この次の休日[やすみ]に一日寝てみむと |
思ひすごしぬ |
三年[みとせ]このかた |
(石川啄木『一握の砂』より)
※[ ]の中はふりがなです。
第18回 石川くんの休日
まったく、才能あるよねえ、石川くんて。
フィクションをつくる才能。
べつに休日じゃなくても、
会社をサボってばかりいる君の歌とは思えないよ。
ほんとのことしか歌えない私のような正直者には、
とてもじゃないけど真似できないです。脱帽。
*
一歳の息子が何度も夜泣きするから、
ここ数カ月、ちっとも眠れない私です。
妻と子と年老いたママを北海道に置いて、
東京で独身気分を味わっている石川くんのことが、
少しもうらやましくないと言ったら嘘になるかも。
遠くにいる家族のことなら、
せつなく思いだして、うっとりできるものねえ……。
わるいけど、そんな少しはうらやましい、
ちんちんは
うらやましくない、
おちびな、おでこちゃんにつきあってるのが、
馬鹿らしくなってきた。馬鹿馬鹿、俺の馬鹿。
きょうはさっさとおしまいにして、
眠らせてもらいます。
おやすみなさい。
また来週。
枡野浩一
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