わたしが生まれる前からオープンしている
激シブ喫茶店でひとりランチ。
今日の日替わりは、炭火焼きとり丼。
本物のステンドグラスがハマった窓のそばで
炭火焼きとり。
なんてシュール。
テーブル席には新聞を広げて
トーストをかじるご隠居ひとり。
カウンター席には
「三つ子か?」と目を疑うほど
そっくりな格好をしたご隠居が三人。
まるで家にいるかのような会話を
繰り広げている。
「いや、カミさんなんて
俺のこと早く死ねばいいって思ってっからな。
ま、お互いさまだけどな」
「そう言うなって。誰かいるだけいいぞ。
俺なんて母ちゃんに逃げられてから
20キロくらい痩せたからな」
「なによ、寂しくてか?」
「おう、寂しくて」
なんとも切ない。
いやしかし、なんとなく笑えてきてしまう。
失礼だけど。
なんでだろう、雰囲気だろうか。
そうしたら、
もう一人のご隠居がいきなり立ち上がり、
「新聞読みたかったんだよ。
俺、今日読んでないんだ」
「お前まだ新聞なんて読んでんのか」
「や、もうな、めんどくさくて読まねえけど、
死亡広告だけな」
「やめてくれよ、知らぬが仏だろ」
「ちげえねえな」
「だな、そうかもしらねえな」
なんですかその、うまいこと言っちゃってる感じ。
年の功ですか。
しかもさらりと言って、そのまま流れていく。
思わず吹き出しそうになったわたしは、
いったん汁椀を置いて、ぎゅっと目を瞑った。
その後もポンポン続く会話が軽妙で、
放送禁止用語がバンバン飛び交い、
まるで昭和そのもの。
午前中の老舗喫茶店のカウンターは
ご隠居たちの井戸端だったのだな。
制約が多くなった世の中で、
苦しい思いをしているご隠居たちも
いるに違いないという
わたしの勝手な心配は杞憂だったのかもしれない。
住処を追われることなく、
自由にのびのび過ごすご隠居たちはそこにいて、
失礼を承知で言うならば、
その姿はなんとも愛くるしかった。
離れたテーブル席から拝ませていただいた今日は、
とても濃いランチタイムだったな。
そして楽しいひとときだった。
あれほど大声で話していては、
盗み聞きとは言われまい。
(RINATARO)
激シブ喫茶店でひとりランチ。
今日の日替わりは、炭火焼きとり丼。
本物のステンドグラスがハマった窓のそばで
炭火焼きとり。
なんてシュール。
テーブル席には新聞を広げて
トーストをかじるご隠居ひとり。
カウンター席には
「三つ子か?」と目を疑うほど
そっくりな格好をしたご隠居が三人。
まるで家にいるかのような会話を
繰り広げている。
「いや、カミさんなんて
俺のこと早く死ねばいいって思ってっからな。
ま、お互いさまだけどな」
「そう言うなって。誰かいるだけいいぞ。
俺なんて母ちゃんに逃げられてから
20キロくらい痩せたからな」
「なによ、寂しくてか?」
「おう、寂しくて」
なんとも切ない。
いやしかし、なんとなく笑えてきてしまう。
失礼だけど。
なんでだろう、雰囲気だろうか。
そうしたら、
もう一人のご隠居がいきなり立ち上がり、
「新聞読みたかったんだよ。
俺、今日読んでないんだ」
「お前まだ新聞なんて読んでんのか」
「や、もうな、めんどくさくて読まねえけど、
死亡広告だけな」
「やめてくれよ、知らぬが仏だろ」
「ちげえねえな」
「だな、そうかもしらねえな」
なんですかその、うまいこと言っちゃってる感じ。
年の功ですか。
しかもさらりと言って、そのまま流れていく。
思わず吹き出しそうになったわたしは、
いったん汁椀を置いて、ぎゅっと目を瞑った。
その後もポンポン続く会話が軽妙で、
放送禁止用語がバンバン飛び交い、
まるで昭和そのもの。
午前中の老舗喫茶店のカウンターは
ご隠居たちの井戸端だったのだな。
制約が多くなった世の中で、
苦しい思いをしているご隠居たちも
いるに違いないという
わたしの勝手な心配は杞憂だったのかもしれない。
住処を追われることなく、
自由にのびのび過ごすご隠居たちはそこにいて、
失礼を承知で言うならば、
その姿はなんとも愛くるしかった。
離れたテーブル席から拝ませていただいた今日は、
とても濃いランチタイムだったな。
そして楽しいひとときだった。
あれほど大声で話していては、
盗み聞きとは言われまい。
(RINATARO)
2026-06-17-WED