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金谷さんはさっそく、
われわれに「中附け」という工程を見せてくださいました。
駆け足になりますが、順にご紹介いたしましょう。
まずこちら、
これは3枚の紙を合わせて「折り加工」された、
紙扇子の紙部分です。
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じゃばらにはなっていますが、
「扇骨」を差しこむ隙間はまだありません。
これを機械にセットして‥‥。
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コンプレッサーで、シューっと空気を送り込みながら‥‥
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横にスライドしていくことで、
「扇骨」を入れる口をあけていきます。
この作業、職人さんはひとつずつ口で吹くのだとか。
何度も繰り返し、
くちびるが切れて血が出ることもあるそうです。
機械ならば酸欠になることもありません。
でも、最後の調整はやはり手作業。
口の開き具合を微妙に整えます。
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差し込み口が開きました。
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「扇骨」に糊を塗ります。
この作業は、機械ではできないそうです。
油のある竹は、
ローラーやブラシで糊を塗ってもはじくので、
ここはハケでしっかり、
こすりつけるように糊を塗ります。
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口の開いた紙を台にセットして、
糊を塗った「扇骨」の骨を1本ずつ、差しこんでいきます。
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かなりの、手作業。
集中と緊張なくしては、できない工程です。
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しかも、糊がかわかないよう、
手早く済ませなくてはいけません。
真ん中の「芯紙」を裂き、「扇骨」をぐっと押し込みます。
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糊がかわく前に、手早くやるべき工程がもうひとつ。
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押し込んだ「扇骨」は、紙の折り目ごとに、
きちんとぜんぶが中央におさまっていなければなりません。
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つまり、紙の中の「扇骨」を整列させる作業です。
職人さんが経験で行うこの工程は、
機械がしっかりと助けてくれます。
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セットして、機械が押さえ込めば、
これでもう「扇骨」は正しい位置に整列。
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軽くたたいて、糊を密着させます。
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糊を縫ってからここまでの作業が、
最も集中するところだとか。
しかも季節や湿度によって
糊がかわく時間が変化するので、
そこはどうしても経験で調整することになるそうです。
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つづいて、「つぶす作業」になります。
竹が差しこまれた紙は、
差しこまれた竹の厚みの分だけ体積が増えて、
中央がごろごろした状態になっています。
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このままだと、
扇子をとじたときに骨の部分がごろごろして、
紙がぴたりと重なりません。
つまんでみると、たしかにごろごろしています。
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この竹の厚みを、たたいてつぶします。
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つまんでみたら、ごろごろがなくなっていました。
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いよいよ仕上げ。
「扇骨」の外側の2本を「親骨」といいます。
その「親骨」を、遠赤外線ランプであたためます。
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あたためた「親骨」を、プレスにのせてぐいっと曲げます。
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「親骨」を適度に曲げることで、
パチンとしまる扇子になります。
どのくらい「親骨」を曲げるのかは、
戻る分をふくめて決めなくてはならないので、
ここは経験による判断になるそうです。
こうしてようやく、
ミナ ペルホネンの「おおきな木 と ことり」が、
いくつかの工程を残して、ほぼ完成となりました。
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いかがでしたでしょうか。
アイデアと工夫を駆使しながら、
金谷さんが
圧倒的にたいせつになさっていることはやはり、
「京扇子の伝統」と「製造技法の継承」なのだと、
この工程を見学したわれわれは思いました。
お仕事の根底には、
職人さんと同じ想いがしっかり流れていると。
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▲創業約300年の老舗扇子店「山二」が
大きな信頼を寄せる金谷雅明さん
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▲あかるくたのしい、アイデアと工夫
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こういう場所で、
こういう人々の手で、
「ほぼ日のいい扇子」は1本ずつ、つくられています。
長いレポートになりました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
(扇子チーム一同)
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