前回、裏地と表地の
縁の円周が大幅にズレていることが判明し、
やり直しをしたのでありました。
どこからやり直しかといえば、
布地を切るところからであります。
「とりつくろう」「てきとう」「なんとなく」
というような言葉がこの世には
存在しないのだと、
そう信じて作業をすすめたのであります。
そして、最後の教室が始まる前までには、
「リアルな切腹」
「リアルでない切腹」
両方ともに、仕上げ一歩手前のところまで、
準備ができたのでありました。
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仕上げ一歩手前というのは、
裏地と表地をぴたりとかさねあわせ、
そののあいだに、
向こうが透けて見えるような、
「寒冷紗」と呼ばれる布地を幅一センチくらいに切って、
ぐるりとまわし、しつけをしておく、
という作業です。
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正直もうしあげるとですよ、
この作業をしてしまうと、
もはや内側にくる縫い目などに
再びまみえることは無くなります。
えー、ある意味そのへたくそなミシンの縫い目などの
証拠隠滅作業であるとも言えるのです。
え〜い。先生が来る前にしつけで縫い合わせちゃえ!
という意図がなかったといえばウソと申せましょう‥‥。
スソせんせ〜い!
ど・う・で・す・か〜〜!!
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「あ、できましたね〜、
ようやくできましたね!
次の作業に移りましょう!」
次の作業は、さらに縁に
自分の頭の円周と同じサイズリボンを
ぐるりとまわします。
そして、その縁1ミリのところを
ミシンでだーっと縫います。
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これで、表地と裏地が合わされるだけでなく、
縁の補強にもなり、かぶりやすくなります。
幅一ミリのところを普通縫えるか?
しかも、ものすごい焦っている心を抱えて。
その気配を察してくださったのか、
スソ先生が、
「難しそうだったら、
私がやりましょうか?」
とまでおっしゃってくださったのですが、
いや、ここは一つ自分で、と我を通しまして、
ミシンに向い、だだーっとしてみましたところ!
ミラクルが。
ええ、できたのでございます。
縫えたのでございます。
かなり、うれしいのでございます。
そして、完成まではあと1ステップ。
リボンの内側をまつり、
リボンを安定させます。
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ちくちく。
ちくたくちくたく。
ちくちく。
ちくたくちくたく。
ちくちく。
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時間がすっ飛んでいきます。
先生がいる時間内に完成させて、
写真におさまりたいのであります。
さらにいえば、欲をかいているので、
まつり縫うのは2個ぶんの帽子の円周なのです。
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ちくちく。
ちくたくちくたく。
ちくちく。
いてて。
ちくちく。
あ、社長だ!
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ちくちく。ちくちく。
そして、ついにできたのです。
ジャカジャーン!
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ジャカジャーン!
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やみくもに作業をはじめて、
やり直したり、
複雑すぎる型紙をみて
がく然としたり、
作業の雑さで
やり直したり、
いろいろとありました。
どうにもならないと思って相談をすると
いつもにこにこと、的確なアドバイスをくださって、
永遠に続くかと思われるような、
不肖の生徒のすったもんだに
根気よくおつき合いいただいた
スソ先生に本当に感謝でございます。
立体物をつくる難しさを学び、
「雑である」という自分の性質を
深く見つめる機会でもありました。
スソ先生!
ありがとうございました!