『舞姫 テレプシコーラ』    著者:山岸凉子 
  発行:メディアファクトリー | 
 
 
 | 前回の『SWAN』からバレエ繋がりで、 
『舞姫 テレプシコーラ』をおすすめします。 
 
母がバレエ教師、姉はバレエでも勉強でも優等生、 
なのに主人公は特に優秀でもなく、 
バレエダンサーになるには欠陥がある、 
という設定から始まるのは、 
山岸さんの作品『アラベスク』と似ているのですが、 
主人公の成長物語と共に、 
現代のバレエ事情や、児童ポルノ、DV、医療ミス、 
いじめなどの社会問題を 
無理なく織り込んで描いているのがすごいです。 
要所要所で上手に張られている伏線も気になるところ。 
 
山岸涼子さんだけあって、 
やっぱりバレエシーンの絵はとても的確で綺麗! 
バレエファンとしてはすごく嬉しいです。 
発表会や公演でのエピソードに 
「ああ、こんなことあったなあ」って共感したり(笑)。 
 
そして物語の最後では、 
今までの伏線が一体何だったのか明らかになり、 
涙が止まりませんでした。 
悔しくて悲しくて…。 
 
とにかくただのバレエ漫画ではありません。 
第一部と第二部合わせて15巻と長編ですが、 
バレエに興味の無いという方にも、 
ぜひ読んで欲しい作品です。 
 
(きき) |