店長・石川さんと約束した
コーヒーサーバーが
長い時を経て完成しました。
長野県は上伊那郡に
スタジオプレパのガラス工房があります。
主宰する平勝久さん・瑞穂さんご夫婦が
つくり出すガラス作品は、
国内外でたくさんのファンを魅了しています。
同時に、おふたりは生前の石川顕さんと仲良し。
石川さんが発起人のひとりとなった
合同展示会『STOCKISTS』や
鹿児島でのプロジェクトに参加したり、
喫茶店で何時間も“茶飲み話”を繰り広げる間柄で、
共通の友人もたくさんいます。
「これいいね、5DWでやろう!」
ある日、平さんが石川さんから言われた
プロダクトがあります。
それがコーヒーサーバーでした。
すこし時間が経ってしまいましたが、
同じく石川さんと親交のある
家具作家の松田創意さんと組んで、
平さんたちはその約束を実現させました。
東京から3時間ちょっと車を走らせて
スタジオプレパの工房を訪ねます。
ゆったりとした時間が流れる中で、
石川さんとの思い出や商品のことはもちろん
「ガラス」に関するヒストリーなど
コーヒー1杯の時間では収まらない、
平勝久さんとの話の模様をお届けします
スタジオプレパさんのプロフィール
ガラスとスタジオプレパを
めぐるヒストリー。
――
平さんの作品はすべて手作り。
自分たちでガラスを溶かして吹いたり、
型に流し込んで作っていますよね。
一日にどれくらい作れるものですか?
平
どんなに小さな作品でも、
ふたりで20個くらいが限界かなぁ。
通常この工房で手がける作品だとそれくらい。
ガラスを溶かすのに30時間、
そこから吹いたり成形して冷やすのに16時間。
手間と時間がかかりますね。
でも今回のコーヒーサーバーは耐熱ガラスを
使うことになったので、
自分たちではできないんです。
そこで僕たちが作った
マスターピース(原型)をもとに、
小泉硝子製作所で吹いてもらっています。
――
ガラス作家の人たちって、
みなさん同じスタイルで制作しているのですか?
平
色々なスタイルの方がいると思います。
僕たちが実践しているのは、シアトルのスタイル。
――
え? シアトル?
そんなスタイルの違いがあるんですか!?
平
ガラスの発見は紀元前まで遡ります。
中東が起源とされていますが、
その技術はとても貴重だとみなされて
ベネチアでは職人たちを幽閉して技術の流出を防ぎました。
職人を囲っていたものだから、
そのクオリティの高い技術が広まらないまま、
世の中は産業革命を迎え、
かつてあんなに大事に隠された
手仕事の謎はほったらかしのまま、
一気に機械化されちゃうことになりました。
時は流れて、1960年代〜70年代のアメリカでは、
ヒッピーカルチャーが盛り上がっていました。
シアトルも例外ではなくて、
「ガレージで何でもやってやるよ!」
みたいな機運が高まっていた。
その一環としてヒッピーたちは
当時は移民だったイタリアや北欧の職人を招いて
ワークショップをやったみたいです。
そこに、風前の灯になっていた
紀元前からの技術が伝えられたんです。
――
時を経て復活というわけですね。
平
だいぶ長い間がありましたが奇跡の復活です。
ベネチアと北欧で使われていた
技術と道具をミックスして
制作するのがシアトルのスタイルで、
僕たちはその直系です。
――
なるほど、ヒストリーは理解できました。
最近では再生ガラスを使っていると聞きましたが。
平
はい、そうです。
ひょんなことから徳島県の上勝町と繋がりました。
彼らはゴミ処理場を持っていなくて。
同時に日本ではガラス瓶がリサイクルされずに
多くが土に埋められている状況を知って、
それなら溶かして使ってみようということになり、
どうしても再充填できないビール瓶を回収し、
溶かしたものを、ぼくらも作品制作に使っています。
クリアなガラスではないので、作風は変わりました。
“透明であること”の美しさがあるが故に
見えづらくなっている“造形美”について
僕たち自身も考えるようになりました。
これは面白い変化だと思っています。
――
さて、色々伺ってきましたが、
いよいよコーヒーサーバーについて聞きます。
平
いよいよですね(笑)。
もう1杯コーヒーでも飲みましょうか。
2026-06-14-SUN
(つづきます)
スタジオプレパの
コーヒーサーバーは、
5DW+ WEBショップにて2026年6月16日AM11時発売!
[STAFF]
企画・プロデュース:
スタジオプレパ(平勝久・瑞穂)、Roam(松田創意)
文:阿部太一