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必要不可欠な交通手段、雪上車のお話です。 どうやら斎藤さん、 自分の手で整備した雪上車にのって 1ヶ月以上にわたる旅に出たようです。 写真から伝わってくる 真剣さに気が引き締まります。
南極の交通手段はなんと言っても雪上車。 日本ではなかなか目にしませんが、 昭和基地には30台を超える雪上車があり、 隊員たちは車のように自由に操ります。 四角い車体に 足はイモムシのような履帯(りたい)をつけ、 丸いハンドルのかわりに 片方ずつブレーキがかかる テンパーという棒を操作して方向を決めます。 時速はだいたい10km、ちょっとした駆け足くらいです。 ![]() 昭和基地の近くでよく使う雪上車です。 雪上車にはいろいろ大きさがあって、 用途によって使い分けます。 夏、太陽の光で氷の表面が融けているときや 新しい氷が張り始めたころは、 万が一、万が一です、 氷が割れたときにも浮かんでいられる 小型の浮上型を使います。 島の上にある昭和基地ならではの雪上車です。 本当にこれは備えあれば憂いなしです。 春から冬にかけて氷が厚くなってくると、 もう少し大きく力の強い雪上車を使います。 浮上型を軽自動車とするとこちらは乗用車ですね。 そして大陸の上ではさらに大きな車を使います。 南極大陸の調査や移動は数週間から数ヶ月と長くなり、 気温もときには−60℃を下回ります。 ![]() 大陸の上を走る大型雪上車です。 7台のソリに荷物を積んで走ります。 このような少々体験できない環境で使う雪上車は 住むことと、走ることを同時に備えたキャンピングカー。 長さがおよそ7m、幅は3m、 中は立って歩けるほど広いスペースにベッドがあり、 炊事もできるように工夫されています。 運転していると南極であることを忘れそうになりますが、 雪上車が故障してしまうと、 大陸の上で置き去りです。 そんな状況にならないように、 隊員たちは日々の点検を欠かさず、 出発前には自分たちの手で整備します。 昭和基地から離れたところに置いてある 大きな雪上車はとても重いので、 昭和基地ではなく大陸の上で整備します。 なんとも大変そうですが、 自分で整備した雪上車はより愛着が湧くもので、 走っていてちょっと調子がよくないときにも、 あのあたりが不調かな? と見当がついてきます。 人も機械も愛情が大切なことですね。 47次隊も昭和基地から離れたところで 大きな雪上車を整備しました。 そして数日のうちに 自分の手で整備した雪上車に乗って大陸の上に出かけます。 ![]() 7月の雪上車整備の様子です。 気温は−20℃ほどでした。 ![]() 雪上車にもぐって、ネジひとつひとつを締めます。 ![]() 履帯についている 滑り止めを止めるネジを締めています。 手が冷たくなるとすぐに車の中に入って、 ゆっくり休み休み、確実に作業が進みます。 ![]() こちらも雪上車の下から、ネジを締めます。 きっとこれを読んでいただくころは、 真っ白い雪と氷の世界を雪上車で走っています。 昭和基地には紅葉の頃に戻る予定。 それまで続きはおあずけですが、 どうぞまた、しばらくお待ち願います。 ![]() 運転席です。 下のほうにみえる横棒2本で方向を決めます。 スピードメーターは50kmまでありますが、 使うところは十数キロまでです。 ![]() 運転席からの眺めです。 天気がよいと気持ちよく走ることができます。 ここでちょっとお知らせです。 次回、メールをお送りするまでの つなぎではありませんが ぜひ上野の国立科学博物館をのぞいてみてください。 今、「ふしぎ大陸南極展2006」が催されており、 実際に使っている雪上車や、 1月に大陸の氷をサンプリングした様子を 見ることができます。 猛暑の中、南極涼みをぜひどうぞ。 ではちょっと大陸の様子を見に行って参ります。 2006年8月12日、 気温−19.9℃ 風2.6m毎秒。 明日からまた冬の世界。 −60℃を体験してきます。 第47次日本南極地域観測隊 斎藤 健 ************************* 斎藤さんは旅に出てしまいましたが 「ふしぎ大陸南極展2006」は 9月3日まで、開催されており、 昭和基地とのライブ中継もあるそうです。 ぜひ足を運んでみてください。 冬まっただなかの南極も 立春が過ぎ (日本の立秋の日は 南極では立春の日になるそうです)、 9月末に斎藤さんがPCの前に戻ってくるころは すっかり春らしくなっているかもしれません。 旅から戻り、ちょっとほっとしたときに みなさんからの感想やエール、 のんびりとしたお便りや質問は とてもうれしいそうなので、 読んでいただいたお気持ちを 「南極観測隊斎藤さんへ」として postman@1101.comまで メールでお寄せくださいね。 南極観測について、 さらに知りたいという方は こちらの「極地研究所」のホームページも ぜひご覧ください。 |
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