糸井 |
横石さんが、「栗よりも栗のイガがいけるな」
と思ったのは
何がきっかけだったんですか? |
横石 |
使こてるのを見て。 |
山田 |
ああ、お料理屋さんで
実際に。
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横石 |
うん。これはもっと使いたい人が
いるやろな、と思て。
それに、料理人の方が、
採るのがたいへんやったと言うんです。
ですから、その方にぼくは
イガのまま採れる竹ばさみをつくってあげました。
何でも、現場に原点があるんですよ。
現場を見てるとそれがよくわかる。
向こうの人は、
逆にこっちの現場を知らないけん、
ぼくのほうが強い。
お互いの現場を見る
ということはすごく大切なんです。 |
糸井 |
「いろどり」は
ものすごく情報を公開してるけど、
横石さんの情報非公開ぶりは
もう日本有数ですね。 |
横石 |
ほんま。みんな、
「ようそこまで公開しますね」
「大丈夫ですか」と言うけど
大切なことはやっぱり
足と体で得たものしかないんです。
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糸井 |
オープンソースの時代なんだけど、
その一方で
特許に守られないクローズドな情報が
どれだけ体内に蓄積するかが
ほんとの仕事の芯に
なるものなんですね。 |
横石 |
すごい表現だね、それは。
でもね、こないだ糸井さんの事務所に
はじめて行かせてもらったんだけど、
すぐわかった。
社員の顔見たら、パッと
それはすべてわかったね。 |
糸井 |
おバカばっかり?
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横石 |
もう、わかりますね。
「なるほどな」と、すぐわかった。
体を使う、信用できる人、多いね。 |
糸井 |
そうですね。
結束できない子は、やっぱり困るんです。
何かあったら、その場はニコニコしていても
あとでしっかり一緒に闘える子が必要なんです。 |
横石 |
顔をパッと見ればわかります。
これはすごいメンバーやな、って。
動物的な勘が働く人が多いやろな。
独特の雰囲気があるし。
ちょうど別の、IT関連の会社に
行った帰りだったから、よけい
「これほど違うものか」とびっくりしたよ。
ああいう雰囲気が、いまの会社にないんですよ。
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糸井 |
「いろどり」のおばあちゃんたちみたいな顔が、
いまの世の中にないのと同じですね。
ぼくも、横石さんといっしょで、
絶望の末に「ほぼ日」ができたんですよ。 |
一同 |
(笑)
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横石 |
そうですね。
ああいう雰囲気がなければ、
ほぼ日刊イトイ新聞のようなものは
できないです。
だから、みんなが見る。人気がある。
わかります。 |
糸井 |
これだけ長いことやってて、
真似するところが
いっさい出てきてないんです。
真似してもしょうがないんだけど。 |
横石 |
ああいう集まりが、集まらないんですよ。
集めようと思ってもかなり難しい。 |
山田 |
そんな厳密なことはないんでしょうけど、
集まった結果は、
そういうことになっているのかもしれませんね。 |
立木 |
菖蒲さんが大判焼き(回転焼き)を
出してくれましたよ。 |
山田 |
おいしそうっすね。 |
糸井 |
オレは、半分でいいかな?
山田さん、半分こしようか。
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菖蒲 |
半分になんか、せんでええわよ。 |
一同 |
ははははは。
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山田 |
もちもちしてて、
おいしい。 |
横石 |
ここでみんなで
縁側で食べるからおいしいんです。
デスクでひとりで食べると思うと。 |
山田 |
たしかに。 |
糸井 |
見るためのものが、
人は欲しいんです。
夫婦で飯食うときに見るテレビもそう。
料亭も、風景があるところは高いんです。
ひとりで行ったら
カウンターに座りたいでしょ? |
横石 |
そうやね。ひとりで行ったら
ぜんぜん旨くない。
カウンターに座ったときの味は10倍違います。
板さんのことばひとつ、
柿の葉いちまいで、
料理のおいしさが、
スーーーッと頭に入ってくる。
口に入れる前に、頭の中が
「うまいうまいうまい」となるんです。
不思議ですよ。
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山田 |
「いろどり」がぼくたちに必要な理由、
わかりますね。
(つづきます。次回は最終回ですよ)
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