風邪をひかないようにたっぷりと厚着をして、
冬の青山をゆっくり歩き続ける、吉本さんと諏訪先生。
ぶらぶらするうちに、
おふたりとも通ったことのない道に出ていました。
「道に迷っちゃった?」と吉本さん。
いっぽう諏訪さんは、
なにかみちくさを見つけたようですよ。 |
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諏訪 |
うん、これも、あれですね、
何度も見かけてますし
みなさんご存じと思いますけど、
やっぱりとりあげておきたいですね。 |
吉本 |
あ、それ。 |
諏訪 |
はい。 |
吉本 |
わたしが名前を言ってもいいですか? |
諏訪 |
どうぞどうぞ(笑)。 |
吉本 |
これは、タンポポです。 |
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諏訪 |
そうですね、まさにタンポポ。 |
吉本 |
タンポポのロゼットです。 |
諏訪 |
すばらしい。 |
吉本 |
なんだかすごくうれしい(笑)。 |
諏訪 |
これ、つぼみが出てますよ。 |
吉本 |
ほんとだ、かわいらしい。 |
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諏訪 |
もっと正しくいうと、
セイヨウタンポポですね。 |
吉本 |
そうか、
日本古来のタンポポもありましたね。 |
諏訪 |
そうなんです。
カントウタンポポとか。 |
吉本 |
どうやって見分けるんですか? |
諏訪 |
花が咲いていれば
はっきりした違いがわかるんですが‥‥。
花の下にですね、総苞というのがあるんですよ。 |
吉本 |
ソウホウ? |
諏訪 |
ええ、総苞(ソウホウ)。
つぼみを包んでいた葉っぱのことで、
花の下を見ればすぐわかるんです。
総苞が反り返っているのが
セイヨウタンポポ。 |
吉本 |
へええ?。 |
諏訪 |
で、日本古来のタンポポ、
これ数種類あるんですが、
それは反り返らず、花にくっついてるんです。 |
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吉本 |
そうですか‥‥。
いまはセイヨウタンポポのほうが、 |
諏訪 |
多いですね。 |
吉本 |
やっぱり強い。 |
諏訪 |
はい。なぜ強いかというと、
セイヨウタンポポは単為生殖で増えるんです。 |
吉本 |
単為生殖。 |
諏訪 |
受粉しないでタネを作れちゃう。 |
吉本 |
へ~。 |
諏訪 |
シングルマザーなのに
どんどん子供を産めちゃうんです。 |
吉本 |
(笑) |
諏訪 |
もう、ひとりで増えちゃう。 |
吉本 |
わあー(笑)。 |
諏訪 |
日本古来のタンポポは
受粉しなきゃタネはできないんですよ。 |
吉本 |
それはやっぱり単為生殖のほうが、
早く広がりますよね。 |
諏訪 |
でも単為生殖には問題があって、
結局これも自分のコピー、クローンなんです。
同じ遺伝子になっちゃうから
環境の変化にちょっと弱いという。 |
吉本 |
ああ、なるほど、クローンですね。 |
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諏訪 |
ヨーロッパじゃ食べますよね、
タンポポを野菜として。 |
吉本 |
はいはい。 |
諏訪 |
タンポポはキク科なんですけど、
面白いのは、キク科の野菜って少ないんですよ。
キク科の野菜、なにか思いつきます? |
吉本 |
えーと‥‥春菊? |
諏訪 |
シュンギク、まさにその通りです。 |
吉本 |
うーん、あとは‥‥水菜? |
諏訪 |
ミズナは、アブラナ科ですね。
あとはですね、レタスがそうなんです。 |
吉本 |
レタスがキク科? |
諏訪 |
意外ですよね。
レタスはほっとくと花が咲くんですけど、
それがほんとにマーガレットを
ちっちゃくしたようなきれいな花なんです。 |
吉本 |
へええ?。 |
諏訪 |
それと、ゴボウもキク科ですね。 |
吉本 |
え、ゴボウが? |
諏訪 |
ゴボウって、大きくて長い根の野菜でしょ。
タンポポの根も大きくて長いんです。 |
吉本 |
あ、そうかー。
そういえば根の雰囲気が似てますね。 |
諏訪 |
ほんとは名前を覚えていくときに、
せっかくだから「科」もいっしょに
覚えると楽しいんですけどね。 |
吉本 |
うーん、「科」の名前も‥‥。
はい、がんばります(笑)。 |
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セイヨウタンポポはキク科。
覚えましたか?
たくさんある「科」を覚えるのはたいへんそうですが、
たしかに、そういうジャンルわけの知識があったら
きっともっと楽しいでしょうねー。
レタスとゴボウが、キク科だったとは‥‥。
次のみちくさは、明後日に。
月・水・金の更新でまいります。 |