イタリア首相でありACミランのオーナーである
シルヴィオ・ベルルスコーニが
審判たちに対して
カルチョーポリを行なっているのではないか、と、
いまイタリアサッカー界で話題になっています。
カルチョーポリ、それはサッカーにおける
贈収賄疑惑のことです。
2006年以来となるこの疑惑をめぐり、
ことは、かなり大きくなりつつあります。
先週の記事の続きともいえるこの騒ぎ、
いったいなにが起きているというのでしょう?
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コルドバとモウリーニョの「ショー」。 |
その疑問を最初に呈したのは、
インテルのモウリーニョ監督とモラッティ会長でした。
対ACミランのミラノ・ダービーの直後、
圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、
こんな発言をしました。
多くの人々がインテルの優勝を予想している
カンピオナートを、
やりなおそうとしている審判たちがいる。
それも、ACミランへの好意のためにである、と。
カンピオナートの順位でも群を抜いて1位の
インテルの監督が言うのですから、
この発言はたいへん驚きをもって迎えられました。
インテルのモラッティ会長も、
「隠れた操作がなされている」と話し、
モウリーニョの発言を煽りました。
そして、問題となる、2月21日土曜日の、
インテル対サンプドリア戦を迎えます。
前半戦で、タリアヴェント審判は
サミュエルにレッドカードを示しました。
それを見たコルドバとモウリーニョが、
イタリアではどの監督も見せたことがないような
「ショー」を展開します。
そのショーは、まるで手錠をかけられたように
腕を交差する動作から始まりました。
このジェスチャーはテレビカメラの前で何回も行われ、
まるで「監獄に行く人間が、ここにいる」と
言っているかのようでした。
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そして後半戦、
9人で応戦したインテルは
同点に追いついたのですが、
試合後もモウリーニョは、彼にしてみれば
イタリアサッカーは不誠実だと発言し、
ショーを繰り広げつづけました。
イタリアのサッカーは不誠実だ、
でも彼がイタリアでの監督を辞める時にのみ、
彼自身の誠実さは変わりなく残るだろうと
発言しつつ‥‥。
(ちなみに、モウリーニョ監督はポルトガル人です。)
その結果、
イタリアサッカー連盟のアベーテ会長は、
彼の発言はイタリアサッカーを誹謗中傷し、
暴力を先導するものであるとして、
モウリーニョに3試合の出場停止と
4万ユーロの罰金を命じました。
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こうしてインテルが悪戦苦闘している間に、
ACミランは対バーリ戦で、
バーリにペナルティーキックを
与えなかった監督のお陰で勝利し、
先の水曜日にも同じことが、
フィレンツェでの対フィオレンティーナ戦で
繰り返されました。
インテルがUEFAチャンピオンズ・リーグで
チェルシーに2対1の勝利をおさめた一方で、
ACミランはフィレンツェで、
雪のために中止された試合のやり直しを
フィオレンティーナと戦い、
ペナルティーキックのおかげで勝利したのでした。
しかしこれがフィオレンティーナに好意的な
ペナルティーキックでなかったのは、明らかです。
カンピオナートにおけるこの2勝で、
ACミランは4点差でインテルに近づき、
再びスクデット争いに加わりました。
この2つの勝利は、サン・シーロ競技場での
対マンチェスター・ユナイテッド戦の負けを、
ACミランのティフォーゾたちには
さぞやショックだったはずの、あの敗戦を、
いくらか忘れさせてくれました。
この待ちに待たれたルーニーとベッカムの対戦は、
ルーニーの素晴らしい2本のゴールで
マンチェスターが勝利しています。
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そんなわけで、いまイタリアで
ベルルスコーニの審判たちに対する
贈収賄疑惑が話題になっているのです。
振り返ればイタリアでは2006年に、
カルチョーポリが発覚し、
ユヴェントスがセリエBに降格、
ACミランとフィオレンティーナ、
そしてラツィオにも、
ペナルティーが課せられたことがありました。
でも今回の主役は、
前回フィオレンティーナを操って
主役をはったルチアーノ・モッジではなく、
なんということか
首相のベルルスコーニその人なのです。