「made in Italy」といえば、
ファッションや飲食の分野では
すでに世界中のどこでも成功を約束されています。
アルマーニ、ミッソーニ、グッチ、
フェラガモ、ヴァレンティノらはもとより、
プラダやドルチェ&ガッバーナも。
これらはアメリカやアジアのお洒落な人たちにとって、
ある種の基準でもあります。
食の世界でいうと、
スパゲッティ、ラヴィオリ、カンネロー二、
そしてピッツァなどが「美食」を象徴。
とんでもない美味しさのワインを愛する人々にとっては、
バルバレスコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、
バローロ、サッシカイア、キャンティなどの
銘柄が居並びます。
ファッションや美食に加え、
今やサッカーも、成功を約束する
「made in Italy」の仲間入りを果たしました。
マルチェッロ・リッピ監督は、
2006W杯ドイツ大会での優勝を、
来年の南アフリカ大会で守る立場になるでしょう。
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デ・ロッシ選手が引っぱるイタリア代表アズーリは、
9月9日にブルガリアを下し、
あと2試合だけを残す時点でアイルランドと4点差。
W杯予選リーグの突破は99%確実でしょう。
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そして次の試合は
まさにアイルランドとの対戦ですが、
先方の監督はこれもまた偉大な「made in Italy」であり
ドイツやオーストリー、ポルトガルなどの
カンピオナートで勝利した、
元アズーリ監督のジョヴァンニ・トラパットーニです。
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リッピは、アズーリの監督に就任した時に、
このトラパットーニからサッカー的財産を相続しました。
イタリアで、ヨーロッパで、そして世界で、
手に入れられる勝利はすべて手に入れてきたリッピも、
次期のW杯を終えたあとは監督業を引退し、
総監督としてユヴェントスに戻る予定です。
その時には、トラパットーニから相続した
財産をだれかに引き継ぐことになりますね。
現代のサッカーを生んだ国イギリスで、
イタリア人の監督たちが
大いに成功していることを見れば、
国内にとどまる財産というより
世界に広まる「監督としての名声」という財産が
積み上げられ、相続されていることがわかります。
イギリスで活躍中のイタリア人監督には、
まずファビオ・カペッロがいます。
彼は過去にACミラン、ASローマ、
ユヴェントスで勝利をおさめ、
後に10年の間隔をおいて2回マドリードに移り、
スペインのカンピオナートで2度優勝しています。
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UEFAチャンピオンズ・リーグ1993-4大会で
ACミランを優勝させたこと、
そして現在イングランド代表の監督であることは、
世界のサッカーと
何よりも自分自身に対する挑戦といえるでしょう。
イングランド代表は先週、
クロアチアに大差をつけて
W杯南アフリカ大会の予選を突破しました。
8戦全勝ですから、
英国にとっては典型的な勝利を
イタリア人監督が果たしたことになります。
英国はすぐさまカペッロの勝利を讃えました。
彼が「准男爵」の称号を受けるだろうと
ささやく人もいます。
南アフリカ大会で優勝すれば、
エリザベス女王が彼に「サー」の称号を
与えるつもりでいる、と。
来年の6月には本当に、
彼が「サー・ファビオ」と呼ばれることに
なっているかもしれません。
そして、
チェルシーを率いて
目覚ましい活躍をしているイタリア人、
カルロ・アンチェロッティも、
英国の人々を熱狂させています。
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チェルシーは立続けに5勝しており、
チャリティー・シールド(ユニティー・シールド)では
マンチェスターを下して優勝し、
イギリスサッカーの頂点に立ちました。
プレミアリーグやUEFAチャンピオンズ・リーグでの
勝利を予想する人もいます。
かつてACミランを
2度のUEFAチャンピオンズ・リーグ優勝に
導いた監督ですから、
それは期待のし過ぎでもないように思えます。
さらにもうひとり、
イタリア代表のリッピ監督と
イングランド代表のカペッロ監督の他に、
次期W杯の主役になってもよさそうな
イタリア人監督がいます。
ロベルト・マンチーニです。
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マンチーニはインテルを率いて
カンピオナート3回、
コッパ・イタリア2回、
レーガ・スーパーカップ2回に勝利しており、
契約上は2013年までインテルとつながっています。
彼を解雇してモウリーニョ監督に替えたインテルは、
契約上の金額を気前よく
マンチーニに支払い続けていますが、
マンチーニ自身は、南アフリカ大会で
どこかの国の代表チームを監督するためなら、
インテルとの
この超リッチな契約を放棄するつもりです。
どこかの国が、
名誉と栄光をめざしてマンチーニに声をかければ、
彼はきっと引き受けるでしょう。