ご用心!食べられないんです!
アバタチャブクロタケ食不適

写真というものは、往々にして、
撮影者(依頼者)が撮りたいものを撮っているので、
と、なると、必然的に「主題」はほぼ決まってます。

グラビアアイドルの写真集などは、
そのアイドルをいかに魅力的に見せるか、
カメラマンやスタッフが最大限の力を振り絞り、
1枚の写真という形にしていきます。

ぼくのきのこ写真も、実は、この、
グラビアアイドル写真にけっこう近くて、
目の前にいるきのこを、いかに、
かわいく、美しく見せてあげるか、
が重要なわけです。

しかし、自分の努力は、撮影、
あるいは「現像」するところまで。
1枚の写真として完成したら、
あとは見る人にすべてをゆだねます。

本を出したり、写真展をしたり、
あるいは、SNSに写真をアップしたりすると、
自分の意図とはかなり離れたところに着目した、
感想をいただくことが、多々あります。

いくら主題を引き立てようとしても、
写真(とくに大きなサイズ)は情報量が多いので、
主題以外の要素もたくさん加味されていますから。

さて。
今回ご紹介する写真は、主役の球形きのこよりも、
シダの仲間の小葉類やコケがたくさん写っています。
それでも、きのこに着目してしまうとすれば、
そう、あなたも、立派なきのこファンか、
きのこファン予備軍ですね。

その球形のきのこ、アバタチャブクロタケは、
夏から秋にかけて、倒木や切株の上に群生します。

きのこは小形で、径1〜2.5cm。
球形〜扁球形で、柄はありません。
表面は帯赤褐色で、のちに、暗褐色。
淡褐色のイボ、あるいはトゲに、
びっしりと覆われています。

成熟すると組織が徐々に脱落して、
内皮を露出し、雨が降ったりする刺激で、
胞子を放出します。

食不適。

ホコリタケの仲間には、
幼菌時には食用になるものがありますが、
こちらは、食用には適さないようです。
なんせ、小さいし。

ちなみに、かつて、ここと同じ場所で、
別のきのこを撮影した写真を見たコケ好きな友人は、
きのこにはまったく目をくれず、
「胞子体が出ているミズゴケは珍しいんです!」
と、興奮気味に語ったのでした。
(今回の写真にもちらっと写ってます)

さて、本日は敗戦記念日。
過去のもろもろに学び、
戦争のない世の中を祈るのみです。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。