| 糸井 | 
                                ではもうひとり、 
      質問を受けましょうか。 | 
                              
                              
                                |   | 
                                --------------------------------------------------------- 
      学生なんですけど、 
      これから社会に出るにあたって、 
      お仕事をする上で、 
      こういう人となら面白い仕事ができるなとか、 
      どんな人と会って仕事がしたいなって 
      そういう人間性みたいな部分で、 
      どんな人を面白いと思っているのかなと 
      いうのを、糸井さんと大橋さんに、 
      お聞きしたいです。 
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                                | 糸井 | 
                                僕、友達が年上に多いタイプなんです。 
      本当にね、もうすぐ死ぬみたいなことを、 
      自分で平気で言える人たちと 
      普通に話してるときに、その人がだいたい 
      僕にいろんなことを聞いてくれるんですよ。 
      子供みたいに。 
      たとえば中日の落合っていう人は 
      どうして人気が出ないのかねえ(笑)。 
      そんな会話があったわけじゃないですけど、 
      たとえばね、で、 
      僕が答えている状況っていうのが結構あって、 
      「ああ!」って言ってくれるんですよ。 
      で、同じように僕はその人に対して、 
      これはどういうことなんですかね、と言うと、 
      それはあれじゃないですかねって 
      言うんですよ。 
      つまり両方とも一番地面のところで喋る。 
      それは全部面白いですね。 
      で、若い子と喋ってても同じなんで、 
      僕はその若い子に対して 
      言えることまでは言うし、 
      逆に聞きたいことがあれば聞くし、 
      っていうので、すっと平らになれる。 
      で、何かありげな人は、たとえば 
      カメラの話でもね、 
      自称カメラマンていう人とかと喋ってるとき、 
      つまんないのは、 
      糸井さん、それ、こうするといいんですよ、 
      てなこと言われると、 
      そういうことじゃないんだよ! って。 | 
                              
                              
                                | 全員 | 
                                (笑) | 
                              
                              
                                | 糸井 | 
                                俺はお前がカメラマンで生きてる、 
      このところよりももっと 
      こんなに高くて低いことを聞いてるんだよ! 
      って言いたいんです。 
      つまり、なまじの高さって 
      もううざったいんですよ。 
      一番低いものと一番高いものっていうのは 
      イコールなんですよ。だから素直に 
      ほんとに気持ちよく、 
      何も知らない人同士として喋ってるときは、 
      どんなにプロと喋っててもおもしろいですよ。 
      で、半端に知識のあるやつと喋ってるのは 
      もう全部つまんない。 
      若い子もゼロの子が全部面白いんです。 | 
                              
                              
                                | 大橋 | 
                                わかります。 | 
                              
                              
                                | 糸井 | 
                                そうですか、 
      で、大橋さんに渡します。 | 
                              
                              
                                | 大橋 | 
                                自分が何ができるかっていうこと。 
      若い人は、 
      勉強して来たから仕事ができると思っている 
      けれども、実際には 
      通用するとは言えないような 
      気がするんです。 
      だから今、おっしゃったみたいに、 
      そういうことはちょっと 
      横に置いておいて。その人の 
      人間的なもの、普通のところ。 
      仕事ができるできないとかっていうこととは 
      全然違う、たとえば、 
      おいしいご飯食べて、いい友達がいて、 
      それでお掃除ができてとか、 
      そういうごく普通のことがまじめにできる人、で 
      十分じゃないかなと思うんですね。 
      学校で習ってきて、 
      それが私にはとてもできるんだ、 
      と思っている人が多すぎ。 
      習って来たからできるから、 
      それを仕事としていきたいと 
      思ってる方が多いんです。けれども、 
      それは実はほとんど役にも立たないことが 
      多いんですよね。 
      こういうともうしわけないですけど(笑)。 
      それよりもその人の、普通のところ。 
      普通の生活ができるかというようなところが 
      やっぱり一番大事。 
      そうすれば逆に習ってきたものが、 
      しばらくしたら役に立っていくんじゃないかな 
      と思います。 | 
                              
                              
                                | 糸井 | 
                                最高にその通りです、 
      いや、今日の大橋さんが感謝していた 
      清水さんという人は、マガジンハウスの、 
      社長になられた清水達夫さん‥‥ですよね? | 
                              
                              
                                | 大橋 | 
                                あ、会長になられて、 
      でも、もうお亡くなりになられた。 | 
                              
                              
                                | 糸井 | 
                                先祖みたいな人ですよね。 | 
                              
                              
                                | 大橋 | 
                                創始者。 | 
                              
                              
                                | 糸井 | 
                                ──ていう人なんですよ。 
      で、その人がヒントになってるんだけど、 
      何も言わなかったけど、 
      「いいね」って言って選んだでしょ。 
      お客さんと同じことをしたんですよ。 
      つまり、大橋さんの『平凡パンチ』の絵を 
      お客さんがいいねと思ったんです。 
      で、来週も見たいねって思ったんですよ。 
      で、その清水さんていう、一番偉い人も 
      大橋さんの絵を見て、 
      いいね、って思ったんです。 
      で、それが最大の仕事だったんです。 
      だからお客さんと 
      一番偉いさんだった清水さんという創始者は 
      同じことしてるわけで、 
      何もしてないとも言えるんですよ。 
      いいね、っていうのがちゃんと言える、 
      っていうのはものすごい大仕事なんです。 
      だからお客さんとして最高のお客さんは 
      すぐに何かになりますよね。多分。 
      安心してください。 
      ということで、終りにしましょう。 
      大橋さん、今日はどうも、ありがとうございました! | 
                              
                              
                                | 大橋 | 
                                いえいえ、こちらこそ、 
      本当にありがとうございました。 | 
                              
                              
                                |   | 
                                (おわりです!)  | 
                              
                              
                                2007-02-14-WED  | 
                              
                              
                                協力=クリエイションギャラリーG8/ガーディアン・ガーデン  |