第227回 車で四国遍路に来ています。
こんにちは。
四国の坊さん、ミッセイです。
先日、
東京は品川の高野山別院で、
「心の相談員」の講習会があったので、
建築家、
伊藤豊雄さんの
事務所から独立して、
「白川冨川」(sktk)として活動を始めた、
兄の働く設計事務所を訪れてみました。
いくつもの模型を手にして、
熱心に説明してくれる、
1歳年上の、
兄の話をおもしろく聞きながら、
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「一緒にお寺で、なんかやりたいな。」
と頭の中で、
色々なプランを思い浮かべました。
* **
四国に帰って、
近所のお寺の本堂が新築される事になり、
棟上げの儀式に参加してきました。
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堂々たる迫力の
様々な材木、
誇らしげな表情の
職人や世話人さんの姿を見ると、
仏教やお寺は、
これからも長い時間、
続いていくんだろうなぁ、
続いてほしいなぁ、
と思いました。
***
四国八十八ヶ所のお寺、
僕の住む栄福寺も、
お遍路さんの季節が訪れ、
連日たくさんの
白装束のお遍路さんが訪れています。
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冬の間、
色を失っていた木々が、
いつのまにか、
鮮やかな緑色を見せてくれる、
春の季節が僕はとても好きです。
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そんな
気持ちのいい季節を過ごしながらも、
僕は、
お寺の新しい計画にすこし、
行き詰まってしまって、
「これは頭で考えてもダメだな。
お遍路さんに行こうかな。」
と思い、
車で1番札所から、
お遍路さんを始めました。
今日から、
何泊かするつもりで、
今、徳島県藍住町のビジネスホテルです。
僕が、
お遍路さんの準備をしていると、
母が20年程前に考案して作った、
栄福寺オリジナルの、
「お遍路さんの4次元ポケット」
(名前は僕が今、付けました。)
をくれました。
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なかなか便利です。
ローソクや数珠、ライターを入れます。
この商品、再発したいなぁ。
持ってきた納経帳は、土佐和紙製です。
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これは結構、
評判がよく、
筆で本尊の名前を書いてくださる、
納経所のたくさんの人に、
「これは、いい紙ですよ。」と褒められました。
今回は僕も、
白い着物の白装束を付けて、
お杖(金剛杖)を持って、
菅笠(すげがさ、スゲの葉で編んだかぶり物)
をかぶって、
できるだけ普通でまっとうな、
お遍路さんをしています。
般若心経の写経も持ちました。
(病気になった親戚が書いたものを奉納します。)
多くのお遍路さんと
同じ衣装である、
白い着物を着て、
菅笠を深く被ると、
なんだか、
四国の土地に、
自分のちっぽけな個性みたいなものが、
気持ちよく吸い込まれていくような、
気分になります。
お経を唱える時も、
納経所でも、
菅笠であれば脱帽しなくていいという、
不文律が四国遍路には存在します。
これは、
その人の立場や病気などで、
顔を見せたくない人への
配慮かも知れません。
四国遍路に関わる
様々な人達に
知り合いの多い
僕に気付く人も今のところいません。
1番札所、霊山寺の
山門をくぐり
僕の四国遍路が始まりました。
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まだ、
たどたどしい、
お遍路さんのお経の声を聴き、
自分もお経を唱えてみると、
妙にうまいんです。
そうだな、
僕はお坊さんだもんな。
と変な事に感心しながら、
次の札所へと向かいました。
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ミッセイ
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