テスト前、
わりとちゃんと勉強するほうでした。
「授業をちゃんと聞いてたから、
そんなにあくせく勉強しなくても
大丈夫だもんね」
なんてことは、なかった。
もう心配で心配で‥‥。
ハイ、わたくしあまり自分を
信用しておりません!
しかし、そうは思っていても
やっぱりサボっちゃうということはあるわけで、
それでずいぶん痛い目にも遭いました。
さあ今回はどちらでしょう?!
‥‥前回、布を決めた日曜日。
カーペットのように包んでもらった
「ウェットスーツ生地」を前に、
わたくしハタと思いました。
型紙、やばい!
というのはですね、スレキでつくったとき、
最初の型紙に不備があったようで、
ほら、こんなにすきまが。
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これ、目玉焼きの「黄身」の部分が大きくて、
7ミリずつの縫いしろであわせると
こんなふうになっちゃうのです。
このとき、わたくし、
ずるいことを考えました。
イラストをごらんください。
こうならないといけないところが。
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こうすればいいじゃないかと。
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ね? これなら型紙直す必要はないです。
縫う時に、適当に調整すればいい。
‥‥と思っていたわけです。
そうして、前回の「布えらび」に至ったわけですが、
ここで臆病風が吹きました。
「なんとかなる、なんてことはない!」
と‥‥。
そうです、テストだって直前までいっしょけんめい
勉強したほうがいい点がとれました。
競馬も予想が肝心です。
そういえば、天皇賞外したな。
というのはさておき、
私のなかの臆病風はぴゅうぴゅうと木枯らし状態。
「これではせんせいにおこられる!」
と、やり直す決意をかためました。
まずは、できあがっていたスレキの帽子を
ばらばらにしてみます。
どれくらい、ごまかしていたのかと。
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はっ‥‥4センチも!
ばかばか、2週間前のおれ!
あとでつらいことになるのは
わかっていただろうに!
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見苦しい画像でもうしわけない。
暑い日だったので上を脱いだのです。
裸の大将放浪記です。
す、す、スレキがあまってしまったんだな。
こまったんだな。
せんせいに、おこられるんだな。
それを見て山下が笑います。
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「けっけっけっ‥‥じごうじとくですよ」
こんな底意地の悪い山下の笑いごえを聞いたのは
はじめてのことでした。
いいですよ、作り直しますから。
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ちくちくちくちく‥‥時は過ぎていきます。
時計も、さいほうも、針の擬音は
「ちくちく」なのですね。
あ、時計は「ちくたく」か。
ということはどうでもよくて、
型紙を直し、スレキを切り、縫い合わせ、
さらに微調整するためにふたたび型紙直し、
スレキを切り、縫い合わせ‥‥と繰り返すこと、
なんと6回!
なんとかできあがりました。
そして先生に見せる当日。
もう、ドキドキですよ。
オーディションみたいですよ。
(受けたことないけど。)
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ここがこうだったもので
ここをこうしましてね、
こう調整して、
こうなりました。
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「あら! その直し方に、
気づいたっていうのはすごいです!」
先生ったら、ほめてくれましたよ!
わーい! 完成? 完成?
「ただ‥‥」
えっ。ただ、なんですか。
「白身の部分が、
角度がつきすぎていませんか。
富士山に雲がかぶってるみたいに見えますから、
もうちょっと平たくしましょうか」
えっ。
ということは、型紙、
もいっかい、直すのかちらー。
「はい、直しましょう!」
ええ、わかりました。
もうこうなったら何百回でも直しますよ!
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切って‥‥
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貼って‥‥
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広げて‥‥
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山下がばかみたいに喜んでる横で‥‥
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じっくり熟考し‥‥
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お菓子を食べ‥‥
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修正いたしましたとも!
「そうそう、そのくらいの角度にしたほうが
いいですよね! 目玉焼きっぽくて」
そうしてもいちど、スレキにもどって
確認をいたします。
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もう外はとっぷり暮れてきました。
いちおう「できた」ことにはなったけど、
なんだかかえって不安が増した気も
しないでもありません。
どうなんでしょう。
えっ? もう、次は、ミシン?
また日曜日に来て、再々再々度確認をしようかな‥‥
ああ、不安。
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型紙は、納得行くまで
ちゃんとやり直したほうが、いいんですよ。
最後になんとかしようというのは、
結局まんぞくの行かないものができちゃいます。
ここで、がんばりましょうね。 |
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