リアルな描写と歴史ものつながりということで 
  『ヴィンランド・サガ』を推します。 
  舞台は北欧、時代は11世紀。 
    奴隷の売買、戦闘と略奪があたり前で、 
    戦場で死ぬことが男の最高の生き様と考えられていた 
    ノルド(ヴァイキング)社会で 
    奴隷も戦争も無い世界を模索していく 
    少年トルフィンの成長物語です。 
  といってしまうと、 
    ものすごく簡単&月並みになってしまうのですが、 
    紆余曲折のディティールが細かく、 
    感情の重みがずっしりとして、 
    その「簡単じゃない」感じにすごく励まされます。 
  また、大きなテーマは「非戦」なのですが、 
    ヴァイキングの戦闘シーンは非常に血湧き肉踊るもので、 
    戦闘モノの漫画としても充分以上に面白いです。 
    斧、剣、弓矢での肉弾戦なので、 
    リアルに残虐でもあります。 
  更に、トルフィンの父の仇でありながら 
    彼の師匠的な位置にもあるキレ者のアシェラッド、 
    戦闘を嫌悪する王子クヌート、 
    王子殺害を目論む父・スヴェン王など 
    がっちりと作り込まれた人物同士の複雑な感情のやりとり、 
    駆け引き、知能戦など、 
    先の読めない物語の楽しさもあります。 
  まだ未完ですが、 
    何度も読み返す本になるだろうと思っています。 
    この作品の作者は既出の『プラネテス』を描かれた方です。 
  (はと)  |