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ハニワといえば、古墳時代のものとはいえ、
墓関係のグッズです。
これをみうらさんは、漫画で主人公にし、
イメージを払拭していった、というわけですね。
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人柱、という暗い過去を
持っている、そんなハニワですからね。
僕は宮崎に行ったことがありまして、
さすがあそこは神話の郷ですから、
ハニワが有名でして、
商店街のおみやげもの屋さんに
ハニワがたくさん売られていたんです。
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商店街に?
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ええ。いまはもう
少なくなっちゃったかもしれないけど、
商店街に。
お店の外にボーン!と段ボールが出してあって
「ハニワ大売出し」と書いてあったんです。
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大売出し?
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ええ。大放出で。
割れちゃったのとか、傷んじゃってるのとか、
売り物にならないなあ、というようなハニワが
大きな段ボールにガッサガサ入ってて、
1個10円とかで売っていたんですよ。
お店の敷地内にも入れてもらえず、
ごっそり段ボールに詰められて
店の前にボーン!です。
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しかも何体も、どっさりと。
そんなことが宮崎で
あたりまえに行なわれているとは‥‥。
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ええ。そして、そのときに
もっとも衝撃を受けたのは、
ハニワが横倒しに
なっていたことだったんです。
そんな姿を僕ははじめて見たんです。

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ああ、それは衝撃ですね。
ふだんは教科書などで立派に直立している姿を
目にしているのですから。
あの、空洞の目が地面を見つめているさまは、
せつないですね。
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そして、そのときひらめいたんです。
ハニワがキャラとして歩くときは、
足(底)を使って歩くよりも
横に倒れてゴロゴロ転がっていけば、
坂道とか早く行けるなあ、と。
で、転がしてみたんです。
そしたら、この、手のところらへんで
引っ掛かって転がらないんですよ。

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はははは。
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だったら、底の部分で2体くっつけて
転がしたらどうか。
そうやったら、ちょっとは無理矢理に転がりました。
そんなことから、僕は
ハニワの漫画を描こうと思ったんです。
これなんですけどね。
『学園ハニワもの・ハニーに首ったけ』。
家族もので学園ものなんです。

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ハニワもので家族もので学園ものなんですね。
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主人公はハニーという名前なんですけど、
ハニーもハニパパも、
学校に行くときや会社に行くときは
必ずゴロゴロ転がって移動するんです。
コマで言うと、
ここまでしか考えていないんです。

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そんな発想で描いた漫画、
『学園ハニワもの・ハニーに首ったけ』。
古墳時代の大ブームから
千年以上をはさみ、
ハニワをハニーと呼んで転がすことで
第二次ハニワブームを日本で巻き起こした
現代の黒眼鏡の古代人、みうらじゅんさん。
サンリオのハニワキャラクターや
NHKの「おーい! はに丸」が出てくるのは
このあとのことでした。
漫画家としてはじめて「おもしろい!」という
声をもらった、
思い出深いキャラクターでもあります。
(くわしくは、動画でごらんください)
みうらさんの、25個めの恩返しでした。
みうらさんは
『学園ハニワもの・ハニーに首ったけ』
(1986年9月河出書房新社)を世に出し、
ハニワを「ハニー」と呼ぶことで、
人柱だった彼らの暗い過去を解消した。