イタリア・サッカー界は
夏のメルカートに向けて、
すでに、水面下で動きが始まっています。
選手、監督、オーナー‥‥いろんな人間が
いろんな思惑でやって来ては、消えてゆき、
また現れ‥‥それはまるでグランド・ホテルのようです。
今回は、そんなお話です。
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ベルルスコーニ、返り咲きを狙う。 |
まずシルヴィオ・ベルルスコーニが、
サッカーにおいてもナンバーワンにもどりたいと
願っています。
彼のACミランは、
もはやヨーロッパの列強のひとつではありません。
イタリアでは今やインテルの陰にいる格好です。
そして彼が昨年の夏にACミランを任せた
レオナルド監督に対する大きな愛情は、
2月16日の対マンチェスター・ユナイテッド戦での
敗北で、見事に冷え込んだようです。
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敗戦の翌日に、
「ACミランはとても強いチームだ。
勝たないのは、
うまくプレイさせない監督のせいだ」と
ベルルスコーニは言いました。
この発言が、レオナルドとACミランの分離を、
事実として公にしたことになります。
ということは、シーズン閉幕時には
レオナルド監督との別離があるでしょう。
このことから、
ACミランは監督を交代させるだけでなく、
カルチョメルカートでも
大きな投資をするであろうことが分かります。
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選挙の時期が近づいており、
ベルルスコーニは、
一番をとる勝利者のイメージの自分を
見せたいと思っています。
彼の、まいどおなじみの作戦ですね。
カンピオナート以外では、
ACミランとフィオレンティーナは
UEFAチャンピオンズ・リーグの
決勝トーナメント第1試合で敗退し、
ローマとユーベは
ヨーロッパリーグで戦いました。
インテルはチェルシーとの対戦を
待っているところです。
ここまでではユーベが、
素晴らしいデル・ピエロのおかげもあって、
勝利をおさめた唯一のチームという結果です。
ユーベの新しい監督であるザッケローニは、
チームをデル・ピエロに託し、
彼は強靭なテクニックと動きで、これに答えました。
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まさにユーベのアイコンである
デル・ピエロとの契約は、
6月に切れますが、
2012年までの新しい契約、
つまり彼の現役の最後までの契約が、
もう準備されています。
こうした中で、
メルカートにおいて特に興味深いのは
ACミランの動きです。
というのも、
インテルのマリオ・バロテッリ選手が、
インテルの公開討論で、
なんとちゃっかりとACミランへの愛情を
表明してしまったのです。
このことがモウリーニョ監督と
モラッティ会長の怒りを買いました。
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バロテッリは
ACミラン対マンチェスター・ユナイテッドの
試合を観に、サン・シーロ競技場に出かけており、
自分がACミランのティフォーゾであることを
認めました。
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その翌日には、彼は少年たちに会いに行ったのですが、
「UEFAチャンピオンズ・リーグを制覇するまで
インテルにいてね」と懇願する子どもたちに、
バロテッリは微笑みながら
「じゃあ、生涯インテルにいよう」と答えました。
これはつまり、インテルの長年の悲願であり、
かなわぬ夢のように愛してやまない
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝杯は、
ずっと勝ち取れないんだよと
言っているのと同じことです。
これを受けたACミランのベルルスコーニ会長は
「バロテッリがインテルを離れるようなら、絶対に買え」と、
彼の重役たちに決然とした命令を下しました。
実現すれば、
ロベルト・マンチーニが
マンチェスター・シティーに入れたがっている
パトの代りということになるのでしょうか。
いっぽう、インテルに
ブラジルのフラメンゴへ送りかえされ、
人生を立て直したアドリアーノは、
イタリアにもどる用意があると言っています。
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「ぼくの夢は、
ASローマでトッティと一緒にプレイすることです。
それを願っています」と。
これが実現するのは,
W杯の後でしょう。
来る人あれば行く人あり、
まるで大きなホテルのように‥‥。
そういうわけで、
この夏のメルカートは、
すでに始まっているのです。