Lesson1118
寂しさから怒る人、寂しくても怒らない人
2025-02-19
酒、ギャンブル、色恋、人生を狂わすものと聞いた。
どれも快楽脳汁が出るし、中毒性がある。
私は、酒からすっかり離れ、
もう何年も全く飲まない生活が続いているし、
それと同時に、安直にドーパミンがワッと出て、
「もっと、もっと」と追い求めるような楽しさには、
まったく魅力を感じなくなりつつある。
だから、もう安心か、というと、
そう言えば、快楽とゼンゼン方向ちがうけど、
もう1つあった! 人生狂わすもの、それは、
「寂しさ」だ。
寂しいと、人は、
つけいられたり、だまされたりする。
らしくないふるまいをしたり、
人を傷つけたり、自暴自棄になったりもする。
酒やギャンブルに依存しやすいのもそういう時。
「寂しさこそ人生狂わす元凶」
ではないだろうか?
盆や正月になると、
嫁の悪口を言い散らかしているお年寄りがいた。
子や孫に会いたいのに来てくれないからだ。
わかりやすく寂しいのだ、と誰もが思った。
悪口は嫁の耳にも届く。
嫁は、たまに来ても近所の目が冷たい、
ましてや悪口を言ってる本人と一緒にいて
居心地いいわけがない。そうして、
嫁はもちろん、子も、孫も、ますます遠のいていく。
「寂しくても、悪口さえ言わなければ、
まだ仲良くする道はあるのに」と思うけど、
それが難しいのは、「怒り」だからだ。
「寂しさ」が、一滴、一滴、つのっていくと、
キャパオーバーになってしまう。
秤(はかり)でいうと、許容量を超えてこれ以上
測れませんというメーターの赤いゾーン、それが、
「怒り」だ。
「怒り」は「自分こそ正義」とセットで発動される。
怒っている間はずっと、「自分こそが絶対正義」
という考えに頭をのっとられる。平常な判断はできない。
この人も、嫁の悪口を言ってる感覚はなく、
「なんで、こんなにも正しいことが、
嫁にも、みんなにも、わからないのか?
私が教えてやらねばならない」のだろう。
「寂しさ」は、溜め込むと攻撃性を帯び、
「怒り」になり、「自分こそ正義」が加わり、
こじらすと殺気を帯びる。
殺気をまわりに向け、しまいには自分に向ける、
これが「寂しさ」がたどる最悪のシナリオだ。
分岐点は、「怒り」。
怒ったら、オシマイ。
なんとか怒りになる手前で、私たちは、
つのる寂しさをかわさなければいけない。
考えたら不思議だ。
山奥のポツンと一軒家にずっと
「ひとり暮らし」をしていても、
寂しさを溜め込まないし、こじらせもしない人がいる。
一方、家族と暮らし、職場に仲間もいて、
友だちもいて、恋人もいて、
なのに、「寂しい、寂しい」と、
愛情を人にもらい歩いたり、カツアゲしたり、
それでも寂しさをつのらせている人がいる。
この差はなんなのだろう?
私は、勤めていた会社を辞めてから、
3~5年間ぐらいが、人生でいちばん
寂しくて、寂しくて、しかたがない時期だった。
その時期があまりに強烈だったせいか、
寂しさにはかなり耐性がついて、
溜め込まなくなった。
そんな私が、つい先日、
「サミシイ」
と、口をついて出た、自分でも驚いた。
その日、私は、
ある企業のカスタマーセンターの人と、
電話でやりとりをしていた。
間違って宅配便が届いた。
送り主をみると、有名な企業だった。
向こうの100%ミスにもかかわらず、
私に負担がかかる方法で送り返せという。
伝えても、伝えても、
電話の向こうの人は、AIかと思うくらい、
おなじことを繰り返すだけ。
言葉は虚しく、電話を終えた時はぐったりした。
それから数時間後のことだ、
声に出してはっきり、こう言ってしまったのは、
「サミシイ」
私は寂しいのか? なんで?
胸に手をあてたら、確かに寂しい。
しかも、自分の中にストックしておいた
温もりや愛情のチャージが、恐るべきスピードで
どんどん損なわれていく。
おなじスマートフォンでも、
電池の減りの物凄くはやい時と遅い時がある。
その時の私は、猛スピードで
電池を失っていってる感覚。
何日も誰とも話さずひとりいても、
愛情のチャージがゼンゼン減らない時もあるのに、
「この差は何?」
あとから考えて、思い当たることがあった。
あの電話のやりとりの時、
自分らしからぬ陰険な言葉を言った。
瞬間、私が、私に引いた。
逆に言えば、自分が、自分から疎外された。
「通じ合えない時、人は傷つく。」
相手と通じ合えない時、
人は傷つくし、孤独だ、寂しい。
でももっと寂しいのは、
「自分が自分と通じ合えない時だ。」
寂しいからといって、怒って、
自分らしからぬふるまいをすれば、
自分が自分を「コイツ嫌だな」
「友達になりたくないな」と思い、離れていく。
この状態は、いつもの倍速で、いや二乗で、
あっという間に愛情のストックを失っていく。
たった1人で気の遠くなるような時間暮らしても、
寂しさをこじらせない人は、
自分と自分が通じ合っているのだと思う。
「ひとりの日には、本を読み、料理をする。」
ある学生がそういう文章を書いていた。
彼女にとって、寂しさを感じがちなとき、
料理と本が、「自分と自分が通じ合える」、
「自分を満たす」行為なのだと、美しかった。
「寂しさ」が来たら、
怒るのか? なげやりになるか?
それでも、自分らしくあれる道を探すか?
じっと見ている自分自身にだけは、
そっぽを向かれないように、
「コイツいい奴だなあ、
いい時間のつかい方するなあ」
と思ってもらえるようにふるまいたい。
そうすれば、寂しくても
愛情のチャージは二乗速では減らないし、
人からもらい歩けなくてもしのげるし、
なんなら自家発電もできる!
と私は思う。
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胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
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想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
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私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
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▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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