きのこに興味を持ちはじめると、常時、
きのこがどんどん目に入ってくるようになります。
こんなところにも、きのこ!
と、いままで気づかなかったのが不思議なほど、
身近な場所で、何気ない場所で、想像を絶する場所で、
きのこが見つかるんですよ、これが。
そう、いわゆる「きのこ目」です。
「きのこ目」の弊害としては、
「きのこ空目」が挙げられます(笑)。
きのこじゃないものも、きのこに見えちゃう。
フィールドを歩いていて、赤いものについ反応すると、
きのこじゃなくて、紅葉した落葉だったり。
街中は「きのこ空目」の対象が、多くて、多くて。
街灯なんか、きのこの形そのものですよね。
ショーウインドウの中からビルの壁面まで、
きのこらしきものはけっこう多くあるものです。
何年も前の話ですが、東京の山手線に乗って、
新宿から品川へ向かっていたときのこと。
ドアのすぐ横の手すりがある部分に立って、
本を読んでいたんです。
ふと、本から目を上げて、絶句しました!
なんと、人からきのこが伸びている、
オブジェ? アート?が目に入ったんです。
別に急ぎの用事があるわけではなかったので、
すかさず次の大崎駅で電車を降りて、
いったい何があるのか確認すべく、
現場へと向かいました。
じゃ〜ん!

調べてみると、件のきのこは、
ドイツの芸術家集団「インゲス・イデー」が制作した、
「グローイング・ガーデナー」というアートでした。
モチーフは森の守り神を意味する庭師だとか。
説明には「空に向かって伸びる赤い帽子」
などと、書いてあるのですが、
どこをどう見てもきのこじゃないですか(笑)!
ぼくは「グローイング・ガーデナー」を見るたびに、
今回ご紹介する、カメムシタケを思い出すわけです。
カメムシタケは、夏から秋にかけて、
カメムシの成虫から発生します。
子実体は虫の胸部、または腹部から、
通常は1本伸びてきます。
頭部は紡錘形〜円柱形で長さ4〜7mm。
橙紅色で、老成すると退色して折れ曲がる故に、
別名ミミカキタケなどと呼ばれることも。
また、いわゆる冬虫夏草によくあるように、
小さななつぶつぶで覆われています。
柄は黒くて針金状で繊維質。
経は約1mmで長さは4〜15cmほどです。
食不適。
昆虫から発生しているきのこを、
食べようと思う人はかなり少数派ではないかと。
見つけたら、宿主のカメムシともども、
ぜひぜひじっくりと観察してくださいな。
余談ですがぼくはいわゆる活字中毒者で、
電車の中で本が読み終わるとドキドキするんです(笑)。
だから、持ち歩くバッグの中には、
必ず予備の本を入れてました。
ところが、スマホを持ち歩くようになると、
電子書籍の本を読むこともけっこう多くなり、
あんな小さな箱にたくさんの本を持ち歩けるので、
活字中毒者としては、いつ電車に乗っても安心です!