春のうちは、きのこそのものが少ないし、
「きのこ目」もまだ準備中なので、
さっときのこを見つけることができません。
雪が解けたぞ!春がきたぞ!
サクラが咲いたぞ!春本番だ!
と思っているうちに、いつの間にか、
木々の枝先には、柔らかい緑色の新しい葉が出揃い、
気がつけば新緑の季節に突入です。
ぼくの写真撮影地は、春〜初夏が東北地方北部、
初夏〜秋が北海道東部なので、移動するたびに、
季節が逆戻りするんです。
つまり、東北地方で新緑の季節を迎え、
北海道へ移動すると、まだサクラが咲いていたり、
逆に、秋に、北海道で紅葉の最盛期を迎えて、
東北地方へ南下すると、紅葉最盛期前だったり。
初夏と秋を長く過ごせることは、
きのこ写真撮影的には恵まれているなあ、
と、思うわけです。
ただし、冬が長いのが玉に瑕ですが……。
今回ご紹介するニセクロチャワンタケの写真は、
6月下旬に北海道で撮影したものです。
本州で見られるのは3月〜4月くらい、
いわゆる早春と言われる時期なのですが、
北海道東部は春の到来が遅いので、
6月になってしまってもお目にかかれた、と。
ラッキー!
さて、ニセクロチャワンタケは、
早春に、主に針葉樹林の、
地上、または腐朽材上に発生します。
子実体は、お椀形で柄があり(ほぼ無い場合も!)、
黒色〜黒褐色で、径は12〜45mm。
「12mm」とかずいぶん限定的で細かな数値ですが、
調べた3冊の図鑑がこの数値を使っていました。
つまり、径が11mm未満、46mm以上だったら、
ニセクロチャワンタケではないってこと(笑)?
お椀の外側はわずかに綿毛を生じ、
乾くとシワができます。
胞子がつくられるお茶碗の内側は、
黒褐色〜褐色です。
食毒不明。
けっこう大きなきのこで目立ちますが、
まだ研究が進んでないからなのか、
過去に食べようと思った強者がいなかったからか、
食べられるかどうかは謎のままみたいです。
お茶碗のような形をしたきのこは、
ぶわっと息を吹きかけると、
何拍か時間をおいてから、
さらさらと胞子を放出することが多いのは、
どうしてなんだろう……?
きのこを見つけると、それがどんなきのこでも、
胞子を放出する瞬間が見たいと思うんです。
だって、きのこ=子実体の役割は、
胞子をつくって放出することですから。