峻険な懸壁長城を登り切った一行は
この街の名前にもなっている
万里の長城の西の端の関所、
嘉峪関(かよくかん)に向かいます。
この長城は、比較的新しく、
およそ700年前にあたる
1309年から168年間かけて
建設工事が行なわれました。
周囲の気温はマイナス10度ぐらい。
ひきつづき強い風が吹いているため、寒いです。
寒さのあまり、いつも以上に
よけいに無駄な動きが生まれます。
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ウェエーーーィ!
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スチャッ! けっこう跳んでます。
「おぉぉーい!
こりゃあったかいよ!」
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それは?
「将軍の衣装です。
10元で借りてみました」
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めちゃくちゃ似合いますね。
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「とぉりやぁぁー!」
田島将軍、
息切れしているようですが
大丈夫ですか。
「ちょ‥‥ちょっと動きが制限されるな、
ゴム素材だし」
あたたかさは代え難いですが、
脱いで関所の中にはいりましょう。
「む。将軍は
承知したぞ」
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「ここから西に行く人はみんな
税金を納めたり
パスポートみたいなものを見せたりして、
この関所を通っていったんだね」
シルクロードは
西安からローマまでつづいていたんですよ。
「ローマまで!
すげぇなぁ。
生きて帰ってこれたの?」
いや、ひとりの人が旅をしたんじゃなくて、
西安から嘉峪関、嘉峪関から敦煌、という具合の、
いわゆる中継貿易だったようです。
でも、西安から嘉峪関も1800km離れてますから、
その距離をひとりが移動したとすると
すごいですよね。
「なぁるほど。
だいいち、こことローマじゃ言葉も通じんもんな。
お、見てみ! 壁の上から外を!
やっぱり長城が伸びてるよ」
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万里の長城、ほんとにかっこいいです。
「これが北京まで
グルッと6700kmでしょ?
笑っちゃうな。
ヒャッハハハハ!」
ほんとに笑わないでくださいよ。
通訳の程さん
「ここ嘉峪関の長城は、後年修復した部分と
そうでない部分とがあります。
修復していない壁もたくさん残っています」
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700年前そのままの壁が残ってるんですね。
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「古い部分はすごみがあるね。
命令で、160年以上かけて作って、
そして、ほんとに戦ったんだもん」
そうですね。
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「しかし、寒いな」
広い所に出ると、突風にひるみますね。
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あのぅ、なんだか、
顔を覆った人が見える気がします。
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「おおぉーい!
あったかいぞー!」
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「ラクダ、ほかほかしてるぞー。
我々以外にまったく観光客が
いないところで、
こんなに人とラクダが待ってんだ。
乗れよー」
番長、程さんの顔つきからして
時間がないようでーす。
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そろそろ万里の長城の西の端を
見に行くときがやってきましたよ。
「クライマックスだな!」
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砂漠の中を走り、万里の長城の西の端をめざします。
オレのニュースが得意な、なにもない大地の一本道です。
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砂漠の中に汽車の線路が走っていて、
我々の通る一本道に、ロープでできた踏み切りがありました。
車が近づくと、テントからおじさんが出てきて
ロープをはずしてくれます。
ああ、番長、
万里の長城の残骸が見えてきましたよ。
「近づいてきたな、西の端が。
万里の長城の、終着点が!」
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崩れた長城がポツリポツリと出現します。
「ねぇ、端を見ちゃったら、
ほんとうに日本に帰るの? オレたちは。
城壁を巡っていくこの感じが、
日常になってきたじゃん?
渋谷ってなんだ?
渋谷の街が思い出せないぞ」
しかし、これを
一生つづけていくわけには‥‥。
「ナハハハハ、いかないわな!」
今回の番長の活動を
動画でご覧ください。
(明日につづきます!)
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