節分ですが、
豆、おいしいですよね。
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鬼はそと〜、福はうち〜、を
やるかどうかは置いておいて、
たくさん並ぶ豆菓子を食べない手はないと
感じるこの季節。
こうして書きながらも、どうしてこんなに
豆はあとを引くものなのか、と。
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豆に限っては、
塩っぱくても、ちょっと甘くても
少し辛味が混ざっても、お好きな方なら極辛でも、
なんならカレー味でも、変幻自在。
最強とも言えるんじゃないか?っていう稀有な
素材ですよね。
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グリーンピースひとつを取っても、
茹でてハンバーグやステーキの付け合わせから、
豆ごはん、翡翠煮、卵焼きに混ぜたり、
おうちによっては、肉じゃがに散らしたり。
チャーハンの具や、シウマイのトップを飾る役、
スープでもおいしいし、マッシュしてディップにもなるし、
和食、中華、洋食すべてで活躍できるという
オールマイティぶり。
果ては(わたとしてはここがメインですが)
豆菓子として炒ったものや、
ちょっとわさび風味のつまみに化けたり、
雛菓子みたいに甘めの菓子としても
どれも無理なくしっくりはまってるところが、
大袈裟に言えば、サービス業に従事する者としては
尊敬に値するような。
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大豆に至っては、今更いうまでもなく、
味噌から醤油から豆腐から、
考えてみると、お世話にならない日はない逸材です。
しかも、節分では撒かれるという。
すごいぞ、豆。
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もともと、豆まきを節分にするようになったのは
平安時代と言われているので、
今から1200年くらい前のこととか。
「節分」、つまり季節の分かれ目は、
立春、立夏、立秋、立冬
それぞれの前日を指していたのが、今では立春の前日、
つまり今日、2月3日だけを
節分というようになってきたのですね。
ここらへん、
歳時を表す言葉がどんなふうに
時間軸の中で消えたり遺ったりして、
それは、その時代ごとの生活習慣と
どんなふうに結びついてきたからか、
なんて、たどり始めたらキリがないのでしょうなぁ。
精神文化的な来し方を見る上でも、
ものすごく面白い分野なのかなと、感じます。
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平安時代初期から、陰暦の大晦日には、
追儺(ついな)という
鬼を払う儀式が宮中で行われていて、
論語にも見えることから
中国から伝わったとされています。
追儺、鬼やらいとも呼ばれるこの行事は、
新年を迎えるにあたっての準備だったわけですが、
陰暦のお正月は立春と日が近いために、
室町時代の頃から春を迎える前日の行事に
移っていったようです。
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で、豆がおいしいって話ですが、
レシピも進化してきたのでしょうねぇ、時代とともに。
昔、節分の豆まきをしてた先達は、
こんなにおいしい豆菓子を、のちの世の人たちが
節分にかこつけて頬張ることになるとは、
想像してなかったかも。
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100年後、いや50年後には、
もっと新しい豆の食べ方が
もしかしたら、出てきてるのかな。
でも、豆まきや鬼のお面は、変わらずあるのかな。
あってほしいな、なんて気持ちも込めながら、
移ろいやすいけれど、
ずっとつながっているそんな時間のなかで、
今年も、鬼はそと〜、福はうち〜と
自宅でちんまり豆を撒いてみようかな、と思う節分です。
始まったばかりの今年、
みなさまの厄除け、息災を心からお祈りしつつ。
わたなべ まり
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