

| 冬は柑橘類の季節だということですね。 ふうん。 |
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| ── | 冬の柑橘類はいいですよね。 鍋にきゅっとしぼったり。 お肉にもお魚にも合いますね。 |
| 「鰰(はたはた)」。 これがまた炙りたくなりますね! |
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| ── | 鰰は日常的に食べませんでしたが おとなになって、こんなにうまいのかと。 秋田料理で初めて食べました。 |
| やあ、そうですよね。 ぼくも大人になってから 居酒屋で初めて食いました。 |
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| ── | ぬるっ、つるっ、ですよね、これもね。 ちっちゃいんですよね。 あんがい食べにくいんですけど。 |
| 「しょっつる」のもとですよね。 |
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| ── | 魚醤の。 |
| 発酵させてつくるんですよね。 ローマ人も使った古来の調味料。 |
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| ── | いまもイタリアの調味料には アッラ・ガルムというのがありますよ。 とってもおいしいです。 そもそもアンチョビがおいしいですから。 |
| みんな好きなんですね。 あの魚の。 |
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| ── | アミノ酸の。 |
| うま味成分。 |
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| ── | そうだね、しょっつるのもとだ。 |
| 東南アジアは、一般的に使いますし。 |
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| ── | 「ナンプラー」も「ニョクマム」も。 |
| 日本人って、ああいう香りを 好まないんじゃないかと思いきや! |
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| ── | いしり、しょっつる、いかなご醤油。 あ、「鰰寿司」なんていうのもあるんですね。 |
| 「熟(なれ)鮨」の一種っぽいですね。 |
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| ── | 熟鮨って、うまいのは、異様にうまいですからね。 |
| 鮎とか鮒とか。 臭くてうまくて。 |
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| おいしいですよねえ。 ふふふふふ。 |
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| チーズの臭いのを食べるあの感覚ですね。 |
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| 京都はけっこう食べましたよ。 |
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| あ、そうですか! 子どもでも食べるんですか。 |
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| 食べましたよ。 |
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| 大人な味覚! |
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| ── | さて、この時期の野菜は 「菠薐草(ほうれんそう)」がありますね。 最近、「寒じめほうれん草」っていう ちぢみほうれん草が出てきましたね。 あまみが強い。 ![]() |
| 生で食べられる 「サラダほうれん草」とか。 |
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| へえー。 |
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| ところで漫画の『ポパイ』に出てくる ほうれん草の缶詰、 わたし、見たことなくて。 日本に売ってます? ほうれん草の缶詰って。 |
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| ── | ないですねー。 アメリカ系のああいうコミックが 好きだった小学校の時に 『スヌーピー』の「ルートビア」と 『ポパイ』のほうれん草は すごいほしくて。 ルートビアはソニプラで見つけたんですよ。 まーずかったんですけどね。 『ポパイ』の缶詰は ついに明治屋でも見つけられず。 |
| これねえ。 どういう状態なんだろうと 思って(笑)。 |
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| ── | くたくたに煮たものでしょうか。 |
| おひたしみたいな感じ? 茹ですぎたおひたし。 |
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| ── | ペースト寸前? |
| それじゃ青汁(笑)。 |
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| ── | じゃないかなあ。 ほうれん草のパイとかにするのかな。 あ、ポパイっていうキャラクターは ほうれん草の缶詰会社の プロモーションですか、もしかして。 |
| ぼくもそうかなと思ったんですけど、 ちがうらしいんですよ。 ああやって、ほうれん草を食べないと 強くなれないって言われて 無理に食べた覚えがありますよ。 |
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| ── | ポパイってそもそも缶詰を 手で潰すくらい力があるのにねえ。 肉ばっかり食ってるウインピーは力がなくて。 へんなの! ‥‥って、それはともかく「海苔」。 そうでした、収穫が冬ですね。 新海苔が出回るのはずっと先ですが。 ![]() |
| 炙りたいですよ、また。 |
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| ── | 昔は炙る海苔でしたよね。 最近は焼き海苔ばっかり売ってるけど。 ちょっと湿った、 あれ、何海苔って言うんだったかな。 「乾海苔(ほしのり)」だ。 |
| 食べる時に炙るっていうのが 昔の習慣でしたよね。 |
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| ── | よく炙らされてました。 |
| やったやった。 失敗してね、焦げ臭くなっちゃり。 |
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| ── | あれはあれでおいしかったですね。 それにしても冬の海で海苔。 年末年始みんな休みの時でも まいにち海に出かけて行くんだそうですよ。 ほんとにたいへんなお仕事だと思います。 毎日二回ずつ海に出て 様子を見ないといけないから。 |
| ううーん、つらいつらい。 |
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| ── | おいしい海苔を作るのは大変なんです。 同じ場所で、隣合った海で 生産者が違うと味が変わるんですよ。 本当に海の農作物ですよ。 さあ、そして年末といえば「お歳暮」。 解説を読みますと。 「歳神様へのお供え」。 「本家に集まって、 ともに飲食するという行事」 だったんですね。 つまり、クリスマスパーティみたいな ものだったんですね。 |
| しかも、正月準備のものを贈り合う。 |
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| ── | ほんと、クリスマスじゃないですか。 日本のクリスマスってお歳暮なんだ。 |
| やっぱりだから、「新巻鮭」って印象なんですよ。 それを捌いてお正月用の「氷頭なます」作ったり 「昆布締め」とか。 |
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| 西では、そのイメージがないんですよね、 |
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| 鰤(ぶり)ですかね。 寒鰤ですか。 |
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| うーん、鰤とか贈ったりはしません。 |
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| ── | そもそも今 京おとこさんはお歳暮って出す人ですか。 |
| いや、しないですね。 |
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| わたしは‥‥あ、師匠にはします。 お稽古事の師匠には。 |
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| あ、お稽古事ねえ。 |
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| ── | 何をなさってるんですか。 |
| 「謡(うたい)」っていう、能の謡を。 |
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| 一同 | (どよめき) |
| それって、品物を 差し上げるんですか。 |
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| やっぱり盆暮れは、うん。 |
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| ── | そういうもんですか。 |
| 逆に職場での習慣がもうなくなりましたでしょ。 昔は、父や祖父くらいまでは 会社の部下からとかね。 あとは昔は大家さんとか。 |
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| ── | 大家さんね。 今は大家さんと会わないこともありますから。 |
| 一緒に近くに住んでなかったり。 |
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| ── | もう100年後くらいになったら クリスマスとお歳暮が 一緒になってたりして? ということで次回は 「閉塞成冬(そら さむく ふゆとなる)」。 12月7日にお会いしましょう。 |
| 2012-12-02-SUN |