえば。 |
(続きます) |
|
2007-10-29-MON |
|