ご用心!食べられないんです!
モミサルノコシカケ食不適

その昔、西暦が2000年代になったばかりの頃、
まだまだ、フィルムカメラが全盛期でした。

真冬の道東地方は、絶景だらけなので、
あちこちで風景写真を撮りまくりました。
でも、36枚ちょい撮ったら、フィルム交換!
これがなかなか面倒くさいんですよね。

さらに問題なのは、カメラのフィルムは、
ー25度を下回るような極寒地の寒さだと、
割れちゃうことがあるんですよ……(涙)。
保温用の布なんぞ役に立ちません。

36枚撮りフィルムのはずなのに、
あれれ、気がつけば、もう、数十枚は撮ってる?
と、カメラを点検すると、
巻き上げるためのフィルムの穴が寒さで破損して、
同じコマをずっと撮影している状態だった……(涙)。

現像が仕上がってライトボックスで確認すると、
フィルム各所に大小様々な亀裂が入ってる……(涙)。

まあ、知り合いのプロカメラマンや、
行きつけのカメラ屋さんにアドバイスをもらって、
厳冬期にフィルムを傷つけないように、
いろいろ工夫しましたよ。

いちばん効果があったのは、
ハクキンカイロを使ってカメラ全体を温める、
という基本中の基本でしたけど(笑)。

デジタルカメラ時代になって、
そんな厳冬期の悩みは解消されました。
困るのは寒さで電池の持ちが悪くなることくらい。
気温がー20度を下回るような朝でも、安心して、
カメラを首からぶら下げて森を歩けます。

冬の寒さを象徴する凍裂が入ったトドマツに、
拳大くらいのきのこ発見!モミサルノコシカケです。

モミサルノコシカケは、トドマツの生木から発生。
(青森県ではヒバから発生することも!)
多年生なので、1年中見ることができます。

傘は馬蹄形、釣鐘形で、縁は鈍円。
径3〜10cm、厚さ3〜16cm、
表面には環溝があり、幼部は黄褐色〜灰褐色、
老成した部分は黒褐色〜灰褐色。

下面は暗褐色で、ヒダではなく、
小さな孔がたくさん集まった管孔で、
厚さ4mmほどの層が多数形成されています。

トドマツの樹幹の傷から侵入して、
周辺の材を白色に不朽します。

食不適。

まあ、かちかちに固い多年生のきのこですから、
食べよう、という人はあまりいませんよね。
侘び寂び的な造形と配色の妙をお楽しみあれ。

カメラの進歩もありますが、
冬のフィールドを歩き回るにあたっては、
防寒着の性能が格段によくなった、と実感しています。
今や、冬の道東を軽く観光するだけなら、
服装はユニクロだけでどうにかなりそうです(笑)。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。