| ドット画に変換されたひびのこづえさんのイラストは、 およそ20分をかけて1枚の布に編まれました。
 その後、ていねいな検品にかけられて‥‥。
 ハラマキが完成するまでには、まだまだ工程があるとか。
 すこしだけ急いで、
 つづきの作業を教えていただきましょう。
 
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              | ▲編み上がった1枚を持って、移動します。 | 
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  | 白倉 | では、次の工程に進みましょう。 
 (全員で、別の部屋へ移動する)
 
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  | ほぼ日 | ‥‥ここは、暑いですね。 
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  | 白倉 | そうですね、蒸気をつかう場所なので。 クーラーもないし、夏場はきついです。
 
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  | ひびの | 蒸気をつかうんですか。 
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  | 白倉 | 熱をかけてゴムを縮ませるんです。 
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  | 桑原 | やってみますね(台にハラマキをのせる)。 
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  | ほぼ日 | この工程はひびのさん、見どころです。 
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  | 一同 | おおーー。 
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  | ほぼ日 | 何度見ても、すごーい。 
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  | ひびの | こんなに縮ませるんですね。 
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  | 白倉 | この製品は、 ポリウレタンが入っています。ゴムですね。
 
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  | ほぼ日 | 肌に触れるところはすべて綿素材だけど、 糸の中心にゴムがあるんですよね。
 
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  | 白倉 | はい。 そのポリウレタンに熱を加えて縮ませます。
 それによって、
 あのハラマキの伸縮性がうまれるんです。
 
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  | 桑原 | 縮ませたものを、洗濯します。 
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  | ひびの | ここで、洗濯を。 
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  | 桑原 | 家庭用の洗濯機と違って、熱を加えて洗うので、 ここでもさらに縮むんです。
 
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  | 白倉 | で、洗い終わったものが、こちらです。 縮める前のものに重ねてみると‥‥。
 
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  | ひびの | ああー、これはわかりやすい。 
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  | 白倉 | あ、下の「クレイジーフラワー」は、 S+10ですね。
 
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  | ほぼ日 | でもSサイズですから横幅は同じですよね。 それがここまで縮む。
 ‥‥逆に言えば、
 下のサイズくらいまで伸びるということですか?
 
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  | 白倉 | あまり無茶に伸ばすと傷みますけど、 そうですね、だいたいこのくらいまで伸びます。
 で、いったん伸びても、
 洗えばもとに戻ります。
 
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  | ほぼ日 | そう、それが助かるんですよ。 「ほぼ日ハラマキ」の大きな特徴です。
 
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  | 白倉 | はい。 というわけで、
 ここまでできたら、
 次はこれを持って縫製工場へ向かいます。
 
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  | ひびの | 縫製は別な場所なんですね。 
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  | 白倉 | はい。 「ファッション原」さんという
 縫製屋さんにお願いしています。
 
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  | 「白倉ニット」から車で10分くらいの場所にある、 縫製工場へとわれわれは向かいました。
 
 こちらが、「ファッション原」さんです。
 
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              | ▲みなさん集中してミシンに向き合っています。 | 
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              | ▲ひびのさんの「ドロップ」を縫製しています。 | 
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  | 「ドロップ」の場合は、 縫い目に柄が重なっていないのですが、
 たとえばこの「アニマルハート」は、こんな具合。
 
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  | この、つながりを合わせる、 「柄合わせ」がたいへんな作業なのだそうです。
 ズレてしまったときは、ぜんぶほどいて縫い直すとか。
 
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  | きれいに縫い合わされています。 「これで完成ですか?」と訊ねたら、
 「まだまだですよ」というお返事が。
 
 縫製工場での工程を順に教えていただきました。
 
 ・地縫い
 柄合わせに気をつけながら、まず縫い合わせる。
 
 ・ロック
 巻くようにしてきっちりと、かがり縫いをする。
 
 ・かん止め
 ロックをかけたときに余りがはみ出るので、
 縫いつけて余分な布を切る。
 
 ・タグ止め
 品質表示の織りネームを縫いつける。
 
 ・二本針
 縫い合わせた部分が立っているので、
 これを片側に倒して、寝かせて、縫いつける。
 二本の針で縫うから、二本針。
 
 ・かん止め
 仕上げに再度、縫い目がほどけやすい箇所の補強や
 余り布を始末して、完成。
 
 この工程を動画にまとめました。
 よろしければご覧ください。
 
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  | 縫製だけで、これだけの手作業が重ねられていました。 「ほぼ日ハラマキ」の、あの肌ざわりは、
 縫製技術のおかげでもあったのです。
 突起物をできるだけおさえているから、ごろごろしない。
 
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  | 縫製の工程を終えて、 再び「白倉ニット」へ戻ってきました。
 
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  | 縫い合わされたハラマキを持って、 先ほど蒸気をあてた暑い部屋へ入ります。
 
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  | 白倉 | 縫製が終わったハラマキは、 ほんとうなら「セット屋さん」のところに行きます。
 
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  | ひびの | 「セット屋さん」というのは? 
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  | 白倉 | ハラマキをきれいにたたむ、 その工程をやっていただくところです。
 
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  | ひびの | その工程だけを、別な会社で。 
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  | 白倉 | はい。 きょうはちょっと時間がないので、
 その工程をここでお見せしますね。
 「枠セット」などと、呼んでいる作業ですけど‥‥。
 
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  | 白倉 | 蒸気をあてて、 バキュームで吸って、
 これでセット完了。
 
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  | 一同 | へええーーーー! 
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  | ほぼ日 | きれい! 
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  | 白倉 | 縫製のときにすこし伸びたりしたものが、 これできれいになります。
 
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  | ほぼ日 | なるほどー。 
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  | 白倉 | そして、セット屋さんでセットされたものが またうちに戻ってきて、
 袋詰めをして、最後にもう一度、検品。
 それで、ハラマキの完成になります。
 (ひびのさんに手渡す)
 
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  | ひびの | ああー、いい感じ。 いい手触りです。
 ほんとに長い、完成までの長い旅路でした。
 
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  | 白倉 | そうですね。 ほんとはもっと長くて、
 きょうご案内した工程の前に、
 「糸作り」「撚糸」「染め」もあるんです。
 
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  | ひびの | すごいですね、すばらしいです。 いいお仕事を見せていただきました。
 ありがとうございます。
 
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  | 白倉 | こちらこそ。 
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  | 桑原 | ありがとうございました。 
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  | 工場見学のあと、新幹線の時間に間に合う時間まで、 みんなでミーティングをしました。
 
 お互いの希望、
 できることと、できないこと、
 こうなったらもっといいのにという両者の想い。
 そういうことをきたんなく、
 でもおだやかに話し合いました。
 
 「ほぼ日」と「白倉ニット」さんとのつながりは、
 かれこれもう10年を越えます。
 
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              | ▲奥の男性が「白倉ニット」の社長さんです。 | 
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  | 次回、冬の「ほぼ日ハラマキ」でも、 ひびのこづえさんの新作が登場する予定です。
 どうぞおたのしみに!
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  | (特別編の終了です) |