| かつて毎年、その一年で最も印象的なお店のランキングを
 ホームページ用に作っていたコトがありました。
 最初の年は何の気なしに。
 ところが一旦、順位をつけてしまうと、
 次の年からはその順位をつけることに
 気持ちがとられてしまうのです。
 昨日食べたお店と、今日食べたお店を比べてしまう。
 どっちが良かったかばかり考えると、
 純粋にお店の良さを感じることができなくなっちゃう。
 なにより、楽しむことができなくなって、
 外食することがつまらなくなってしまったのです。
 そもそも、イタリア料理や日本料理を同じ土俵で、どちらが上か下かを考えようとするから
 面倒くさくなるのかも‥‥、と。
 それでイタリア料理部門だとか、
 中国料理部門だとかで順位をつけてみたりした。
 ところが今度は、同じイタリア料理でもピザのお店と、
 北イタリアのレストラン、あるいはシシリア料理の店と、
 料理のタイプが違うお店を
 同じイタリア料理のお店として扱い
 順位をつけるのってナンセンス。
 そしたらどんどん部門が増えて、
 結局、どの店もがそれぞれの料理世界で
 一番になっちゃいそうで、結局、やめた。
 ならば点数をつけるというのは、どうなんだろう? 実は、飲食店を採点するというサービスを以前の会社で提供していたコトがある。
 依頼主はたいていの場合がチェーン店で、
 お店のメニューもお店の規模も、
 求められるスタンダードも同じだから、
 採点基準も作りやすい。
 理想的な状態の何%で営業されているかを、
 プロのコンサルタントがチェックする。
 うまくいくように思えたのだけど、問題が発生します。
 問題のひとつは、見る人によって見方が変わるコト。2人同時にチェックして、その採点は少々ばらつく。
 飲食店を評価するということは、
 そこに主観が混じってしまう。
 好きや嫌いを完全に排除できればいいのだろうけど、
 そんなことはできはしない。
 もうひとつの問題は、
 同じお店を同じ人が何回かみると、
 毎回点数が違ってしまうコト。
 人が働く飲食店は、人のレベルはそのときどきの気持ち、
 ムードでその状態が変わってしまう。
 このチェックシステムでチェーン店の評価をして、給与水準なども含めて働く人の指針にできればいいな、
 と思って試行錯誤をしたのだけれど、
 点数だけでは本当の評価にはならないんだ、
 ということがわかって、
 結局、そのプロジェクトは立ち消えになっちゃった。
 
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