会社といっても、いつも毎日、会社にやって来て
働くっていうような仕事の仕方ではありません。
糸の素材づくりをしている人も合わせると、
300人ぐらいの人が関わってるんですけど、
村にいながら、お家のいろんな仕事をしながら、
時間のあるときに仕事をする、
っていうようなかたちをとっています。
出産したりすると、ある程度大きくなるまで
仕事をしなかったりもしますし。
わたしが注文を受けてしまうと、
やはり納期ということが問題になる。
村の人たちにはできるだけ
納期というものを設けないでやっていきたいと
思っているので、
「できたときに、できたぶん」という感じです。
ずっと一緒に仕事をしているのは、
クロタイ族、レンテン族、カム族という
主に3つの少数民族の人たちです。
紙づくりなどを入れるともっと多いんですが、
常にやっているのはその3つの民族です。
これがカム族の人たちのものですよ。
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巾着のかたちにしたのはうちの方で、
彼らの本来の仕事っていうのは、
こういう葛(くず)という素材から糸を作って、、
魚網といって、これ、交点を
1つ1つ結んでるんですけれど、
現地の人たちはこの素材で、この編み方で、
農作業に使う袋を作って使っている。
だからすごく丈夫である必要がある。
すっごい撚りをかけてるんですね。
手と、すねで。
その撚り具合っていうのはたぶん日本の葛布と
作り方が違うんじゃないかと思うんですが、
葛の蔓の部分から繊維を取り出して
糸を作るというところは一緒だと思います。
葛はね、わりと日本のどこにでもある雑草ですよね。
蔓で、鉄道の沿線とかにわりとよく見かけるんだけど、
おっきな3つの葉っぱで紫色の花が咲く、
そういうものがラオスにもあるんですよ。
カム族の人たちは、その葛の蔓から繊維を取り出して、
糸を作って、こういうものを編んでるんです。
ほんとうに手間がかかっているんですが、
ラオスといえどもどんどん、今、発展してるから、
やっぱりこれはいちばん先に消えていくかもしれません。
消えていかざるをえない。
やっぱり買う側としてはどんなに手間がかかっていても、
値段の問題が出てくるから、
厳しい仕事だろうなと思ってます。
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こちらの木綿はレンテン族です。
このレンテン族の人たちっていうのが、
わたしが日々見ている中では、
かなり今でも、自給自足に近い生活をしている、
そんな匂いがまだまだ強く残っている人たちで。
この木綿は、各家庭、各お家の中で、
畑で綿の種を栽培するところから綿花を摘んで、
糸を紡いで、その紡いだ糸でこういう白い反物を織って、
この青とこの黒の部分は藍染めなんですけれども、
この藍染めをする植物ももちろん畑で栽培しますし。
藍染めって石灰が必要なんですけれども、
その石灰も自分たちで作るんです。
石灰に必要な石を山で探して、切り出し、
山の斜面を利用して、穴を掘って窯を作って、
2晩ぐらい薪でその石を焼くんですね。
そうすると、真っ白な粉になる。
そうやって石灰もまだ自分たちで作って、藍染めをして、
手縫いで縫って、これが完成します。
これは、彼らがお金にするための商い、
私が買い取る商品として作っているんですけれども、
彼らはまだ自分たちの衣装も
その布で手縫いで縫って着ているんですね。
けれどもやっぱり、どんどん、時代が変わってきて、
若い人たちなんかはそういうことがどうしても
かっこ悪いとか恥ずかしいとかね、
──ま、それが普通だと思うんですけど──、
どうしても周りの人たちと違うっていうことが、
若い人たちは嫌になってきている。
今、こういう布は、急激に、
若い人から捨てられ始めてるんです。
基本的にはこういうことをついこの間まで、
みんな、やっていた人たちなんですけれどね。
畑を耕し、糸を作るところから、
最後、縫うところまで1人の人がやります。
これとこれでは、お家が違うっていうか、
人が違うんですね。
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同じようで実は全部1枚ずつ違うんです。
たとえばこういう黒い布でも、
この黒い布とこの黒い布、
よく見ると違うっていうのはわかるんですけれども、
村の人たちは、たとえばこの黒い布の状態で、
ばーっと集められてね、
レンテン族の人たちが45人いるんですけど、
45枚の同じような黒い布があっても、
自分の家の布はどれなのかすぐわかるんですよね。
わたしは、いったん集めてしまったら
これがワンさんとかいうことがわからないんですけど、
彼らは、あ、これ、私の家で作った布ってすぐわかる。
真っ黒なただの布でも。
で、何でわかるの? ってこう、聞くと、
そんなのわかるに決まってるじゃないか、
っていう答えが返ってくるんですよね。
みんな、それぞれ、畑で糸作るところから
糸の紡ぎ方から何もかも、
織物の道具もお家で作ってるわけだから、
違おうと思って違わせてるわけじゃないけれども、
どうしても違っちゃう。
だからそんなのわかるに決まってるじゃないか、
っていう答えが返ってくるような、
すごい人たちなんですよね。
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