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第18回 アジアは「坊ちゃん」だもんね

中沢 東南アジアの
マレーシア、スマトラ、インドネシア、
ここはかつては、巨大な大陸がありました。

ここが、農業革命の
出発点だったんじゃないでしょうか。

東京が今のような地形になった
縄文海進期のときに、
沈んじゃいましたから、
大洪水になったみたいですね。
やっぱり四方に人が散っていってます。

で、ポリネシアに行ってた人、
日本列島に来た人、
それから西へ行った人たちっていうのが、
あきらかにいたはずですよね。

そう考えると、
今までの文明の起源の考え方は、
考えなおしていかなきゃいけないし、
それから中国のことを考えてみても、
その「スンダランド」という場所が
稲作の起源だったと考えれば、
おもしろいんです。

揚子江郊外のあたりで
文明発祥があったという
今までの考え方を
「ほんとかな」と
思ってもいいかもしれないくらい、
今まで仮説と思われたものが、
シャッフルされてる時代ですね、今は。
糸井 飛行機から日本列島を見ると、
ぜんぶ緑色なんです。
植物が生い茂る条件が
あるわけですよね。
中国とかロシアでも
上を通ってるときは、
全部砂漠に近いですよね。

そう考えると、
植物がなかったら
動物のちいさいやつもない、
ちいさいやつもなければ、
その上の肉食もないっていう
食物連鎖そのものが、
根底から何もできないんですよね。
タモリ 食物連鎖するぶん、
思想も宗教も
違ってくると思います。

やっぱり
イスラエルとかギリシャなんか、
というのも……あ、すいません、
『いいとも!』やってて、海外は
ほとんど行ったことはないんですけども、
土地としては、やせているわけですよね。

水もしょっちゅう
出ているわけではなくて、
日本みたいに、水は
どこに行っても
いっぱい出てるところの考え方と、
それと井戸があったら
そこにみんな集中して
自分のものにしたがるという、
戦う、というところの考え方は、
違ってきますよね。
中沢 うんうん。
糸井 収穫物というか、
植物を中心とした考え方では、
「坊ちゃん」ですよね、アジアは。
そのいいとこの子ですよね。
「介護するよ」みたいなことですよね。

ヨーロッパでは
井戸がないぞといったら、
戦うしかない。

「オラ、生き延びるだよ」
ということですよね。
そりゃ戦争うまいですよ。
中沢 そういうところから
都市の考え方が
生まれるじゃないですか。
東の端のぼくらに、
都市作れって言われても
「縄文坊ちゃん」ですからね……。
作る都市というのは、
東京みたいになるんですよ。
糸井 (笑)「だらだら」ですよね。
ゆとりのある「縄文坊ちゃん」だもん。

(明日に、つづきます)

2006-01-06-FRI