
2026年秋の販売再開に向けて
「ほぼ日」と「昆布屋孫兵衛」の菓子職人である
昆布智成さんといっしょに、こんなことを考えました。
「お父さん(孫兵衛さん)のどら焼きに、
智成さんらしい工夫を足すことはできないだろうか」
最初のアイデアは
「フルーツや、ナッツをつかったあんこ」。
あんこそのものを洋菓子寄りにして、
孫兵衛さんの皮(生地)と合わせたら、
あたらしい、おいしいどら焼きになるのではないか、
ということでした。
さっそく試作をした智成さん。
「ばっちり、おいしいマロンクリームができたんです」
....しかし、「ほぼ日」からの配送には、
「常温で2週間」という賞味期限の制約があります。
「バターを強くするなど、洋菓子に寄せれば寄せるほど、
冷蔵でなければお届けできない品物になるんです。
マロンクリームの場合、やっぱり冷やして食べたほうが
おいしいな、という気持ちもありましたし」
それ以外にも、ドライのいちじくやレーズンを入れるなど、
いろいろ試作を重ねた智成さん。
「やっぱり、Brix(ブリックス)っていって、
糖度が65以上あるもの、
水分活性しないものを前提に
あんこを組み立てようと思いました」
水分が多いと、食べ物をはやくだめにします。
糖度が65%なら、水分は35%以下、
常温でも安全に食べていただけるものができる。
智成さんは、長く経験を積んだフランス菓子から、
糖度が65%以上あるもので、
和菓子のあんこと相性のいいものを考えました。
「父のどら焼きは、すでに完成されているもの。
だからあまりさわりたくないなという気持ちもありました。
そこで、コンフィチュールを加えるのみ、にしたんです」

コンフィチュールとは、フルーツの果汁を
シロップや香辛料といっしょに煮詰めた
フランス料理の食材。
保存する(コンフィ)、という言葉が由来です。
智成さんは今回のコンフィチュールの材料に、
フランボワーズとカシスを選びました。
あんこの原料である小豆と同じ「赤い実」、
というところからの発想です。
「最初は、フランボワーズだけだったり、
いちじくを入れたりもしたんですが、
最終的に落ち着いたのが、
この『フリュイ・ルージュ』
(Fruits rouges:赤い果実)。
フランボワーズ7割に対して3割のカシスです。
カシス由来の渋味が、
和菓子のあんこと調和をとる役割になったんです」
このどら焼きは、上下の皮のあいだに、
北海道産小豆のつぶあん、
そこにこのコンフィチュールを
絞ってのせています。
その量は、5グラム。
3グラムでは足りず、8グラムでは多い。
「既に完成されているどら焼きをいかす」量を、
智成さんはえらびました。
あんこと混ぜなかったのも、それぞれの個性をいかすため。
コンフィチュールは円を描くように
あんこの内側を一周しているので、
食べるところによって不均一に
あんことコンフィチュールが口に入り、
一口ひとくちの少しずつ異なる味がたのしめます。

そしてこの「フリュイ・ルージュ」は、
どら焼きと一緒にお届けする
フィナンシェにも使われています。
どら焼きとの組み合わせで
フィナンシェを表現したらどうなるか、
というテーマで取り組んだ智成さんは、
プレーンのフィナンシェの生地に、
こしあんを練り込むことを思いつきます。
こしあんは、丹波産小豆。
昆布屋孫兵衛の和菓子で使われている
おなじみのこしあんです。
こしあんに甘さがあるので、
そのぶん、通常のフィナンシェで生地に使う
きび砂糖の量を減らしているそう。
そして生地にはどら焼きでは出せない、
また違うアレンジをしたいと考え、
こしあんのほかに、
セイロン産の、甘く上品に香る
パウダー状のシナモンを入れました。
フィナンシェの型に生地を流し込んだ上に、
長辺の中央に一直線に、コンフィチュールをのせ、
オーブンで焼き上げます。
「なので、ちょっと沈んでいるものもあれば、
上にそのまま浮いて焼き上がるものもあります」

飲みものを合わせるなら、
「ほうじ茶が、いちばん合うかもしれませんね」
と智成さん。
「紅茶もコーヒーもいけると思います。
緑茶は....ちょっとちがうかも?
あとミルク系は、甘さを控えたものなら
ぜったいいけると思います」
フィナンシェにはフォークなどを添えずに、
どら焼きと同じように手で持ってガブ、がおすすめ。
秋の昆布屋孫兵衛のお菓子、
どうぞおたのしみくださいね。
10月20日(火)11時よりほぼ日ストアで販売します。
(昆布屋孫兵衛での店頭販売はありません)
2026-10-16 FRI