hobonichi presents
うわさのシャッターチャンス・ガール うめかよ参上!うわさのシャッターチャンス・ガール うめかよ参上!


うめ 零士さん、ワインまわしとる!
それ、真似したほうがいいんですか?
零士 時計と逆まわりにね。
うめ 時計まわりじゃ、なんでダメなん?
零士 時計まわりでまわしちゃうと、
前にいる女性に
かかっちゃうかもしれないでしょ。
うめ プレイヤーの気配りやね!
零士 ここでは、すべて女性に合わせなきゃいけない。
女性が寒いっていったら、空調を止める。

自分は暑くて汗だくになっても
ジャケットを脱ぐことは、許されないんです。
うめ ユメのようやわ。
零士 で、こうやって、ちょっと香ってみたり。
「まろやかな香りですね」とかさ。
うめ まろやかな香り‥‥ですね‥‥。


零士 うめちゃん、おなか空かないですか?
ここの料理はすごいから。

‥‥マー君、いつものやつ、お願いね。
(※マー君は従業員のかたです)
うめ いつものやつ?
零士 21〜22歳のころ、仕事が終わると
かならず、ある有名レストランで
ハヤシライスと
ビーフシチューライスを食べてたんです。

で、僕が独立するタイミングで、
うちの店に来てもらったんですよ。
だからこの店では、某有名レストランの
メインチーフだった人の
ビーフシチューライスが、食べられるんです。


うめ わぁっ、たのしみー!

このお店に、プレイヤーさんて
何人くらいいらっしゃるんですか?
零士 50人くらいですかね。

でも、ここだぞっていうところで、
「さっきのあの場面、
 こうこう、こうなったけど、わかったよね?」
「はい、わかってます」って
ぼくとアイコンタクトレベルで
わかりあえるのは、上の3人くらいかな。
うめ そんなに、すこし?
零士 僕が言うんだから、まちがいないと思います。
20年見てますからね、この業界を。
うめ なにがちがうんですか?
その3人とかに入る人って。
零士 リアクションとか、コメントとか、
動きの俊敏さ、タイミング‥‥ぜんぶ、巧み。

ふつうのやつには見えてないとこが、止まって見える。


うめ そのへんが、さっき言ってた
零士さんたちのシャッターチャンスなんやねー。
零士 それをもってるやつって、ほんとに少ない。

でも、本人たちにとってみれば
カンタンな話なんですよ。
止まってるのが、見えてんだから。

‥‥いま出てったちびっこいやつ、
別にいい男でもなんでもないんだけど、
あれ、うちのナンバーワンです。
うめ えっ! もっとよく見とけばよかった!
零士 ぜんぜん、ふつうです。
でも、話すとすぐにわかります。なるほどーって。
うめ へぇー‥‥。はぁ‥‥。
零士 まわりで起きてることに敏感ってとこは
うめちゃんとおんなじなのかもね。
うめ プレイヤーのアンテナが、
いっつも立ってるんですね。
零士 僕のばあいは、
それこそ「男子」のころによく採った
「クワガタの触覚」をイメージしてます。
次はなにをすべきなのか、
いま、なにが起ころうとしてるのか、
つねに、敏感なんです。

‥‥たとえばね、ほら、そこ。


うめ わっ! しらないうちにだれかが
割りばしのふくろ、三角にしてくれてた!
零士 あたりまえのことです。
あなたにとっての「舞台」ですから、ここは。
うめ いちいちびっくりするね‥‥。
零士 あ、あと、ワイングラスは
下のほうを持つとかっこいいよ。
できれば片手でね。
うめ うーん、ホンモノの店だと
いろいろ勉強になるんやねー。

これで稲垣吾郎と付き合えるわ!
零士 ‥‥なんで?
うめ 稲垣吾郎、ワイン好きやから。
これで付き合えるわ!

(いらっしゃいませーっ!)
うめ あ! あれが‥‥あれが‥‥。
零士 あれが同伴。
きれいな服着て、ヒール履いてるでしょ。


うめ 履いとる、履いとる!
男の人はふたりなのに、女の人はひとりよ?
零士 エスコートしてるんだね。

‥‥あ、ビーフシチューライスがきましたよ。
どうぞ、お召し上がりください。
うめ これ、めっちゃおいしい!
ギザうます! 世界のグランプリ!
零士 摩天楼ですから、東京は。

摩天楼にあるものは、
そこらへんには、ないんです。



うめ はぁ〜。もう、まえの店の恐怖、
なんやったんやろうって感じ、いま。
零士 うちには、品のわるいやつはいないんですよ。
お客さんにサービスを施すんだったら、
キリッとした洋服で、品がよくて、あたりまえ。
だから、お客さんのほうも
サンダルじゃちょっと、来づらいでしょ?

だから、うめちゃんも
こんどからは、ちょっとおしゃれなデニムに
ピンヒールっぽいのを履いてさ、
おへそ出してこないと。
うめ へそかぁ‥‥へそくらいやったら
出せんでもないけども‥‥。
零士 ちょっといい上着、
ばっと羽織ったりしてね。
うめ じゃ、次に来るときは、キャラチェンジやね。


零士 ぜひ、また。

個人的な「男子の問題」とかにぶち当たったら、
ちょっと、零士アニキに相談ね。
うめ はい! ほんとに相談に来んと。
今日もう、
零士さんに写真を見てもらったり、
ホンモノの店に連れてきてもらったりして‥‥
ほんとに、ありがとうございました!
零士 うめちゃんて、
「オトコ」のことはあんまりわかってなくて、
でも「男子」の「かっこよさ」にあこがれてる。

だから、あんな写真が撮れるんだなあって。
今日あってみてね、そう思いました。
うめ もう、零士さん、めっちゃ無敵やなぁ。
まさに「男子」やわー!


撮影:梅佳代


写真集『男子』発売記念として実現した
梅佳代さんと零士の異色対談、
お楽しみいただけましたでしょうか?
珍道中のような連載は、これにて終了です。

お読みいただき、ありがとうございましたー!


2007-09-14-FRI
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