
『天才バカボン』をはじめ、数々の
名作マンガを生んだ
赤塚不二夫さんが亡くなって、一年。
一生をかけてギャグをやりきった赤塚さんは、
実際には、どんな方だったのでしょうか。
『天才バカボン』文庫版のブックデザインを担当し
松屋銀座の「追悼 赤塚不二夫展」の
会場デザインを担当される祖父江慎さんに
お話をうかがいつつ、
バカボンの世界に近づいてみたいと思います。


| そういえば、トキワ荘時代の未現像フィルムが いっぱい出てきたんです。 赤塚りえ子さんが見つけたんですが、 今回、それをプリントしてみたらすごくって。 | |
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| ほぼ日 | それも、展覧会で拝見できるんですね。 たのしみです。 |
| たのちみでちょう! 一部展示させていただいてます。 あと、ぜんぜん別の話なんだけど、 赤塚さんに「オカマちゃん」と呼ばれながら ふたりで肩を抱き合って ニコニコしてる写真もあるんだよ。 荒木(経惟)さんに撮っていただいたの。 | |
| ほぼ日 | へぇー! 見たいです。 |
| でしょう? ……どこに行ったのかな、あの写真。 あんまり大事だからしまってあるんだけど、 それがどこだかわからなくなっちゃった。 | |
| ほぼ日 | しまいすぎで。 |
| それとね、子どものとき、 姉とシェーしてる写真も このあいだみんなに見せびらかしてたら、 そのままどこに置いたかわからなくて 見つからなくなっちゃって‥‥。 | |
| ほぼ日 | ‥‥‥‥。 |
| あと、「週刊少年サンデー」のシェー特集号も そういえばこういうのがある! と、 ゴジラのシェーとかを見せまわってたら、 そのまま見あたらなくなっちゃった。 大事な3点セットが‥‥。 | |
| ほぼ日 | どうするんですか‥‥。 |
| 大事なものって、ダメだね。 大事だと思って、どこか大事用の、 そのときに決めた 「大事置き場」に入れちゃうんだねぇ。 ‥‥で、 大事がどこだったか 忘れちゃう‥‥。 | |
| ほぼ日 | もし見つかったら、 また写真撮りに来ますね。 |
| (弱々しく)はい。 | |
| ほぼ日 | 借りたらまたどこか行っちゃうから、 ここで撮影して帰ります。 |
| (同じく弱々しく)はい。 | |
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| ほぼ日 | だけど、こうやって マンガを前にしていると、どうしても 読んじゃいますね。 やっぱりすごい、 アイディアの数がすごい。 |
| そうなんだよねー。 文庫の『天才バカボン』って 21巻あるんですけど、 1巻から3巻までが いちばん売れてるんです。 でも、それじゃ、もったいないんですよ。 全巻読むつもりのない方は 13巻、14巻くらいから 読むことをおすすめます。 さいしょのころのノリは、 どちらかというと『おそ松くん』に近いんです。 なかばくらいから‥‥。 | |
| ほぼ日 | どんどんすごくなる‥‥。 |
| これでもかってくらい。 ギャグをやり尽くしたあとでどうなるか、 その先まで赤塚さんはやっている。 | |
| ほぼ日 | これは? |
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| それは、マンガが逆転してる回。 絵のとこに字があって 字のとこに絵があるの。 | |
| ほぼ日 | うわ、左手で描いた回もあるんですね。 ああ、これまたちょっと 「ダメおやじ」みたいなタッチのも‥‥。 |
| 終着点がないですね。 すごい、すごい。 | |
| ほぼ日 | 赤塚さんは、お人柄も そういう楽しい方だったんですか。 |
| どうなんでしょうね。 きっと、あんまり ものへの執着はなかったような気がします。 すごく儲かっちゃった年に、 キャンピングカーやヨットを買って、 みんなで楽しんだあとで、 「いいな、いいな」とか言ってる知人に、 「そんなおもしろかった? じゃあ、やるよ」 とか言ってあげちゃったりしたらしいですね。 | |
| ほぼ日 | 不思議な方ですね。 |
| 赤塚さんって、 みんなの理想の中の 日本のお父さんって感じですね。 すべてを許してくれる。 みんなが喜ぶのを見るのが 好きだったんじゃないかしら。 | |
| ほぼ日 | じゃあ、それにまんまと乗っかって、 われわれ子どもも楽しんで、 マンガやアニメを見たんですね。 |
| そうだよね。 でもね、 「俺には、まだ 笑わせてないのがいた」 って、おっしゃってたんですよ。 「誰ですか?」って聞いたら 「マンガが読めない子には まだ笑ってもらってない!」 って。 | |
| ほぼ日 | ええ? |
| それから、点字の絵本、 『よーいどん!』を作られたんですよ。 指で迷路をたどっていく、さわる絵本。 それは、小学館から出ました。 | |
| ほぼ日 | ええっと、それが2000年。 |
| なんだか、すごいよね? 「読むことのできない子の 漫画をまだ描いてなかった」 って。 | |
| ほぼ日 | 赤塚さんは、お酒やガンで ご体調を崩されて、 よく入院なさってましたが。 |
| お酒を飲んでばっかりで、 なかなか食べてくれないって 眞知子夫人は心配して、 打ち合わせのときには 栄養たっぷりなたこ焼きがよく出ました。 そういえば、眞知子さんったら 赤塚さんの体調が優れないとき、 元気になってお酒もひかえてもらおうと、 自動車の教習所に通わせていたの! でね、免許、取れちゃったの! | |
| ほぼ日 | すごい。 |
| 眞知子さんから 「免許取りました。 フジオちゃんが運転します。 一緒にドライブにいきましょう」 ってメールをいただいて、 ギャグなのか本気なのか よくわからなかった(笑)。 眞知子さんからは ときどき画像つきのギャグメールを いただいてたの。 赤塚さんの運転って、ちょっと怖いかもでしょ? 本気のお誘いだったのかなぁ? | |
| ほぼ日 | どこまでがギャグか わかんないですね(笑)。 |
| うん、全人生を ギャグで貫きましたものね。 テレビで見たんですが、最期のひとことは 「あ、オッパイだ♪」 だったらしいですものね。 | |
| ほぼ日 | ギャグで突き通す、 いまの赤塚不二夫さんを見に、 松屋銀座に向かいたいと思います。 お話、ありがとうございました。 |
| あにゃがとーございにゃした! | |
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| 赤塚不二夫さんのこと、教えてください。 |
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| 山田一郎って、誰? |
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| 赤塚不二夫の名前は要らない。 |
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| テキスト中継 「追悼赤塚不二夫展」搬入 |
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| バカボンのパパは主人公じゃなかった。 |
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| 笑いを超えていく。 |
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| 最後までオカマちゃんと呼ばれ。 |
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| 「いまの赤塚さん」をやらなくちゃ。 |
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| 俺には、まだ笑わせてない人がいた! |
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