12月某日、オリジナル・ラヴのアトリエにて、
「今年のニュースをどうするか会議」を行ないました。
‥‥で、ですね、田島番長。
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「何? そのカメラは」
これは、昨年度のハワイ取材で
たいへんなシチュエーションがあったので、
軽くて小さなカメラを買ってもらったんです。
「うわ、カメラなの、それ?
スパイみたいじゃん」
スパイ‥‥‥‥何の?
いや、ええっと番長、お元気でしたか。
「あのね、全開です!」
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まだいい、まだいいです。
「まだいいのか」
まだ本番じゃない、これは予告です。
「う〜ん。中国かぁ」
話し合っているうちになんだか
中国に行くことになりそうですね。
誰が言い出したんでしたっけ?
「わかんない。オレ? 誰?」
どういう話の筋道だったかは
思い出せませんが、
とにかく我々は、
中国に行くことになったもようです。
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「突然すぎて、何も浮かばないよ。
タイはこの前行ってきて、最高だったの。
エネルギッシュでね、
仏像も金ピカでおもしろかった。
知ってる? バンコクの渋滞の」
中国です、中国。
「そうだね、切り替えないとね。
中国かぁ。
戦いをいっぱいしてきた歴史、という
イメージがあります。
地つづきだから、そのあたりが大きく
日本とはちがうんだろうな。
とにかく、でっかくてすごくて、
たいへんなことやった国だなぁ、と
そういう意味でオレがいま
いちばん好きなのは、マヤ文明」
マヤ文明ですか。
「夏に上野でやってたマヤ文明展、行った?
オレにはもう、岡本太郎メガネが
かかっちゃってるからかな?
美術品とかがやばくて、最高だったよ。
ものっっっっすごい創造的だった。
もう追いつけないよ!
恐ろしかったよ!」
‥‥中国ですから。
「そうだね」
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不安になってきました。
それに、内陸部は寒いらしいですよ。
マイナス20度とからしいです。
「マイナス20??
そりゃ、すっごいと思うよ。
カメラ、撮っていられる?」
無理な気がします。
「無理かもな」
風が吹いたらアウトですね。
「やや、ブルーだね」
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ブルーです。
「体力が要るね。ちょっと走っとくか!
各自、ジョギングしておくようにな!」
改めて申し上げるのも何ですが、
冬のロケはいやですね。
「でもオレら、いっつも冬じゃん?
それも、寒さが身にしみる、
荒涼としたところばかり」
田島めぐり、グリーンビーチ、大雪のマウナケアなど
過去の栄光が、頭をよぎります。
しかし、オリンピックがありますからね、
北京は盛り上がってるかもしれませんよ。
「中国語が、まったく話せないよ」
ニイハオ。
「(反射的に)ニイハオ」
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大丈夫です。
「大丈夫だな」
オレのニュースは、4年目にして
ゼロからの出発です。
この後、まだ日程がもうちょっと先だ、
ということになって
(番長は出発当日でないと
その気にならないのです)
我々の旅については
これ以上何も話は発展せず、
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ピカソの画集を取り出して
そのすばらしさを賛美したり、
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紀元前の文明について、
殊に、アリストテレスまでの数学が
いかにすごかったかを解説、
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“バイクに関係する歌詞を書いていたために
散歩中にそのことを考えすぎ、
ふと目に入った教習所で
大型バイクの教習を申し込んでしまった”
という自己催眠的な話に
これまた自分で大ウケしたりして、
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楽しいだけの時間を無駄にすごしてしまい、
案の定、無のままで
旅立ちのときを迎えたのでした。
まぁこれは、いつもの調子ではありますが、
みなさま、行ってきます。
本編連載は2008年に入ってから。
どうそたのしみにしていてください。
これから取材に出発しますので、
ほんとうに何がどうなることやらわかりませんが、
また、年が明けたら、お会いいたしましょう。
再見!
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ほぼ日乗組員に見送られる番長
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