そんな、コーヒーを淹れるのが上手な 福田利之さんですが。
吹石	はい。
	じつは福田さん、絵も上手なんです。 イラストレーターなんです。
吹石	もちろん存じ上げてます。 週刊文春で江國香織さんの‥‥。
	知っててくれはりましたか、 うれしいです。 もう終わったんですけど、 江國さんのエッセイの挿画を やらせていただいてました。
吹石	すてきな、雰囲気のある絵を。
	そう、すばらしい絵を描かれるんですよ。 ついつい忘れちゃうんですけど。
	そこは忘れんといてください（笑）。
吹石	わたしは、絵の才能がまったくないんです。 だから、ほんとうに尊敬します。
	そ、そんな、いや、なんか‥‥ どうぞおかまいなく。
	ほめられて日本語がおかしくなってます（笑）。 じゃあ、吹石さん、 福田さんの絵をもっとみましょうか。
吹石	あ、ぜひぜひ。
	福田さんのホームページに行って、と‥‥。
	うわ‥‥これはこれで緊張や。
	たとえば、こんな絵とか。
吹石	わー、かわいいー！
	ねえ、おじさんなのに、 こんなにガーリーな絵が描けちゃうんですよ。
吹石	かわいいですねえ！
	ありがとうございます｡
吹石	うさぎの絵は描かれないんですか？
	あ、描きますよ。 ホームページにも載ってると思うんですけど‥‥。
	ええと‥‥ あ、これとか。
吹石	あ‥‥‥‥はい‥‥。 うーん‥‥ちょっとこれは‥‥。
	え（笑）。
	だ、ダメですか。
	ダメ、いきなりダメ（笑）。
吹石	もっと元気のいいうさぎが‥‥。
	正直なご感想をありがとうございます。 好きなだけに、どうしても厳しくなりますよね。
吹石	すみません（笑）。
	いやいや、勉強になります。 うさぎならなんでもいいわけじゃない、と。
	（ＰＣをみつつ）ほかにもこんな、 うさぎのイラストが。
	これはどうですか‥‥？
吹石	うーん‥‥。
	あかんのや（笑）。
吹石	ちょっとシュールなうさぎなので‥‥。 わたしはストレートにかわいいほうが‥‥。
	じゃあ吹石さん、これは？
吹石	わー、これ、おもしろーーい！ むちむちのうさぎ（笑）。
	いかがでしょう？
吹石	‥‥すてきなんですけど、 ちょっと肉感的過ぎて‥‥ごめんなさい。
	またあかんかった（笑）。
	ならば、これは？
吹石	ああ‥‥‥‥。
	ぼくはこれ、かわいいと思いますが‥‥。
吹石	なんか、うさぎがすごくさみしそう。
	アウトー（笑）。
	さみしそうと言われれば、たしかに‥‥。
吹石	このあとうさぎは、 ライオンに食べられるんですよね？
	あー、食べられますね、これは。
	‥‥もしかしたら福田さんは、 うさぎについての悲しい記憶があるから 無意識にさみしいうさぎを 描いてしまうのかもしれませんね。
	幼稚園ときの、うさぎ殺しの記憶が‥‥。
吹石	うさぎ殺しって（笑）。
	‥‥いずれにしても、気持ちいいです。 ここまで一刀両断にばっさり、 ダメって言われると、すがすがしいです。
	「すがすがしい」とは、ほど遠い表情ですよ。
吹石	あー、どうしよう（笑）、 なんだかわたし、すごく失礼なことを‥‥。 福田さんの絵のタッチは すごくかわいいと思ってるんですよ？！ ‥‥これとか！ 超かわいい、このうさぎは超かわいい！
	スピッツのＣＤジャケットのイラストですね。
	吹石さん‥‥これは、犬です。
吹石	えーーー！（笑） ごめんなさい、ほんとにごめんなさい！
	いや（笑）、正直ですばらしいと思います。 ちなみに、そんな吹石さんは、 どんなタッチのうさぎの絵がお好きなんですか？
	それ、気になります。 参考のためにぜひ教えてください。
吹石	わたしが好きなのは‥‥ ミス・バニーちゃんってご存知ですか？
	ディズニーの？
吹石	そうそう！
	ミス・バニーちゃん？
	画像検索してみましょう（検索する）。
吹石	わたしはあまりキャラクターものを 身につけたりするほうじゃないんですけど、 ある日ディズニーストアで見かけて、 一瞬で恋におちてしまって‥‥。
	‥‥出ました、こんな感じです。 ミス・バニーちゃん。
吹石	そうそう、ミス・バニーちゃん。 かわいいー。
	（モニタを凝視）なるほどぉ‥‥。
吹石	これをデザインした人は、 ぜったいにうさぎのことを よく知ってる人だと思うんです。
	はい、そんな感じがしますね。
吹石	うさぎのからだの構造も ちゃんと知ってて描いているというか。
	‥‥ぼくは、うさぎのことを なんにもわかっていなかったんですね。 飼おうとしたら死んでしまうし‥‥。
	でもほら、福田さん、 きょうはいい機会じゃないですか、 本物のうさぎ、大吉くんがいるんですから。 うさぎのからだの構造を じっくり観察できますよ。
	そうですね。 これを参考にして、 うさぎの絵をもっとがんばります。 ‥‥あ、かわいい。
吹石	写メとか、どんどん撮ってくださいね。
	ありがとうございます｡ お、大吉くん、ちょっと動き出しました。
吹石	目が覚めてきたのかな？
	‥‥というわけで、福田さん。
	はい。
	いまにして思えば‥‥ コーヒーを上手に淹れたところで やめておけばよかったのかもしれません。
	そうでした、あそこがピークでした。
	じゃあ、あの瞬間の気持ちに戻って、 「コーヒーで大成功！」 みたいな写真を撮っておきましょうか。
	そうしましょう。
	せえのぉ‥‥
	コーヒーでぇ大成功ー！
吹石	なんですかー、それ（笑）。
	すいません、 いっつもこんな感じなんです。
吹石	仲良しー（笑）、おもしろーい！ わたしも写真、撮っていいですか？ 自分のカメラで。
	こ、こんなものでよろしければ‥‥。
吹石	じゃあ、ちょっとおふたり、 もっと仲良しで、 もっとくっついてくださーい。
	え‥‥。
吹石	もう、ほっぺたを くっつけちゃってください。
	こうですか。
	うわあ！
吹石	ああー、ブレた（笑）。 山下さんが逃げるからブレちゃいましたよ。
	だってなんか、 肌に、ペチャッと、沼の水のような‥‥
	また無理矢理カッパの話を‥‥
吹石	はーーい、もう１回、撮りまーす！ チーーーーズ！！
（写真／吹石一恵） （吹石さんとのお話は、 　あしたがラストでーす！）

2010-11-29-MON