シェフ
シェフの糠漬け
1 おいしい塩と、いろんな野菜で。
シェフの糠漬け

うまい塩、みつけましたよ。
京都で! 錦小路で!
糠床に入れるための「青山椒」
(季節的に生はないので、塩漬け)を
さがしている途中、
すてきな青果店に並んでいるのをみつけ、
「人気商品なので、おひとりさま、
 ふたつまででおねがいします」
っていううたい文句に魅かれて買いました。
「海人の藻塩」っていうものです。
あまびとのもしおと読むようです。
瀬戸内の浜辺で
古代の製塩技法でつくられているとかで
海藻を焼いて塩をつくるんで
ミネラル豊富でまろやかで
あじわいが深いらしいです。
こりゃ糠漬けにもよさそうです。

じつはその塩をみつけたのは
錦小路の「京野菜かね松老舗」というお店です。
錦小路は細長くのびた食材通りで、
そのなかにこの青果店があります。
ちょっとバーニーズっぽい高級感のある店で、
ならべかたもきれいなので
見ているだけでも楽しいです。
ここは、地方発送をしてくれるので、
糠漬けに適した野菜をくださいなと
お店のかたに相談しつつ、
泉州の水茄子に、金時にんじん、赤かぶらを買いました。
聖護院かぶ、もいいかなあと思ったのですが
なにしろでっかいのにびっくりしてやめました。
千枚漬けのもとになる野菜ですもんね。

で、漬けてみましたよ。
水茄子は、切らずにまるのまま、
塩(もちろんその塩!)をして、
冷蔵庫の糠床に3日。
でっかいのでこれくらい漬ければいいだろう、
と思ったら、それでもちょっと早かった!
芯がちょっと漬かってなかったけど、
サラダ感覚でおいしくいただきました。
金時にんじんと、赤かぶらは、
切って、2日半、漬けました。
うむ、これはちょうどよく漬かりました。
塩のおかげか、京野菜のあじわいか、
わからないのですが、まろやかでしたよ。
糠床が、すこし赤く染まったのには
びっくりしちゃったけど。

こういうふうに、旅先で野菜を買うのって
たのしいですねー。
お店の人に「糠漬けにするんです」
って相談するのも、ちょっとうれしいです。

余談ですがそのとき買った
「代白柿」もすごくおいしかったです。
渋柿を渋抜きして、たっぷり甘くした、
冷やして半分に切ってスプーンですくって食べると
それだけで「スイーツ」と呼びたくなるくらいの
ごちそう感のある柿でした。


とじる