北東北の森も、季節は、ようやく、
春から初夏へと移行しつつありますが、
それでも、八甲田山麓のブナの森では、
木々の根本の周囲だけ雪が解けているものの、
地面はまだ数十cmの雪に覆われています。
雪解け時期のブナの森では、
解け残った雪を覆うほどに、
赤茶色の物体が大量に落ちています。
それは、
新しい葉っぱが芽吹いたところで、
ガードの役割を終えた、冬芽を包んでいた鱗片。
雪が薄赤く見えるほどなんです、本当に。
ブナの葉は、まさに今、
開葉時期だけに見られる、
鮮やかな緑色、そう、新緑の色で、
その若葉を透過した太陽の白い光は、
なんとも言えない爽やかな色に変換され、
まあ、気持ちがいいこと。
1日中、ぼ〜っとしていたくなります。
聞こえるのは、鳥の声と、風のざわめきだけ、
と言いたいところですが、近くに道路があるので、
ときどき、自動車が走り抜ける音が、
夢心地から現実へと引き戻してくれます。
まあ、こればかりは仕方ありません。
そして、
ブナの森にうっとりしていたかと思えば、
目は勝手にきのこを探しているわけで……(笑)。
あちこちにある倒木を見つけると、
すかさず近寄り、目をこらします。
はい、きのこ、発見!
その、黄色いきのこ、キツブナラタケは、
主に、春と秋に、広葉樹の枯木や倒木から発生。
群生することが多いようです。
傘は、黄色〜山吹色。
まんじゅう形から中央が平らな感じの丸山形に。
トゲ状〜ささくれ状の顕著な鱗片に覆われています。
傘の裏側のヒダは白色で、やや間隔が狭くなっています。
柄は、上部が淡黄色で下に向かって淡黄褐色に。
傘と同様に鱗片があり、基部は太くなっています。
食。
ナラタケの仲間は、
食べられるものが多いのですが(要加熱)、
その中でも、いちばんおいしい部類に入るとか。
春の貴重な食用きのこです。
それにしても、
いつ、どんなときに訪れても、
ブナの森は、結局、その訪れたその時期がいい、
と思ってしまうわけで……。
そろそろくまさんが活動を活発化しているので、
森へ行く方は、くまさん対策をしっかりと。
事前の出没情報の確認も忘れずに。