CAKE
マリーな部屋。

「武蔵野プリン」というのがある。
大学の頃から、思い出すと食べにいく。

この“思い出すと”っていうのは、
(連載2回目からシンミリするのもナンだが)
なぐさめてほしい時。

まぁ、梅雨だったり、風邪気味だったり、
不景気だったり.....
文字にするほどでもないチイサナタメ息が
体の中にたまると、
フト、帰りたくなる場所が、ある。
   見たくなる景色が、ある。

で、
行きたくなる店と
食べたくなるお菓子も、ある。

特に、どこかが「武蔵野!」ってわけじゃない。
雑木林みたいなデコレーションが、とか。
枯葉がつもったように砕いたパイ生地が、とか。
ぜんぜんそんなものではない。

どちらかというと、とてもオーソドックスな、
懐かしい、しっかりした味のプリン。

お店の人たちに「専務」と呼ばれてる
オーナーらしきおねえさんと、立ち話した時の記憶では、
「濃いめの牛乳と卵とたっぷり使ってるけど、
やわらかいのが特徴。すっごくやわらかいでしょ?」
とのことでした。

大学の頃っていうと、カレコレもう10年くらいも前だから、
その間、このプリンにも変遷はあって、
一時、姿を消したこともあった。
ドン、と大きな器だったことも、
器の内側に、クレープがひと巻きしてたこともあったけど
(いわゆるミニッツステーキ状態)、
ここ最近、この型で落ち着いたらしい。

武蔵野プリン

改良っていうのは、何でも難しいモンなんでしょうねぇ。
でも今の「武蔵野プリン」
昔の良さも残しつつ、シンプルでつつましい風情で、
いいかんじです。

お店は吉祥寺の「多奈加亭」といって、
できればここで召し上がるのがおすすめ。
店の雰囲気とあいまって
出されたものが、余計においしく思えるような、
静かなところです。
ただ、最近はけっこうはやっているようなので、
平日の午後あたりがボーッとし時かもしれません。

多奈加亭part氓ニpartがあり、(歩いて3分)
そのちょうど間の角に、学生時代住んでいたので、
思いでのめぐる空間です。

それでもこうして、昔と同じテーブルで、
一人穏やかな時間を過ごせるように
なるもんだなぁーと思うと、
案外何でも大丈夫なのかもしれないと、
気分もよくなって・・・。

ホントはこの響きが好きなのかもしれない
「武蔵野プリン」
疲れた時に、おためしあれ。


多奈加亭(Part I)
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-13-4井野ビル1F
0422-22-2989
(営)11:00〜22:00
不定休

1998-06-22-MON

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