昆布屋孫兵衛の「カカオとこしあんのフィナンシェ」のこと。

カカオとこしあんのフィナンシェの画像

口から鼻に抜ける香ばしいカカオの香り、
「カリカリッ」と口のなかで楽しい食感のカカオニブ、
焼き上がった焦げ茶色の生地には黒豆がふたつ。
カカオパウダーとこしあんが練り込まれた生地は
しっとりやわらかく、
やわらかいチョコレートの焼き菓子を思わせます。

「和の要素を取り入れた
カカオのフィナンシェをつくるのは、
ぼくにとって初挑戦でした」

と、昆布屋孫兵衛の洋菓子担当・昆布智成さん。
それだけに、完成までには
ずいぶん試行錯誤を繰り返したといいます。

なにより大事だったのが、材料に何を使うか、
そしてそのバランスでした。

たとえば生地に加えたカカオニブと黒豆ですが、
「カカオニブあり・黒豆あり」
「カカオニブなし・黒豆あり」
「カカオニブあり・黒豆なし」を試し、
「両方ともあり」に決めたそう。

全体のバランスは、「洋」に傾きすぎて
チョコレート感が強くならないよう、
むしろ「和」をしっかり感じるように配合。
粉は、小麦粉ではなく米粉をメインに、
アーモンドパウダーを混ぜています。
甘みは、砂糖にはちみつを足すことで、
おだやかな印象をつくりました。

シュトーレンで白あんを生地に練り込んだように、
このフィナンシェにはこしあんを練り込んでいます。
そこに「つぶあん」という選択肢は
なかったのでしょうか? 
──という質問に、智成さんはこうこたえています。

「最初からこしあんに狙いをつけていました。
というのも、父(和菓子職人の昆布孫兵衛さん)が
つくるつぶあんは、
丹波産の豆を使ったものしかないんですよ。
そしてこしあんは、北海道産の小豆からつくっています。
その違いを説明すると、
丹波産はうまみとコクがあり、豆感が際立つ。
北海道産の小豆はいい意味でさっぱりしています。
それゆえに、ほかの材料と合わせやすいわけです。
こうしてフィナンシェとして
バターやココアと合わせるのなら北海道産の小豆がいい、
なので必然的にこしあんを使おう、となりました」

このフィナンシェの味を支える
もうひとつの大事な材料がココアパウダー。
そう、このフィナンシェが
ふつうのフィナンシェに比べてこんがり焦げ茶色なのは、
よく焼かれているから‥‥ではなく、
材料にココアパウダーを使っているからなんです。

今回智成さんが選んだのは、苦味が少なく、
けれどもカカオ感がしっかり残っているココアパウダー。
濃厚なコクとバニラのような甘い香りが特徴の
色の明るい西アフリカ産のカカオを
非アルカリ処理で仕上げたココアパウダーを使っています。
化学的な処理を行っていないため、
“ナチュラルココア”とも呼ばれているものです。

「よく市販されているものって、
ちょっと苦味が強いタイプが多くて、
ココアらしい濃い色を出すために
アルカリ処理をしたものが多いんです。
ぼくが使っているのは、色は自然なものなので、
そんなに濃くないんですけれど、
味わいにカカオらしさ、チョコレートらしさが
しっかりと残っているものなんですよ。
ぼくもお店でよくクッキー類に好んで使っています」

1個のフィナンシェに
2粒だけ使っている黒豆は、
父・昆布孫兵衛さんが砂糖煮にしたもの。
食感がフィナンシェの生地と似ているので、
一緒に食べると違和感がなく、
まるで溶けていくようです。

成型してから焼く前に上に散らしたカカオニブは、
ココアパウダーと同じメーカーのもので、ガーナ産。
カカオニブとは、カカオ豆をローストして外皮を取り除き、
細かく砕いた状態のカカオ100%の食材です。

「普通のチョコレートメーカーのカカオニブと比べて、
ナッツのような風味とともに
強くカカオ感、香りが残ってるタイプです。
これも不思議で、フランス、ベルギーなどの
大手メーカーのものって苦いものが多いんですよ。
けれどもぼくが使ったカカオニブは、
そのまま食べてもおいしい。
そんな材料を選んでいます」

さて、このフィナンシェ、合わせる飲みものは? 
「ぼくが選ぶのは、やっぱりコーヒーですね」と智成さん。
焼き菓子ですから、もちろんミルク系の
ドリンクも合うはずですし、
濃いめに淹れた紅茶もよいかもしれません。
(ココアやホットチョコレートは、
味がけんかしちゃうから向かないかも?)

そして、寒い日だから温かいお菓子を、というときは、
「リベイクしていただいてもいいと思います」。
リベイクはオーブントースターで、
すこし温める程度でOK。
クロワッサンを温めるモードがあれば
それがよさそうですよ。
「あ、電子レンジは使わないでくださいね、
ふにゃっとしちゃうので」とのことでした。

1月27日(火)11時よりほぼ日ストアで販売します。
(昆布屋孫兵衛での店頭販売はありません)

2026-01-23 FRI

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定休日 火曜・水曜