強引に乗ったタクシーの運転手さんが
我々の身振り手振りコミュニケーションに
大弱りしながら車を走らせ、
大都会の北京からおよそ1時間半、
目前に険しい山が姿を現しました。
八達嶺(はったつれい)長城に近づいたのです。
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険しい山。「突然古代っぽくなってきた!」
「山の上から下まで、壁がグルッとあるね。
かなり険しそうだよ。
ヤバイんじゃないの?
おっほほー、あの岩も落石しそうだし。
おもしろくなってきたよ」
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この落石をわりと本気で心配しておられました。
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行きがかり上、我々を運んでくれた
人のよい運転手さんに
「頼むからここで待っていてくれ」と懇願。
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気温はマイナス5度〜10度くらい? 寒い寒い!
あわてて帽子を購入します。
「覚悟はしていたが、たしかにさみぃ!
顔が冷えて鼻が取れそうだ。
呼吸のたびに、すっげー冷風が
鼻の穴を伝ってがんがん入り込むよ」
これは気を抜くと凍傷になりますね。
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背後に見えるは、万里の長城。圧巻です。
「ねぇ、この長城は意外に新しいんだっけ?
これはいつの時代からあるの?
秦の時代から? 次に行く長城とどうちがうの?」
突然、質問攻めですね。
八達嶺長城がこういう形に整備されたのは
明の時代らしいです。
ただ、それ以前から、領地を守るための
土の壁はあったようですね。
秦の時代に入り、始皇帝によって
万里の長城がひとつにつながったそうです。
「へえー。いつだろう? 秦って?
三国志のあと?」
うー、前ですね。
「でも、遣唐使のあとだろ?」
あとです。
(すみません、前でした。
教えてくださった読者のみなさん
ありがとうございました!)
「でもさ、
北京つったら
北京原人の頃から
北京だもんな?」
???
「な?」
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ええと、その頃に
“北京”と呼ばれていたかはわかりませんが。
「そっか」
ただ、その頃から人が住んでたんでしょうね。
「うん。そういうことを言いたかったの。
すごいよねぇーえ」
すごいですね。
「オリンピックは、ここで何かやんのかな?」
長城で、という意味でしょうか?
そうですね、なにかイベントがあると
たのしそうですね。
「万里の長城で
マラソンやればいいじゃん、マラソン」
しかしここは、登り坂がけっこう
ハアハア‥‥、きつくないですか?
「こたえるね。
行く前に言っておいたけど、諸君、
もちろん、ジョギングで
体はきたえてきただろうニィ?」
ええと‥‥すみません、
年末は仕事が忙しすぎで、それどころでは。
「チッ、これだから、パソコン打ちは。
しかたないな。
でも、ハワイ島のグリーンビーチよりは楽でしょ?」
ゼエゼエ、せ‥‥精神的には。
「ヒャッハハ、あんときゃ絶望が見えたからね。
ところで、どこまで行く?
オレとしては、あっちまで行くつもりだけど。
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こっちじゃなくて、あっち。
ひええ。
「ああ、あのてっぺん! あそこまで行けたら、
何か叫ぼうか。
愛を叫ぶ? 何を叫ぶ?
何を叫んだらいいと思いますかっ!
ああー、湧き出してきたよ、
アイデアの泉からいろんなものが。
体力を使ったときに
爆発的に出てくるアイデアって
わかるかなぁ?」
番長、快調ですね。
「今度は富士登山しようよ。
富士山、登ったことないんだよ」
いまは考えたくないです、ゼーゼー。
「おいおいカモン! カモン!
じゃ、こっから全員ランニング!」
かんべんしてください。
「あ、いまごろわかった!
万里の長城って、頂上にあるから
チョージョーって言うんだ、なーるほどー!」
( ‥‥はあはあ、否定したいけど、息切れで)
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心臓破りの階段。
「うさぎとび、うさぎとび!
いくぞ! 森田健作だ!
最近森田健作さんの真似する人、いないね?」
番長、話題を統一してください。
なぜうさぎとびをする元気があるんだろう。
「はー、しゃべるとしんどいな。
口がまはらなふなってきた(回らなくなってきた)。
バ行とマ行が、もう言えません」
例えば?
「えーっと。
マヨネーズ。
言えるわ」
言えるじゃないですか。
「エーイぐりぐりぐりぐりぃ〜」
???
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妙な口ぶりで猫と戯れる番長。
おかしな番長を
まとめて動画でごらんください。
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