ほぼ日 |
今ではご自身の家庭菜園でも
永田農法にチェンジされたという諏訪さんですが、
それまでの育て方と、永田先生の育て方とは、
どこが違うのですか? |
諏訪 |
まずは畑にある石を残すということです。
普通は畑にある石を全て取り除いて
ふかふかの黒い土をつくるというのが常識です。
その土に堆肥だとか肥料をすき込むんですけど
永田先生が言うには
「石ころはかえって混ざっていた方がいい」
のだそうです。
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石ころだらけの畑です
握りこぶしぐらいの大きい石だと
鍬がひっかかったり、
作業の邪魔になるけれども
卵くらいの石はあってもオッケーだと。
その方が水はけや通気性がよくなって
病気も出にくくなるんだ、
というんです。
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石を運ぶこぐれさん
苗や種を植える直前は
荒れたままの石を残したままの土壌に
薄めた液体肥料を水代わりにまくだけなんです。
それ以外は一切やらない。
畝には基本的にビニールのマルチシートをひく。
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薄めた液体肥料をまきます
普通の農法でもマルチシートはひくんですが
永田農法では、植物の根を、
横に広く浅く張らせるという作り方をするので
水を吸収する要素をなるべくカットする意味でも
特にマルチシートはかかせないんです。
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畑にカンバンをたてるこぐれさん
次に植える時のポイントなんですけど
今までは苗を買ってくると
苗をポットから外すときに
できるだけ根の周りについた土をくずさないように
そーっと外して
植える時もその土が崩れないように
そーっと植える、と。
つまり、根を傷めたり傷つけないために
そうするんですが。
それが常識なんです!
ぼくも10年来。そうやってきました。 |
ほぼ日 |
その常識というのは
農業書にもそのように書かれているんですか? |
諏訪 |
ええ。必ず、
「土を崩さないようにしましょう」
と書かれてます。
それが永田農法では
まず、苗をポットから外して
水で根をあらっちゃうわけなんです。
そうやって苗についていた土を
きれいに洗ってしまう
ということがまず衝撃的ですよね。
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根を洗って…
さらに根を3分の2くらいを切ってしまう。
これも常識では絶対考えられないですね。
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切る! |
ほぼ日 |
それは永田先生の本にも
書いてあるんですか? |
諏訪 |
このことは永田先生の本にも書いてなかったです。
これを映像で流すのは初めてのことですから
農業のプロの方にとっては
衝撃的な映像かもしれません。
永田先生の野菜は、
ほとんどはそのようにして作ってた
というのを知って
さらに驚いていたんですよ。
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とうもろこしの苗を植える
例えば、とうもろこしなんかは
どの本を読んでも
根がすごく弱いので
とうもろこしの苗なんかは
植え付けは慎重にやらなければいけない
トウモロコシの根はナーバスというのは
どの本でも書いてあるような常識なんです。
ぼくもそのようにしてきました。 |
ほぼ日 |
トウモロコシの根はいじるな! と。 |
諏訪 |
ええ。いじるなが鉄則でした。
それが永田農法では
とうもろこしの苗をじゃぶじゃぶと洗って
根をぶったぎって植えるんですから
正直、その光景を観ながら
「これは無理だろ」と思っていたんです。
すでに、味のほうの衝撃は納得してましたよ。
だけど、育て方、
特にとうもろこしの根を切って植える、
なんてことはありえないから、
「いくらなんでもこれは無理だろ。
とうもろこしが出来たとしてもせいぜい
ミニバナナみたいなものしかできないだろ!」
と思ってたんですが
本当に実際にこぐれひでこさんが
それを植えつけから収穫まで58日で、
あんなにぶっといとうもろこしができあがった。
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背の高さまでとうもろこしが育った!
今回の番組でも
こぐれさんや小泉さんが
とうもろこしを剥いて生でかじってます。
生で食べて、生クリームのような甘味のある
とうもろこしが出来てしまったのを
実際に目の前で観てしまったわけですから
今では脱帽してるし
これはただごとじゃないという風に思ってますね。 |
ほぼ日 |
通常の育て方だと、
とうもろこしは
もっと時間がかかるもんなんですか? |
諏訪 |
通常だと、種を蒔いてから収穫まで
90日くらいはかかります。
今回は苗から育てたんですが
苗から育てたとしても通常は70日はかかるんです。
それが今回は58日でできた。
つまり、通常の育て方よりも
2週間くらい早いわけです。
自分の経験からいうと
あの時期に植えてから放映日を逆算すると
とうもろこしの収穫は
番組には間に合わないと思っていました。
穂が出て若い実がついているくらいかなと思っていたし、
ナスやトマトやピーマンも
ぎりぎり間に合うか間に合わないかと考えてました。
それが7月の中旬には収穫をしはじめて
7月の下旬には全ての作物が
ピークを迎えてたじゃないですか。
ありえないですよ。
むちゃくちゃ成長も早いんですよ。
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トマトも!
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ナスも!
自分の今までのやりかただったら
特に有機農法は遅いですし、
じっくり育てるところもあって
実がなるのが遅いんです。
それが永田農法だったから間に合っちゃった。
収録前は収穫に間に合わせるために
一日でも撮影日を遅らせようとする
スケジュールをたてていたんです。
まさか、ぎりぎり間に合うかどうかと思っていたのが
ピークを迎えるとは思ってもみなかったですね。 |
ほぼ日 |
味も奇跡で、
スピードも奇跡だった。 |
諏訪 |
それはひとえに液体肥料のやりかたなんですよね。
番組でも永田先生がコメントしてますが
「すきっぱらにビールを飲むと効くでしょ」と。
それと同じように
水や肥料を野菜が欲しい欲しいと思っているところに
タイミングよく液体肥料をポンとあげるわけですから
栄養の吸収率がいいわけですよね。
だから成長をはやめているんです。
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ほぼ日 |
永田農法の水のやりかたというのは
ポイントのひとつだと思うのですが。 |
諏訪 |
農家が出荷するような野菜は別として
家庭菜園で作ったりする場合でも
露地栽培においては
水は基本的にはやらないんですね。
天水に頼って、基本的にはあげない。
むしろ、一週間に一回くらい液肥をかけるというのは
本当の露地栽培にくらべると
水を多くあげているんじゃないかとも思います。
永田先生の農法というのは
水を遮断して枯れてきて
すこししおれてきたかなというときにバンとあげて、
またしおれてきたかなというときにバンとあげる、
しおれ始めるのを待ってから
あげるというやりかたです。
永田農法というのは
初めて野菜を育てる方にとっては
露地栽培よりもむしろ自宅のベランダで
プランターで育てる方が
向いているのかもしれませんね。
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ベランダで永田農法の野菜が出来る!?
つづきます! |