とうとう、万里の長城の西の端が
我々の目の前にあります。
「そうか。
こういうことだったんだな」
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なるほど、という感じですね。
みなさん、万里の長城の端は、
断崖絶壁で終わっていました。
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眼下に雪どけ水の流れる河。
「山の雪どけ水で
削られて絶壁になってんだね。
ここが、万里の長城の最終地点」
ほんとに、みごとに絶壁で
驚きました。
「壁にも限界があんだなぁ。
オレだけじゃない、
壁にも限界がある」
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また自分にかぶせて
ものを考えていますよ。
「そうだな‥‥」
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振り向くと、北京につづく長城が
朽ち果てながら、伸びています。
「もうここでいいじゃないか、って
感じになってる、長城全体が」
領土を守る壁も、
この断崖まででいいじゃないか、と‥‥。
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矢印の岩が、万里の長城の端っこです。
「あの岩、最後の岩、
近くで見てみようよ」
行きましょう。
「なんじゃ、この岩!
オーラがすごいよ。
オーラの泉だよ!」
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オーラの泉岩。
「この岩のまね、やっていい?」
どうやってですか?
「顔で」
お願いします。
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万里の長城の端の岩のまね‥‥似てる。
番長、番長?
「なに?」
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この岩のために、
“絶壁”であいうえお作文しましょう。
「しよう、しよう。
えーっと、ぜっぺきのぺ、ね‥‥」
通訳の程さん
「あの、すみません」
その遊びはなんというゲームですか。
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あいうえお作文です。
程さん
「あいうえお‥‥」
程さんも、やってみます?
程さん
「いや、ワタシは‥‥」
じゃあ、おもしろい見本、
見ててくださいね。
番長、“絶壁”でおねがいします。
「よーし、考えるぞ!
ゼロ地点から
つらなる長城
ペキンから
きたかいあり!」
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うまくいったかも? 自慢の表情。
番長、決まりましたね。
正直言いまして、
泣けてきました。
「そうかなあ?」
ペロリアンから比べれば、
うまくなったじゃないですか。
「それを言うなって」
程さんは? やってみます?
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「ワタシは、ちょっと‥‥」
やればいいのに〜。
「やればいいのに〜」
今日はどこを歩いていても
長城の壁が目に入りましたね。
「そうだね。
景色の中に当たり前のように
万里の長城がある、
そんな一日でした」
と言っているうちに、ありました。
あれは長城ですか?
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程さん
「違います」
「いかんよ、すべてが長城に見えてきたぞ」
あらゆるものが長城に見える、
超常現象ですね、ニャハハハハ!
「デハハハハハハハ!
じゃあ、この河は黄河かな?」
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程さんに「違う」と言われたくて言いました。
程さん
「違います」
「違うかぁー。
ではもう一回、あの岩のまね、するよ。
いい?」
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似てる‥‥。
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程さんの案内で、
あの岩が市場にやってきました。
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岩は、市場のいろんなものを見てまわりました。
「わたくし、長城の端から来た者です」
程さん程さん、
こちら、万里の長城の端の岩です。
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「どうも、岩です。
絶壁と違って
市場はたのしそうですね」
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程さん、言葉を失っています。
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店番の子どもも、
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みんなが岩を見ていますよ。
さて、岩‥‥じゃなくて、番長、
そろそろ飛行機の出発する時間が
近づいてきました。
この後、蘭州、西安、北京を経由して
長い帰路に入ります。
「あっけないなぁ、
明日のいまごろは東京なんだよ?」
そうですね。名残惜しいです。
程さん、等身大のガイドをありがとう。
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程さんは、日本語を勉強して3年。
まだ日本に来たことはないそうです。
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とってもたのしかったです。ありがとうございました。
程さん
「いえ、あの、仕事ですから。
あの‥‥あの、
今度は私の出身地の
敦煌にぜひ来てください」
「ほんとう?
‥‥そりゃ、必ず!」
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必ずまた。
程さん
「気をつけてー」
「日本にも来てねー」
超、超、ハッピーエンドを
信じ切っていた我々は、
程さんの「気をつけて」という言葉を
もうちょっと気にかけておいたほうがよかったです。
このコーナーではおなじみになりましたが、
悪天候にまたまた恵まれ、
蘭州の空港で、飛行機が飛ばなくなってしまいました。
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騒然とする空港内。係員につめよる人びと。
行き先である西安の空港には
雪がどっさり降っているらしいです。
旅行会社に問い合わせてみたところ
“悪天候で飛行機がキャンセルになることは
この地方ではまず、ないでしょう”
と言われ、雪が降っていることを伝えると
“あ‥‥それじゃキャンセルはありえます”と
態度を翻されてしまいました。
「砂漠って、雪降んのな」
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空港職員の方に身振り手振りで
どうすればいいのかを尋ねても
“それよりもいまはメシを食え”としか
言ってくれませんでした。
「わりと、わかるような気がする。
これでいま、おなかが減っていたら
泣きたくなるもんな」
はい、マジで。
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今回の番長を、
動画でおたのしみくださいね。
(明日につづきます。
次回は最終回!)
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