


| ── | もういよいよ冬ですよ! 立冬ですよ! |
| 冬ですね。 |
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| 「山茶始開」という、 まさしく椿が開くと。 けれどもこれ、 「山茶花(さざんか)」なんですよね。 「ツバキ」と読ませて「サザンカ」の ことなんだそうです。 見分けるのがむずかしいんですよね。 |
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| ── | ツバキ科のなかに ツバキとサザンカがある、と。 |
| ツバキは花びらにならずに ぽとんと首が落ちる、と。 |
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| ── | 落ちますね。武士が嫌がる。 |
| この時の旬の記述でびみょうなのが 「帆立貝」なんです。 帆立って、春‥‥。 ![]() |
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| ── | たしかに貝は春という印象がありますね。 |
| けれども農水省のリストからいくと この時期が旬なんですよ。 |
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| ── | 帆立も今は一年中ありますが 「冬から春」ということなんでしょうね。 |
| 多分、穫れる海によっても 違うんだと思いますし。 いっぽう「葱(ねぎ)」はもう、 冬の旬の王様! ![]() |
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| ── | どんどんおいしくなりますもんね。 |
| 葱も関西とえらい違うとこですよね。 |
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| 京都は「九条葱」とか。 |
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| こっちでいくと「深谷」のとろんとろん。 太葱です。 |
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| ── | でもね、九条葱はうまい! |
| うまい! |
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| おいしいですよね。 |
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| いろんなものに相性がいいですよね。 |
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| ── | そうそうそう。 薬味として使ってもいいし、 メイン的にしてもおいしいし。 |
| わたし、関東もんですけど、 葱に関しては九条が好きで、深谷葱ダメなんです。 白くてトロリンはすき焼きにしかダメ、みたいな。 |
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| ── | すき焼きには合いますね。 |
| 東京に来て、葱が緑じゃないので びっくりしましたからねえ。 「葱が白い?!」って。 |
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| なるほどなるほど。 |
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| だいたい緑ですからね、葱は。 目の前に出てくる瞬間はもう。 |
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| 向こうの葱って、下が白が少なくて。 そのへんを融合したのか わからないんですけど、 最近、「万能葱」のように 中間みたいのが出てますよね。 |
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| ── | ありますよね。 あれ、便利ですよ。 葱は江戸時代の人、好きでしょうね! |
| もう、「葱鮪(ねぎま)」にはじまり、 「根深汁」うまい! 「ぬた」うまい! |
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| はははは。 |
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| だいたいネギ科っていうか、 葱の仲間って、大蒜(にんにく)とか 韮(にら)とか全部そうなんですけど、 『和漢三才図会』を見ると 仲間がいっぱい並んでいますよ。 葱を「ひともじ」 韮を「ふたもじ」っていったり。 女房詞がありますね。 |
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| ── | 女房詞。先頭に「お」をつける言葉や 語尾に「もじ」をつける言葉ですね。 |
| 葱信仰が江戸時代はすごかったかなと思うのは、 風邪ひくと喉に巻くなんていうのありますよね。 |
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| ── | 喉に巻いても しょうがない気がしますよね。 あ、湿布の役割? |
| あるいはヴィックスヴェポラッブみたいに‥‥。 |
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| ── | 揮発して‥‥。 |
| 口や鼻から有効成分が? |
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| 風邪ひいて気持ちが悪いときじゃ 吐きたくなるんちゃうかと 思いますけどね、それ。 |
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| ── | 高熱が出るとお尻に入れるってやつ。 あれはほんとかもしれないですね。 |
| 薬効成分があるかも。 |
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| ── | でも風邪ひいてクタクタの時に そんなことしたくないですよね。 |
| 「下仁田ネギ」も最初に食べた時は びっくりしましたけどね。 な~んじゃこれは、と。 |
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| ── | 「松本一本ネギ」とかね。 寒いところは太葱が多いですね。 どっか、会津でしたっけ、 葱で蕎麦食うとこありますよね。 「高遠そば」だったかな。 葱1本で蕎麦を食べるんです。 その葱も食べるんですよ。 |
| 葱を箸代わりにして? それ知らなかったです! |
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| ── | おいしいかもしれないけど食べにくそうですね。 さて、季節の行事は「酉の市」ですね。 |
| これはまた燃えますよ! 行きますよ! 買います? みなさん。 |
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| ── | 最近は買ってないですけど。 |
| どっち行きました? 浅草鷲(おおとり)神社? 何カ所かあるんですよね。 わたしは浅草の方しか 行ったことないんですけど、 吉原を通るんですよ。 だいたい「神谷バー」とか あのへんで待ち合わせして飲んで、 いい時間になって歩いていくと 吉原のあたりを通っていく。 |
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| ── | 吉原って土地が ちょっと高く盛ってあるんですよね。 周りに堀があって。 吉原ついでに言うと 一番びっくりしたのは江戸時代の浮世絵で 真ん中の通りに桜が咲いているのって、 咲いた桜の木をわざわざ植えたんですってね。 |
| そうそう。 変えるんですよ、季節ごとに並木を。 |
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| ── | もうディズニーランドですよ! |
| ほんとそう。 |
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| ── | 七夕になると笹がぐわーって なったりっていうのを、 しょっちゅうやってたらしいです。 |
| 紅葉の木が植わったりね。 やっぱりお金が集まっているところは すごいですよ! 光は煌々とついているんでしょ。 不夜城! |
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| 落語に出てくる「大門」って まだあるんですか。 |
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| 大門っていう地名は残ってるんですけど 門はもうないです。 ただ、「見返り柳」っていうのが あってね。 わたしの印象としては いまも歓楽街とはいえ さびしい感じがしましたね。 今の吉原って。 |
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| ── | ‥‥酉の市の話題から逸れちゃいました。 |
| そうそう、酉の市で思いだしたのは、 値切るんですよね、確か。 |
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| 値切った方がいいんですよね。 |
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| それが前提らしいんです。 商売繁盛のためですよね。 |
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| 酉の市って 行ったことないんですよ。 |
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| 関西ってないんでしたっけ? ちなみに京都のお店には 熊手って‥‥? |
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| ないです。 大阪には今宮戎(いまみやえびす)とか。 |
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| あ、えべっさん。 |
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| やっぱり京都は あんまりなさそうですね。 |
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| そうですね、数少ない江戸の祭りか。 本家本元は葛西花又の大鳥大明神、 そしてなんといっても下谷鷲(おおとり)神社、 それと新宿の花園神社、品川の大鳥神社ですね。 これがなんで江戸のお祭りだったかって 不思議ですね。 戦前の東京を舞台にした小説には 絶対に出てきますよ。 吉原と酉の市の風情って。 「吉原の酉の市」なんていうのが 長々書かれていますから、やっぱり。 |
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| 浅草鷲神社のホームページで酉の市、 起源発祥って書いてありますよ。 |
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| ── | じゃ、浅草のものなんだ! ということで次回は冬も進んで 「地始凍(ち はじめて こおる)」です。 11月12日にお会いしましょう。 |
| 2012-11-07-WED | |