── |
ちょっと脱線するんですが、
さっきお話に出た
不条理コントみたいな演劇が流行ってたころに
おふたりもすこし、お芝居に出たりしていたそうで。 |
タナカ |
ええ、ああ、はい、
やりましたね。 |
── |
なんでも、うちの山下がやっていた
劇団に出演されたとか。 |
天久 |
うん、山下さんと、古いつきあいで。
ぼくらはゲストでときどき参加して。 |
タナカ |
あのね、お芝居ってね、毎日稽古すんのよ。
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── |
毎日。 |
タナカ |
もう毎日。
今思うとすごいのが、みんな、働いてるんですよ。 |
── |
昼間はアルバイトで? |
タナカ |
大学生とかじゃないの。就職してる人もいるの。 |
── |
あ、そうだったんですか? |
タナカ |
会社が終わって、
発声練習してる。 |
天久 |
(笑)。 |
タナカ |
そう、ア・エ・イ・ウ・エ・オ・アオとか言ってさ。
あめんぼあかいな、言ってんだもん、おかしいじゃん。 |
── |
すごい。
え、じゃあアフター5に、ぼちぼち集まってきて。 |
タナカ |
だから
ネクタイ締めてるの、最初。 |
天久 |
(笑)。 |
タナカ |
ネクタイ取って、ウオーとか言って演技すんだよ。 |
── |
不条理な世界を。 |
タナカ |
そう、不条理な世界を。
「お願いします!」
とか言って。
「ぼくの、ぼくの弟子になってください!」
とか言ってさ、土下座するコントとか。 |
天久 |
あと銭湯に行った外人が、脱衣場で服を盗まれて、
全裸で家までたどり着く話とか。
そういえば、あのとき土下座してたの、山下さんですよ。 |
タナカ |
うん。
「お願いします、ぼくの弟子になってください!
弟子になってくれるまで、ここを動きません」
とかいうようなさ、
何だそれ!っていうようなことを
やるのよ。
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── |
そうですか(笑)。
お芝居の話がおもしろくて
そっちばっかりになっちゃいそうなので、
『バカドリル』の話に戻らせてください(笑)。 |
タナカ |
あれはあれで、おもろかったですよ。 |
── |
はい。思い出話をありがとうございます。
で、『バカドリル』っていうのは、
おふたりで、どんなふうにやって作ってたんですか? |
天久 |
会って、打ち合わせして、でしたね。 |
タナカ |
あの、演劇とかやってたころだよね?
『GOMES』配ってたのって。 |
天久 |
うん。 |
── |
そのフリーペーパーの『GOMES』連載から
書籍化するまでには、
ちょっと時間がかかったんですか? |
タナカ |
うん、そうですね。 |
天久 |
うん。
デザインとか作るのが結構時間かかったんですよね。
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タナカ |
はじめの書籍は何年だったっけ? |
── |
ええと‥‥初版が94年になっています。 |
天久 |
だからね、5年なんですよ。 |
タナカ |
そうだね。連載始まってから5年かかって、
書籍になったんだ。
でね、5年経ってるから、僕らにしてはね、
当時の20代の5年じゃん。
だからもうだいぶ変わってんだよな。
出したときって。 |
── |
ああ、そうでしたか。 |
天久 |
最初のノリからは、変わっていった気がします。 |
── |
なるほどー。 |
タナカ |
大判の出したあと、文庫本出して。
文庫本の方が売れる。
『バカドリル』
大きいのは、売れなかったんですよ。
でね、シリーズの累計50万が部なんやね。 |
── |
どひゃー! |
タナカ |
でね、それはね、長〜い時間かかってんのよ。
出したときってやっぱ、それなりに売れてなくて。
この本は、ほっとんどが、
回し読みなんですよ。 |
── |
そうなんですよ!
そして、あたしのもなくなりました。
回って、どっかいっちゃったクチです。
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天久 |
たいてい高校生とか、大学生でしたからね。
よく言われるのは、
「見たことあります、
買ってないけど」
っていう。 |
タナカ |
「そう、ほとんどそう」
読んでるのに、持ってないのね。 |
天久 |
今回は買って下さい(笑)。 |
|
(続きます!) |