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僕は、デジカメを使いませんので、
どんなバカネタを撮ったとしても、
必ずDPEに出します。
月に10本以上は撮りますから、お金がかかります。
ところで、DPE屋さんって、
1枚めを提示して
「ご本人のですか?」と必ず確認するでしょう。

トップにいきなりバカなネタが来ている場合は
DPE屋さんも、苦笑されるんです。
下半身が出ているようなネタなら
「ま、しょうがないわね」ですむけど、
DPE屋さんにキョトーンとされたら
こっちだってどうしたらいいかわからなくなるんです。
だから、バカカメラマンとしては、
1枚目に必ず空の雲の写真を
撮るようにしています。
そうすると、店頭での確認の際に
「あ、この人は、雲を愛する心の広い人だ」
と思うでしょう。

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わりとこまかいことを
気にされるんですね。
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これは、長年やって気づいたことなんです。
まず最初にネタを見せるのはDPE屋さんだ、
ということをしっかり思っていないとならないんです。
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ええっと、気になることをひとつ、
お訊きしていいですか。
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どうぞ。
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DPE屋さん、ということは、
もしかしてみうらさんは
ネガフィルムで撮っているんですか?
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? ウン?
スライド用のフィルムで撮ると、ぜんぶをスライドに
しなきゃいけないでしょ?
だからネガで撮って、プリントした写真を、
カメラマンさんを呼んでブツ撮りして
スライドをつくってるんですよ。
ぜんぶ、そうやってるんですよ、スライドショーは。
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ええええええ?
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???
そこは、プロを呼んでますから
大丈夫ですよ。
プロは最初からではなくて、
2段階めで入れる、ということです。
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紙焼きをブツ撮り、というわけですね。
こんなアナログなスライドづくりをなさっている方は
あまりいらっしゃらないような気がします。
スライドショーでの、
みうらさんといとうせいこうさんのやりとりは
すべてアドリブですか?
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ええ。二度とできないというのは
希少価値があるように聞こえるけど、
営業的には大失敗ですからね。
ほんとは同じネタでバンバン再演して
ツアーを組んだりできるといいんだけど、
1回しかできませんから、儲からないんです。
しょうがないですね。

これは、僕が小学3年生のときに買ってもらった
ゼッタというスライド機です。
いまでも大切に取ってあります。
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まるで巨大アイロンのようですね。
貴重な品を、ありがとうございます。
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下に写真や絵を置いて、前のレンズのようなところから
それを大きく投写するんです。
「ものが大きくなる」ということを
僕はこれで体験しました。
みうらじゅんという、自分のやっている仕事は、
バカなことです。
バカなことは、小さいとだめなんです。
雑誌などでも「バカなことは囲み記事でいい」と
編集者の方はよくおっしゃいます。
でも、例えば
サザンオールスターズの新譜の情報が
小さな囲み記事になっていても、みんな読むでしょう?
バカな記事は、小さいと、読まれないんです。
「大きいことはいいことだ」と
山本直純さんがおっしゃっていたように、
バカは大きくなければ
いけない。
スライド器は、大きくしてくれるんです。
さらに大きくするには、
スライド機をうしろへ下げて映写すればいい。
下げるにはお金はかからないし、
とてもかんたんなんです。
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親戚のまきおちゃんから被った迷惑は、
(くわしくは動画をごらんください)
のちに「ザ・スライドショー」という舞台を
生むことになりました。
あの奇跡的なショーの構成および時間配分は
スライド機の機能によって制限されていた
という驚きの事実が、今日、明かされましたね。
バカはでかいほうがいいということを
やすやすと実現したスライド機に、
みうらさんの39個めの恩返しでした。

みうらじゅんさんといとうせいこうさんの
ロックンロール・スライダーズが行なう
「ザ・スライドショー」を支える、スライド機。
ロックンロール・スライダーズの、
ユニットにおけるメンバー名は、スライ。
1996年のラフォーレ原宿を皮切りにはじまったショーは、
武道館、東京ドーム、ハワイでの公演を経て、
来る2005年9月10日中野サンプラザホールで第9回を迎える。
「ピンが甘いよ!」「裏だよ!」と、
いとうさんにツッこまれながらも、スライはいつも大活躍。
「TENGU&ハニー香立」
プレゼント当選者発表 赤嶺さま がご当選されました。 |
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2005-08-25 THU
(c) Hobo Nikkan Itoi Shinbun 2005